ここまでに何ができて、何ができていないか
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場の量子論入門 第1部 第1章 §1.1.1 ★★ 総括:非相対論 QM と相対論的 QM の到達点
非相対論的な量子力学は、1個の粒子に対して複素関数 を割り当て、 を「時刻 に位置 で粒子を見出す確率密度」と読む理論だった。 個の粒子を扱うときは という 変数の関数を用意する。ここで大事なのは、 が理論を書く前に決め打ちされているという点である。Hilbert 空間そのものが「粒子 個の空間」として作られているので、この形式には粒子が1個増えたり減ったりする状態を書く場所がない。
相対論的量子力学は、この波動関数の枠を保ったまま方程式だけを相対論的にしようとする試みだった。到達点は『量子力学入門』第13部にまとめたとおりで、得たものは大きい。Dirac 方程式は「時間について1階」という要求だけからスピン という内部自由度を強制し、非相対論極限で を自動的に吐き出し、Coulomb 場での厳密解が微細構造を まで再現し、負エネルギー解の読み替えとして陽電子を予言した。
それでも、1粒子の波動関数という枠自体は救われていない。本章では枠が壊れる場面を三方向から確定させる。エネルギーが 程度を超えると粒子数が保存しないこと(第1.2節)、Klein–Gordon 方程式の「確率密度」が正定値でなく、Dirac の海という処方がボゾンに使えないうえに無限の電荷を真空に持ち込むこと(第1.3節)、Compton 波長より細かく粒子を局在させようとすると、その操作自体が対生成を引き起こすこと(第1.4節)の3つである。症状は違うが病因は共通で、粒子数を固定した形式を相対論的な領域まで引き延ばしたことにある。
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