富良野ブルーの原因物質は水酸化アルミニウムのコロイド
問いは木下が出したもので、答えは Claude Code と調べて書いたものです。
> 富良野ブルーの原因物質は?
美瑛・白金の「青い池」に代表される、富良野美瑛エリアのあの青のこと(地元では美瑛ブルー・白金ブルーとも言う。 ラベンダーにも「富良野ブルー」という品種名があるが、ここでは水の色の話)。
答え:水酸化アルミニウム Al(OH)₃ のコロイド粒子
青い池に流れ込む白金温泉付近の湧水(硫黄沢川など)は、十勝岳の火山体を通ってくるあいだにアルミニウムを多量に 溶かし込んでおり、酸性で Al³⁺ の形で溶存している。これが本流の美瑛川の水(ほぼ中性)と合流すると pH が上がり、 溶けていられなくなったアルミニウムが加水分解して水酸化アルミニウムの微粒子として析出する。粒子は沈まずに浮遊し、 水全体がコロイド溶液になる。つまり原因物質は溶けている色素ではなく、無色(白色)の微粒子そのものである。
なぜ白い粒子で青くなるのか
粒径が可視光の波長より十分小さいコロイドでは、散乱強度が波長の4乗に反比例する(レイリー散乱、I ∝ λ⁻⁴)。 青(約450 nm)は赤(約650 nm)のおよそ (650/450)⁴ ≈ 4.4 倍強く散乱されるので、横から見る観察者には青い光が 優先的に届く。これは空が青いのと同じ理屈である。さらに水分子自体が赤〜近赤外を強く吸収するため、長波長側は 散乱される前に減衰してしまい、青緑が残る。散乱で青を足し、吸収で赤を引く、の二段構えになっている。
背景も効いている。池の底に白っぽい堆積物が積もっていて、そこで反射した光がもう一度水中を通って戻ってくるため、 光路長が稼げて色が濃く出る。立ち枯れのカラマツが白い幹で立っているのも、青との対比を強めている。
濁っているから青い、という逆転
摩周湖ブルーや支笏湖ブルーは、極端に透明度が高く不純物が少ない水で、水分子そのものの赤吸収によって青く見える。 青い池はその逆で、微粒子で濁っているからこそ青い。だから雨で増水して土砂が入ると粒子のサイズと種類が変わり、 青が濁って緑や灰色に転ぶ。晴天・無風・雨の後でない日がよく見える条件なのはそのため。
補足:空が青いのと同じ原理か
骨格は同じで、どちらも波長より小さい散乱体による弾性散乱(I ∝ λ⁻⁴)である。コロイドによるものを「チンダル現象」と 呼び分ける習慣があるだけで、物理としてはレイリー散乱そのもの。ただし細部は3つ違う。
第一に散乱体の大きさ。空の散乱体は空気分子そのもの(窒素・酸素で直径 0.3 nm 程度)で、可視光の波長の千分の一以下 だから完全にレイリー領域にいる。青い池の Al(OH)₃ 粒子は数十〜数百 nm で、波長と同じオーダーに近づいている。粒径が 波長に迫るとミー散乱領域に入り、散乱の波長依存性が鈍って白く見えるようになる。青い池の水が純粋な青ではなく 乳白色を帯びた青なのは、粒径分布の大きい側がすでにミー領域に入っているため。同じことが煙でも起きていて、 立ち上る紫煙が青いのに吐き出した煙が白いのは、口の中で水蒸気が凝結して粒が大きくなるからである。
第二に吸収の有無。大気は可視光をほとんど吸収しないので、空の青は純粋に散乱だけで決まる。青い池は散乱に加えて 水自体の赤吸収が効いている。空の青がやや白っぽい水色なのに対し、青い池がターコイズからコバルトに寄るのはこの差。
第三に背景。空の散乱光は宇宙という黒背景に乗って見えるが、青い池は白い池底が反射板になっていて、散乱光が往復する ぶん色が濃く出る。
傍証として偏光がある。レイリー散乱光は散乱角 90° 付近で強く偏光するので、空も青い池も PL フィルターを回すと 色が劇的に変わる。青い池の撮影で PL が必須と言われるのは、水面の反射を消すためだけではない。
ついでに、この池は自然の池ではない。1988〜89年の十勝岳噴火を受けた火山泥流対策で美瑛川にえん堤(ブロック堤)を 築いたところ、堤の上流側に水が溜まってできた人造の副産物で、1989年ごろに偶然生まれている。
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