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しきい値定理

2026年10月15日3分で読めますAI生成教科書『基礎理論』第2章 量子誤り訂正とフォールトトレラント計算
目次
  1. 誤りの勘定:
  2. 連結符号としきい値定理
  3. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

量子情報入門 第2章 §2.10

部品が揃った。仕上げは「フォールトトレラント化で誤りが本当に減るのか」の勘定である。

誤りの勘定:p→cp2p\to cp^2

フォールトトレラントCNOT+症候測定+回復、という1サイクルを考える。設計により、1個の故障は各ブロック高々1個の誤りしか生まず、それは次の誤り訂正で消される。出力ブロックに2個以上の誤り(=訂正不能)が残るには2個以上の独立な故障が必要であり、その確率は

Pr⁡[論理誤り]≤cp2\Pr[\text{論理誤り}] \le cp^2

と押さえられる。定数 cc は「故障ペアが起こりうる場所の数」で、Steane符号の構成を数え上げると、症候測定(生成元6個×各10箇所程度)+回復(7箇所)で1ステージ約70箇所、そのペアの組合せなどを合算して c≈104c\approx10^4 程度と見積もられる。p<1/c≈10−4p<1/c\approx10^{-4} なら cp2<pcp^2<p——符号化する方が素の物理ビットより確実になる損益分岐点である。

連結符号としきい値定理

p→cp2p\to cp^2 の改善は再帰的に適用できる。物理ビットを符号化し、その論理ビットをさらに符号化し……と kk 階層連結(concatenate)すると、最上位の実効故障確率は

cp2 → c(cp2)2 → ⋯ → (cp)2kccp^2\ \to\ c(cp^2)^2\ \to\ \cdots\ \to\ \frac{(cp)^{2^k}}{c}

と二重指数的に潰れていく。一方、回路サイズは1階層あたり定数倍 dd なので dkd^k 倍にしかならない。サイズ p(n)p(n) の回路を最終精度 ϵ\epsilon で走らせるには各ゲートを ϵ/p(n)\epsilon/p(n) の精度にすればよく、(cp)2k/c≤ϵ/p(n)(cp)^{2^k}/c\le\epsilon/p(n) を解くと必要階層数から

dk=O(poly(log⁡(p(n)/ϵ)))d^k = O\Bigl(\mathrm{poly}\bigl(\log(p(n)/\epsilon)\bigr)\Bigr)

——オーバーヘッドは多項式対数にとどまる。まとめると:

要点

しきい値定理:個々のハードウェア部品の故障確率 pp が定数のしきい値 pth=1/cp_{\mathrm{th}}=1/c を下回り、適切な仮定が満たされるならば、p(n)p(n) ゲートの量子回路は

O(poly(log⁡(p(n)/ϵ)) p(n))O\bigl(\mathrm{poly}(\log(p(n)/\epsilon))\,p(n)\bigr)

ゲートで誤差 ϵ\epsilon 以下で模擬できる。

粗い勘定では pth≈10−4p_{\mathrm{th}}\approx10^{-4}、より精密な解析では 10−510^{-5}–10−610^{-6} 程度とされる(しきい値は雑音モデルと構成の仮定に強く依存し、より新しい符号・解析では大幅に改善されている)。「適切な仮定」も明示しておく価値がある:(i) 並列性——誤り訂正を全ブロックで同時に回せなければ、誤りの蓄積に追い抜かれる;(ii) 古典計算・通信——症候の処理と回復の指示は古典側の仕事で、誤りの時間スケールより速く済ませる必要がある;(iii) 新鮮な補助ビットの定常供給——猫状態や魔法状態の材料となる低エントロピーな ∣0⟩\ket0 を絶えず補給できること(エントロピーを系外へ汲み出すポンプの役割)。

この定理の意義は、どれほど強調してもしすぎることはない。雑音は量子計算に対する原理的障害ではない。ハードウェアの精度がしきい値を超えさえすれば、物理法則のいかなる原理も、任意に大規模で長時間の量子計算の実現を妨げない——量子誤り訂正の理論が到達した、最も力強い結論である。

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