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Galilei 変換と Newton 力学の相対性

2026年10月15日13分で読めますAI生成教科書『基礎理論』第1章 相対性原理と光速不変
目次
  1. 慣性系
  2. Galilei 変換
  3. Newton の運動方程式の不変性
  4. 保存則と慣性系
  5. 確認テスト
  6. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

相対論入門 第1章 §1.1 ★★ 慣性系どうしの付け替えとして Galilei 変換を定め、Newton の運動方程式がその下で形を保つことを示す

この章では、特殊相対論が何を前提にして始まるかを確かめる。Newton 力学は Galilei 変換という座標の付け替えのもとで形を変えない。ところが電磁気学は、同じ付け替えのもとで形を変えてしまう。

この食い違いをどう解消するかについて19世紀の物理学は答えを持たず、Michelson と Morley の干渉実験は「光を運ぶ媒質に対する地球の運動」を見つけられなかった。1905年に Einstein は、相対性原理と光速不変の原理という2つの要請を置き、Galilei 変換の方を捨てるという道を選んだ。

この章の最後の節では、2つの原理だけから「離れた場所で同時」という言葉が観測者によって変わること(同時の相対性)と、動いている時計が遅れること(光時計による時間の遅れ)を導く。第2章ではこの2つを含む座標変換、つまり Lorentz 変換を導き、時間の遅れと長さの収縮を変換の帰結として整理し直す。第3章では、ここで描いた光の進み方を時空図の上で読み直す。

この章は前の章の結果を使わない。使う予備知識は、Newton の運動方程式と、真空中の Maxwell 方程式から波動方程式が出ることだけである。

光速の値は c=2.99792458×108 m/sc=2.99792458\times10^{8}\,\mathrm{m/s}(定義値)で、数値の例題と確認テストでは断りのない限りc=3.00×108 m/sc=3.00\times10^{8}\,\mathrm{m/s} として計算する。

慣性系

物理法則を書くには、まず座標系を決める必要がある。座標系とは、空間の位置を測る3本の物差しと、時刻を測る時計の組である。座標系の選び方は無数にあるが、その中には運動の法則が特に簡単に書けるものがある。

定義 1.1(慣性系)

力を受けていない物体が静止を続けるか等速直線運動を続ける座標系を慣性系という。

この定義は Newton の第1法則(慣性の法則)を、慣性系の存在を主張する文として読み直したものである。回転している円盤の上に固定した座標系では、力を受けていない物体も円盤から見ると曲がって進むので、その座標系は慣性系ではない。

慣性系 KK に対して一定の速度で動く座標系 K′K' を考える。KK で等速直線運動する物体は、K′K' から見ても等速直線運動をする(速度が一定量だけずれるだけだからである)。したがって慣性系がひとつあれば、それに対して等速で動く座標系はすべて慣性系である。

Galilei 変換

2つの慣性系の座標を次のように書く。

K ⁣: (t,x,y,z),K′ ⁣: (t′,x′,y′,z′)K\colon\ (t,x,y,z),\qquad K'\colon\ (t',x',y',z')

K′K' は KK に対して一定の速さで動くとする。その速さを vv、向きを xx 方向とする。時刻 t=t′=0t=t'=0 で両者の原点が重なり、座標軸の向きがそろっているとする(図 1.1)。

Newton 力学では時間はすべての観測者に共通であり、長さも観測者によらないと考える。KK で位置 xx にある点を考える。この点は、K′K' の原点から x−vtx-vt だけ離れて見える。

定義 1.2(Galilei 変換)

慣性系 K′K' が慣性系 KK に対して動いているとする。その速度を xx 方向に vv とするとき、2つの系の座標の関係

t′=t,x′=x−vt,y′=y,z′=z(1.1)t'=t,\qquad x'=x-vt,\qquad y'=y,\qquad z'=z\tag{1.1}

を(xx 方向の)Galilei 変換という。逆の関係は vv を −v-v に替えたもので、次のとおりである。

t=t′,x=x′+vt′t=t',\qquad x=x'+vt'

図

図 1.1 慣性系 KK と、KK に対して xx 方向へ速さ vv で動く慣性系 K′K'。時刻 tt に点 P の xx 座標は、KK では xx、K′K' では x−vtx-vt と読める。

