ノイズキャンセリングが千円で作れるのはなぜか
問いは木下が出したもので、答えは Claude Code と調べて書いたものです。
ノイズキャンセリングってめっちゃ高度な制御が必要そうだけどいまどき100均で1000円とかで売ってたりする。これ、工学的にどういう実装しているの?なんか素朴な実装として 音の強度と位相を測定する↓同強度逆位相を出して打ち消す って、めっちゃ大変そうだしディレイも凄そう
A. 実際の回路は「強度と位相を測ってから逆を作る」ことをしていない。マイクの電圧波形をそのまま反転・整形する固定のフィルタに通してスピーカーへ流すだけで、測定も判断もない。反転は増幅器の符号を負にするだけで済み、周波数ごとの振幅と位相の補正(スピーカーやイヤホン内の空間の特性の打ち消し)も、工場で一度合わせた係数の低次フィルタで足りる。いまは Bluetooth イヤホン用の SoC にこの専用回路が最初から入っていて、部品代としてはほぼ追加のコストがかからない。
遅れが問題にならない理由は二つある。一つ目は、外側のマイク(フィードフォワード型)が鼓膜より 1〜2 cm 外にあり、音が鼓膜に届くまでに 〜 の先回りの時間があること。ANC の専用経路は音楽再生用のバッファ(ms 単位)を通らず、AD→フィルタ→DA を数 μs〜十数 μs で通すので、この時間内に収まる。二つ目は、消している周波数が低いこと。遅れ による位相のずれは で、 でも なら約 、残る音は約 で十分消える。同じ遅れで なら で約 、 なら まで落ちる。だから ANC は電車や空調のゴーという低音(おおむね 以下)だけを受け持ち、高音は耳栓としての遮音(パッシブ)に任せる分業になっている。人の声が消えにくいのはこのためである。
内側のマイク(フィードバック型)は鼓膜の近くで「消し残り」を測り、それを反転して足し戻す負帰還ループで、原理はオペアンプの負帰還と同じである。ループの利得を とすると消し残りは に縮むので、低音域で なら約 になる。これも正体は固定のアナログ/デジタルフィルタで、相手の波形を予測していない。高級機は両方を組み合わせ(ハイブリッド型)、装着状態に合わせて係数を自動で調整する(適応フィルタ。代表は FxLMS)が、安い製品は固定係数で、そのぶん効きが浅く、装着がずれると効きが落ちる。