中心場近似:軌道の概念が生き残る理由
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量子力学入門 第12部 第3章 §12.3.1 ★★ 中心場・遮蔽と 縮退の解け方
水素の次は He(第9部『同種粒子と第二量子化』の第1章で摂動・変分により攻略済み)だが、一般の 電子原子は厳密には手が出ない。それでも周期表・分光学・化学の大部分は、中心場近似+Pauli 原理+残留相互作用の摂動という3段の描像で定量的に理解できる。本章はその論理を一本道で通す。
電子のハミルトニアン
の困難は電子間反発 にある——これは小さくない(He で見たとおり0次エネルギーの3割)のでそのまま摂動にはできない。そこで反発の球対称な平均を一体ポテンシャルに繰り込む:
は内側で (裸の核)、外側で (他の 電子に遮蔽された正味電荷1)に漸近する。自己無撞着に決めれば Hartree(–Fock)法になるが、定性論には漸近形だけで足りる。
中心場である限り1電子の固有状態は でラベルされ——「軌道」という概念が多電子でも生き残る——が、水素と違い 縮退が解ける:小さい の軌道ほど原点付近に振幅をもち(遠心力障壁が低い)、遮蔽の内側の深いポテンシャルを感じて下がる。これが
の起源であり、 が より先に埋まる(K, Ca)などの周期表の「異常」もこの遮蔽の効きの差で説明される(第3部『中心力場と水素原子』の第2章で予告した「偶然縮退の崩壊」の現物である)。
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