(1.1) を時間で微分すると、速度と加速度の変換が得られる。t′=tt'=t なので d/dt′=d/dt\mathrm{d}/\mathrm{d} t'=\mathrm{d}/\mathrm{d} t である。物体の位置 x(t)x(t) について

ux′=dx′dt′=dxdt−v=ux−v,uy′=uy,uz′=uz,(1.2)u'_x=\frac{d x'}{d t'}=\frac{d x}{d t}-v=u_x-v,\qquad u'_y=u_y,\qquad u'_z=u_z,\tag{1.2}

ax′=dux′dt′=duxdt=ax,ay′=ay,az′=az(1.3)a'_x=\frac{d u'_x}{d t'}=\frac{d u_x}{d t}=a_x,\qquad a'_y=a_y,\qquad a'_z=a_z\tag{1.3}

となる。(1.2) が日常で使う速度の足し引き(Galilei の速度合成則)で、(1.3) は加速度が慣性系によらないことを表す。

Galilei 変換を2回続けて行うと、やはり Galilei 変換になる。次の順に付け替える(矢印の上は、左の系に対する右の系の速さ)。

K → v1  K′ → v2  K′′K\ \xrightarrow{\ v_1\ }\ K'\ \xrightarrow{\ v_2\ }\ K''

2回の変換を続けて書くと

x′′=x′−v2t′=x−(v1+v2)t,t′′=t′=t\begin{aligned}x''&=x'-v_2t'=x-(v_1+v_2)t,\\ t''&=t'=t\end{aligned}

となる。つまり2段の付け替えは、速さ v1+v2v_1+v_2 の1回の Galilei 変換と同じである。速さはただ足し合わされ、合成の順番にもよらない。第2章で導く Lorentz 変換では、この単純な足し算が成り立たなくなる。

Newton の運動方程式の不変性

相対性原理とは、物理法則がすべての慣性系で同じ形に書けるという要請である。Newton 力学がこの要請を満たすことを、相互作用する質点系で確かめる。

定理 1.3(Newton 力学の Galilei 不変性)

NN 個の質点を考える。各質点の質量を mim_i、位置を ri\bm{r}_i とする。質点どうしは、互いの相対位置だけで決まる力 Fij(ri−rj)\bm{F}_{ij}(\bm{r}_i-\bm{r}_j) を及ぼし合い、運動方程式

mi r¨i=∑j≠iFij(ri−rj)(i=1,…,N)(1.4)m_i\,\ddot{\bm{r}}_i=\sum_{j\ne i}\bm{F}_{ij}(\bm{r}_i-\bm{r}_j)\qquad(i=1,\dots,N)\tag{1.4}

に従うとする。このとき Galilei 変換 (1.1) で移った系の座標 ri′\bm{r}'_i も、同じ関数 Fij\bm{F}_{ij} を使った同じ形の方程式

mi r¨i′=∑j≠iFij(ri′−rj′)m_i\,\ddot{\bm{r}}'_i=\sum_{j\ne i}\bm{F}_{ij}(\bm{r}'_i-\bm{r}'_j)

を満たす。

証明

V=vx^\bm{V}=v\hat{\bm{x}} と置くと、Galilei 変換はベクトルで次のように書ける。

ri′=ri−Vt,t′=t\bm{r}'_i=\bm{r}_i-\bm{V} t,\qquad t'=t

左辺については、V\bm{V} が定数なので2回微分すると r¨i′=r¨i\ddot{\bm{r}}'_i=\ddot{\bm{r}}_i となる((1.3))。右辺については、同じ時刻の2つの位置の差を取ると

ri′−rj′=(ri−Vt)−(rj−Vt)=ri−rj\bm{r}'_i-\bm{r}'_j=(\bm{r}_i-\bm{V}t)-(\bm{r}_j-\bm{V}t)=\bm{r}_i-\bm{r}_j

となり、相対位置は2つの系で等しい。したがって右辺の力も2つの系で同じ値をとる。質量 mim_i は Newton 力学では観測者によらない定数である。以上から、(1.4) の左辺と右辺はそれぞれ K′K' の量で同じ形に書き直せる。

万有引力も Hooke のばねの力も、2つの物体の相対位置だけで決まるので、この定理が当てはまる。相対速度 r˙i−r˙j\dot{\bm{r}}_i-\dot{\bm{r}}_j に依存する摩擦力も、相対速度が Galilei 変換で変わらないので同じ結論になる。

