secret の se- とスペイン語の se は同語源?
問いは木下が出したもので、答えは Claude Code と調べて書いたものです。
補足(ethos の eth は s ?):「eth が丸ごと s(自分 *swe-)」ではなく、消えた s がどこにあるかという話。ethos(ギリシャ語 ἔθος/ἦθος)は印欧祖語 *swe-dh-=*swe-(自分自身)+ -dh-(状態・性質の拡張)で「自分のありよう → 習わし・性格」。ギリシャ語には語頭 *sw- が削れて落ちる規則的音変化があり(h- になりさらに脱落)、ethos では完全に消えて初めの e- だけ残った。対応は e(eth の頭)← *swe- の s・w が脱落した成れの果て、-th-(θ)← 拡張接尾辞 *-dh-。つまり「自分」を表した s/sw は e に溶けて消え、th は別の接尾辞。英語 self・sib では s が残るのに、ギリシャ語では頭の s が蒸発する。同じ *swe-dh- はラテン語では s が残って sodalis(仲間)・suescere(慣れる→custom)になる。
Q. secret の se- と、スペイン語の se(再帰代名詞)は同語源? 同じ se から派生したものは?
A. 同語源。しかも「切り離す(分離)」と「自分自身(再帰)」が根で繋がっている例。
secret はラテン語 secernere(切り分ける)の過去分詞 secretus(=分け隔てられたもの)から。secernere は se-(離れて・わきへ)+ cernere(ふるい分ける=[[critic と critical は語源が同じ?]] の krinein と同じ *krei- 系)。
スペイン語の再帰・無人称の se(se lava=自分を洗う、se dice=〜と言われる)はラテン語の再帰代名詞 se(自分自身)の残り。(「sé=知っている/〜であれ」は saber・ser 由来の別物で無関係。)
この2つは印欧祖語の再帰語根 *s(w)e-(自分自身・自分だけで・わきへ)という同じ根から。ラテン語の接頭辞 se- は「自分だけで・独立して → 他から離れて」の意味で、再帰代名詞 se と同根。「自分一人で分かれている」が「分離」に転じた。
同じ *swe- の派生:
- se-「離して」接頭辞(ラテン語経由):separate(se+parare 並べる)/secure(se+cura 心配→心配から離れた)/select(se+legere 選ぶ→より分ける)/seduce(se+ducere 導く→わきへ連れ出す)/segregate(se+grex 群れ→群れから離す)/secede・secession(se+cedere 行く)/sedition(sed+itio→別々に行く→暴動)/sober(sobrius=se+ebrius 酔い→しらふ)
- 再帰代名詞そのもの:スペイン語 se/sí/su、伊仏 se/suicide(sui 自分を+cide 殺す)・sui generis
- 他の語派:ゲルマン語 self・sib/sibling(自分の身内)・独 Sippe(一族)/ギリシャ語 idios(自分自身の)→ idiot・idiom・idiosyncrasy/ethos(自分たちの習わし)→ ethic・ethnic/ラテン語 suescere(慣れる=自分のものにする)→ custom・consuetude