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正規分布の 1/√(2π) はどこから来るのか

2026年9月20日4分で読めます確率積分テスト

これはテストです。Claude が書いたもので、木下は書いていません。

確率の教科書を開くと、正規分布の密度関数がいきなりこの形で現れる。

f(x)=12πσexp((xμ)22σ2)f(x) = \frac{1}{\sqrt{2\pi}\,\sigma} \exp\left(-\frac{(x-\mu)^2}{2\sigma^2}\right)

指数の部分は「平均から離れるほど急に小さくなる」という気持ちが読み取れるけれど、前についている 1/2πσ1/\sqrt{2\pi}\sigma は何なのか、初めて見たときは分からなかった。円周率が出てくる理由も見当がつかない。これは天下り的に覚えるものではなく、密度関数を全区間で積分したら 1 にならなければいけないという要請から決まる定数である。以下ではそれを実際に計算する。

確かめたいこと

μ=0\mu = 0σ=1\sigma = 1 の場合だけ考えれば十分である。一般の場合は t=(xμ)/σt = (x-\mu)/\sigma と置換すれば戻せるからだ。つまり次を示したい。

ex2/2dx=2π\int_{-\infty}^{\infty} e^{-x^2/2}\,dx = \sqrt{2\pi}

左辺が 2π\sqrt{2\pi} になるからこそ、全体を 2π\sqrt{2\pi} で割ると積分が 1 になる。これが定数の正体である。

素朴にやると詰まる

不定積分 ex2/2dx\int e^{-x^2/2} dx は初等関数で書けない。だから「原始関数を求めて代入する」という普段のやり方は使えない。ここが最初の壁で、実際この積分は一次元のままでは解けない

二乗して二次元にする

そこで、求めたい値を II と置き、II そのものではなく I2I^2 を考える。

I=ex2/2dx,I2=(ex2/2dx)(ey2/2dy)I = \int_{-\infty}^{\infty} e^{-x^2/2}\,dx, \qquad I^2 = \left(\int_{-\infty}^{\infty} e^{-x^2/2}dx\right)\left(\int_{-\infty}^{\infty} e^{-y^2/2}dy\right)

二つ目の積分では積分変数の名前を yy に変えた。値は同じである。積分変数が独立なので、これは二重積分としてまとめられる。

I2=e(x2+y2)/2dxdyI^2 = \int_{-\infty}^{\infty}\int_{-\infty}^{\infty} e^{-(x^2+y^2)/2}\,dx\,dy

ここで指数の肩に x2+y2x^2 + y^2 が現れたことが決定的である。これは原点からの距離の二乗であり、被積分関数が原点を中心とする回転で変わらないことを意味する。回転対称なものを直交座標で扱う理由はないので、極座標に移る。

極座標に移す

x=rcosθx = r\cos\thetay=rsinθy = r\sin\theta と置くと x2+y2=r2x^2 + y^2 = r^2 であり、面積要素は dxdy=rdrdθdx\,dy = r\,dr\,d\theta になる。この rr が後で効く。

I2=02π ⁣ ⁣0er2/2rdrdθI^2 = \int_0^{2\pi}\!\!\int_0^{\infty} e^{-r^2/2}\, r\,dr\,d\theta

θ\theta の積分は被積分関数に θ\theta が入っていないので、単に 2π2\pi が出るだけである。残りは u=r2/2u = r^2/2 と置換すれば du=rdrdu = r\,dr となり、さきほどのヤコビアンから出た rr がちょうど dudu に吸収される。

0er2/2rdr=0eudu=1\int_0^{\infty} e^{-r^2/2} r\,dr = \int_0^{\infty} e^{-u}\,du = 1

よって I2=2π1=2πI^2 = 2\pi \cdot 1 = 2\pi であり、I>0I > 0 だから I=2πI = \sqrt{2\pi} を得る。

どこが効いたのか

振り返ると、効いた手は二つである。

一つは二乗して次元を上げたこと。一次元では原始関数が書けないのに、二次元にすると回転対称性という構造が見えるようになった。同じ問題を難しいまま解こうとせず、解ける形の問題に埋め込んだ、と言ってもよい。

もう一つは面積要素から出た rr。極座標で dxdy=rdrdθdx\,dy = r\,dr\,d\theta となるこの rr が、er2/2e^{-r^2/2} の微分から出る rr と打ち消し合って、積分を初等的にした。もし被積分関数が er2/2e^{-r^2/2} でなく ere^{-r} だったら、この打ち消しは起こらず計算はもっと面倒になる。ガウス関数と二次元極座標の相性がよい、という事実がこの計算の核心である。

円周率が出てきたのも、もとをたどれば θ\theta を1周分積分したからで、正規分布の中に円が隠れていたわけではない。二次元に埋め込んだ結果として回転が現れ、その1周が 2π2\pi だった、というだけのことである。

一般の場合

σ\sigma を戻すと、t=x/σt = x/\sigma の置換で dx=σdtdx = \sigma\,dt となるので

ex2/(2σ2)dx=σet2/2dt=2πσ\int_{-\infty}^{\infty} e^{-x^2/(2\sigma^2)}\,dx = \sigma\int_{-\infty}^{\infty} e^{-t^2/2}\,dt = \sqrt{2\pi}\,\sigma

となり、冒頭の 1/(2πσ)1/(\sqrt{2\pi}\,\sigma) がそのまま出る。平均 μ\mu は平行移動なので積分値を変えない。

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