Calvinの「禿げた」以外にも変な語源の人名ってある?
問いは木下が出したもので、答えは Claude Code と調べて書いたものです。
Q(木下の問い・直感)Calvin(ラテン語calvus「禿げた」由来)を知って、他にも身体的特徴のあだ名がそのまま人名・姓になった例がないか気になった。
A中世ヨーロッパの姓は身体的特徴のあだ名がそのまま定着したものが多く、面白い例がいくつもある。
- Cameron: スコットランドゲール語 cam(曲がった)+ sròn(鼻)→「曲がった鼻」。
- Campbell: cam(曲がった)+ beul(口)→「曲がった口」。
- Kennedy: アイルランド語 ceann(頭)+ éidigh(醜い)→「醜い頭」。
- Claude/Claudia: ラテン語 claudus「足の不自由な」から。ローマの氏族名Claudiusの祖にそういう身体的特徴があったとする説。
- Cecil: ラテン語 caecus「盲目の」が語源とされる説がある。
身体的特徴以外の面白い由来もある。
- Nicholas: ギリシャ語 nikē(勝利)+ laos(民衆)→「民の勝利者」。サンタクロースの語源。
- Philip: philos(愛する)+ hippos(馬)→「馬好き」。
- Boniface: bonum + facere →「良いことをする者」。
補足共通しているのは、姓がまず「その人一代限りのあだ名」として発生し、それが子孫にそのまま継承されて意味が忘れられていくというパターン。Calvinもこの典型例。
追加で気になった2点について。
Philipのphilos(愛する)+hippos(馬)は、古代ギリシャで馬が貴族階級しか持てない超高級品だったことに由来する。「馬好き」=「馬を所有できる身分」を暗示する、いわば貴族的な名前。マケドニア王フィリッポス2世(アレクサンドロス大王の父)が有名な例。同系統にHippocrates(hippos+kratos「馬の力」)、Xanthippe(クサンティッペ、ソクラテスの妻。xanthos「黄色」+hippos「馬」)。
cam-「曲がった」(Cameron・Campbellの語源)と同根の現代英単語は、camber(道路のカーブ・タイヤの傾き角度を指す語。古仏語cambre←ラテン語camurus「湾曲した」←ケルト語cam-系)とchange(ラテン語cambiare「交換する」がケルト語系cam-由来とされ、「向きを変える」→「交換する」に転じたと考えられている)の2つが比較的確実な同根。gamba(伊語・脚)・jambe(仏語・脚)・gambol(跳ね回る)は見た目が近いがギリシャ語kampē(曲げ・関節)経由のラテン語gambaに遡るとされ、ケルト語cam-と本当に同根かは学者間でも意見が分かれる。
HarryとHarrisについても続けて聞かれた。Harryは中世英語でのHenryの口語形。Henryは古高地ドイツ語Haimirich(haim「家・領地」+ric「支配者」)に遡り「領地の支配者」の意味。フランス語Henriが英語で口語的にHarryと発音され定着した(英王室ヘンリー王子も通称Harry)。Harris・Harrisonは「Harryの息子」を意味する父称姓(-s/-sonは「〜の子」)。
Rexについても続けて聞かれた。Rexはラテン語rex(属格regis)「王」そのもので、特にひねった由来はない。印欧祖語*h₃reǵ-「まっすぐにする、導く、支配する」に遡り、英語のright(正しい・右)、regal、royal、regent、correct・direct(rego由来)、ドイツ語Reich(帝国)、英語rich、サンスクリット語rāja(マハラジャ)とも同根。なお見た目が似ているReginaldは実は別語源(ゲルマン語ragin「助言」+wald「支配」)でRexとは無関係、という紛らわしい逸話がある。
出典: 各名前の語源辞典的知識(Behind the Name等の一般的な語源解説に基づく)。