量子力学入門 第10部 第5章 §10.5.2 ★ 発展:dephasing と amplitude damping の Kraus 表現
量子ビット(基底 ∣0⟩,∣1⟩)で最重要の2チャネルを解剖する。
位相減衰(dephasing).
環境が「どちらの状態か」をそっと覗くチャネル:
K^0=1−p1^,K^1=pσ^z⟹E(ρ^)=(ρ00(1−2p)ρ10(1−2p)ρ01ρ11).
対角(占有率)は不変、非対角(コヒーレンス)だけが縮む。繰り返せば非対角は e−t/T2 で指数減衰する——重ね合わせ ∣0⟩+∣1⟩ が「∣0⟩ か ∣1⟩ かの古典混合」へ劣化していく過程であり、Bloch 球では球が z 軸へ向かってパンケーキ状に潰れる。エネルギーは1ミリも失われていないことに注意——失われたのは位相の情報である。機構の本質は「環境に which-path 情報が漏れた」こと:環境状態が ∣e0⟩→∣e0′⟩,∣e1′⟩ と系の状態に応じて分岐し、⟨e0′∣e1′⟩<1 になった分だけ干渉が死ぬ。二重スリットで経路を測ると縞が消える、あの物理の連続版である。
振幅減衰(amplitude damping).
励起状態が量子を環境へ吐き出すチャネル(自然放出そのもの):
K^0=(1001−γ),K^1=(00γ0)
(K^1:∣1⟩→∣0⟩ と落ちて環境に光子が1個増える枝、K^0:落ちなかった枝。∑K†K=1^ は確認済み)。占有率は ρ11→(1−γ)ρ11 で減衰時間 T1(エネルギー緩和)、非対角は 1−γ 倍で減衰時間 2T1。位相減衰と合わせると、コヒーレンス時間は
T21=2T11+Tφ1 (Tφ: 純位相減衰)⟹T2≤2T1
——実験で量子ビットの性能票に必ず載る T1,T2 の定義と関係式である。
AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com