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りんごとなしはバラ科ナシ連の「別属の親戚」=食べている部分は果実でなく花托

2026年9月24日生き物とからだ

問いは木下が出したもので、答えは Claude Code と調べて書いたものです。

りんごとなしって生物学的にどういう位置付けなの?

答え:同じバラ科(Rosaceae)ナシ亜科ナシ連の仲間で、属が違う(Malus と Pyrus)

りんごは Malus(リンゴ属)、なしは Pyrus(ナシ属)で、属としては別物だが、どちらもバラ科の中のナシ連(Maleae)に入る。ナシ連には他にマルメロ・カリン・ビワ・サンザシ・ナナカマドも入り、「芯のある果実」をつける仲間がここに集まっている。さらに外側のバラ科まで広げると、バラ・イチゴ・サクランボ・モモ・ウメ・アーモンドまで同じ科になる。りんごの花が桜に似ているのは偶然でなく、同じ科だからである。

なしの中でも和なし(幸水・豊水)は Pyrus pyrifolia、洋なし(ラ・フランス)は Pyrus communis で、同じ属の別種にあたる。つまり「和なしと洋なし」の距離は「和なしとりんご」より近い。

「果実」でなく花托を食べている

ナシ連の果実はナシ状果(pome)という型で、ふつうの果実と作りが違う。植物学でいう果実(子房が育った部分)は真ん中の芯だけで、私たちが食べる白い果肉は花托筒(かたくとう)=花の付け根が肥大したものである。りんごを縦に切ると芯の周りに薄い線(維管束の跡)が見えるが、あれが本来の果実の外縁で、その外側は全部花托が太った部分にあたる。イチゴの赤い部分も同じく花托で、バラ科はこの「花の土台を食べさせる」戦略を複数の系統で発達させている。

りんごとなしの違いは石細胞

なしを食べたときのシャリシャリした粒感は石細胞という細胞壁の厚い細胞の塊で、りんごには無い。これが両者を見分ける一番わかりやすい形態の差になっている。もう一つ、洋なしは木の上で熟さず収穫後に追熟させる必要があるが、和なしとりんごは木の上で熟す。

遺伝的にはかなり近い

両属の基本染色体数はどちらも x=17x = 17 で、これはナシ連の祖先が古い時代に全ゲノム重複(染色体一式がまるごと倍になる出来事)を経験した名残である。りんごのゲノムは 2010 年、なしは 2013 年に解読され、両者の分岐はおおむね数百万〜二千万年前と推定されている。遺伝子の並びも大部分が対応する。近さの実用的な証拠が接ぎ木で、なしの穂木をマルメロ(Cydonia、同じナシ連の別属)の台木に接ぐのは矮化栽培の常套手段になっている。りんごとなしの直接の接ぎ木は「つくが長持ちしない」ことが多く、属をまたぐ相性の限界も同時に示している。属間雑種も人為的には作られているが、自然にはまず生じない。

補足(同日):進化の来歴と野生の近縁種

もともとどういう進化をしてきて、野生下ではなにが近い仲間?

ナシ連の成り立ち。 バラ科の中でナシ連(りんご・なし・マルメロ・ビワ・サンザシ・ナナカマド)だけが染色体の基本数 x=17x = 17 を持つ。これはおよそ5,000万年前(新生代の初め)に、この系統の祖先で染色体一式がまるごと倍になる全ゲノム重複が起きた名残で、りんごのゲノム解読(2010年)で確かめられた。以前は「x=9x = 9 の系統と x=8x = 8 の系統の雑種でできた」と考えられていたが、今はサクラ・モモ側(サクラ亜科)の中で起きた自家倍加とされている。この倍加のあとに、花の付け根を太らせて動物に食べさせる「ナシ状果」という戦略がこの系統で確立し、そこからりんご属となし属が数百万〜二千万年前に分かれた。

りんごの来歴。 栽培りんご Malus domestica の主な祖先は、中央アジア天山山脈(カザフスタン南東部、アルマトイ周辺)の野生種 セイヨウリンゴの原種 Malus sieversii で、この地の森には今も直径 7 cm 級の大きな実をつける野生りんごが群生している。野生のりんご属は大半が直径 1〜2 cm の小さな実(クラブアップル)なので、なぜこの種だけ実が大きいのかは長く謎だったが、近年は「更新世の大型哺乳類(馬・熊・大型の草食獣)に運ばせるために大型化した」という説(Spengler, 2019)が有力で、大型獣が絶滅したあと人間がその役を引き継いだと考えられている。栽培化はシルクロードを西へ運ばれる過程で進み、途中でヨーロッパの野生種ヨーロッパクラブアップル Malus sylvestris と大規模に交雑した。2017 年のゲノム比較では、現在の栽培品種のゲノムには M. sieversii と同じくらい M. sylvestris の血が入っていることが示され、「祖先は一種」という単純な図式ではないことが分かっている。コーカサスの M. orientalis も一部寄与している。

なしの来歴。 なし属 Pyrus は中国南西部が起源地とされ、そこから天山山脈沿いに西へ広がった。栽培化は東西で独立に二度起きた。東(中国)では P. pyrifolia・P. ussuriensis・P. bretschneideri の系統から和なし・中国なしが、西(コーカサス〜西アジア)では野生洋なし P. communis subsp. pyraster やP. caucasica から洋なしが生まれた。和なしと洋なしが「同じ属なのに食感も熟し方も違う」のは、そもそも別々の野生集団から別々に家畜化されたからである。

日本の山に居る近縁種。 りんごの仲間では ズミ Malus toringo(本州〜九州の山地、直径 1 cm 弱の赤い実)とエゾノコリンゴ Malus baccata var. mandshurica(北海道・本州北部)が野生で、どちらも栽培りんごの台木や花粉用に使われてきた。なしの仲間では ヤマナシ(和なしの野生型または逸出)、イワテヤマナシPyrus ussuriensis var. aromatica(東北)、マメナシ Pyrus calleryana(愛知・岐阜の湿地に残る絶滅危惧種)が野生に居る。もう少し遠い親戚まで含めると、山で見かける ナナカマド・カマツカ・シャリンバイ・サンザシ・ビワ もすべて同じナシ連で、実を割ると小さな「芯」があるのは同じ作りだからである。