一方で、ひとつの物体の速度そのものに依存する力は、この定理の仮定を満たさない。その代表は、磁場の中を動く電荷が受ける Lorentz 力 qu×Bq\bm{u}\times\bm{B} である。この式の速度 u\bm{u} は慣性系によって変わる。この点は、次節で述べる電磁気学との食い違いにつながっている。

Galilei 変換の全体

xx 方向のブーストのほかに、空間の回転(3つのパラメータ)、空間の平行移動(3つ)、時刻の原点のずらし(1つ)、任意の方向のブースト(3つ)を合わせた計10個のパラメータの変換も、Newton 力学の法則の形を変えない。これらをまとめて Galilei 群という。この章では xx 方向のブーストだけを扱う。

保存則と慣性系

運動量保存とエネルギー保存も、すべての慣性系で同時に成り立つ。運動量については、2つの系の間に次の関係がある。

miui′=miui−miVm_i\bm{u}'_i=m_i\bm{u}_i-m_i\bm{V}

衝突の前後で全質量 M=∑miM=\sum m_i が変わらないとする。このとき、KK で全運動量が保存すれば K′K' でも保存する。運動エネルギーについては

∑i12mi∣ui−V∣2=∑i12mi∣ui∣2−V⋅∑imiui+12M∣V∣2(1.5)\sum_i\frac12m_i\left\vert \bm{u}_i-\bm{V}\right\vert ^2=\sum_i\frac12m_i\left\vert \bm{u}_i\right\vert ^2-\bm{V}\cdot\sum_im_i\bm{u}_i+\frac12M\left\vert \bm{V}\right\vert ^2\tag{1.5}

であるから、KK で運動エネルギーと運動量の両方が保存すれば、K′K' でも運動エネルギーが保存する。右辺の第2項が衝突の前後で同じ値になるには運動量保存が要る点に注意する。2つの保存則はひとつの慣性系の中では別々の法則に見えるが、慣性系の付け替えを通して互いに結びついている。第5章では、相対論でこの結びつきがエネルギーと運動量を4成分のひとつの量にまとめる形で現れる。

例題 1.1 弾性衝突を2つの慣性系で見る ★★

オリジナル慣性系 KK の xx 軸上で、2つの球が正面から弾性衝突する。球1は質量 m1=1.0 kgm_1=1.0\,\mathrm{kg} で、速度 u1=4.0 m/su_1=4.0\,\mathrm{m/s} で進む。球2は質量 m2=3.0 kgm_2=3.0\,\mathrm{kg} で、静止している。

  1. 衝突後の2つの球の速度を KK で求めよ。
  2. KK に対して、球1の進む向きへ速さ v=1.0 m/sv=1.0\,\mathrm{m/s} で動く慣性系を考える。これを K′K' とし、衝突の前後の速度を K′K' で求めよ。K′K' でも運動量と運動エネルギーが保存することを確かめよ。
  3. 2つの系での全運動エネルギーの差が 12Mv2\frac12Mv^2(M=m1+m2M=m_1+m_2)に等しいことを確かめ、その理由を述べよ。
解答

1.  衝突後の速度を w1,w2w_1,w_2 とする。運動量保存と運動エネルギー保存は

m1u1=m1w1+m2w2,12m1u12=12m1w12+12m2w22m_1u_1=m_1w_1+m_2w_2,\qquad \frac12m_1u_1^2=\frac12m_1w_1^2+\frac12m_2w_2^2

である。第1式から m1(u1−w1)=m2w2m_1(u_1-w_1)=m_2w_2、第2式から m1(u1−w1)(u1+w1)=m2w22m_1(u_1-w_1)(u_1+w_1)=m_2w_2^2 を得る。w2≠0w_2\neq0 なので第2式を第1式で割ると u1+w1=w2u_1+w_1=w_2 となる。これを第1式に入れて解くと

w1=m1−m2m1+m2u1=1.0−3.04.0×4.0=−2.0 m/s,w2=2m1m1+m2u1=2.04.0×4.0=2.0 m/s.w_1=\frac{m_1-m_2}{m_1+m_2}u_1=\frac{1.0-3.0}{4.0}\times4.0=-2.0\,\mathrm{m/s},\qquad w_2=\frac{2m_1}{m_1+m_2}u_1=\frac{2.0}{4.0}\times4.0=2.0\,\mathrm{m/s}.

軽い球ははね返り、重い球は前へ進む。

2.  (1.2) からすべての速度から v=1.0 m/sv=1.0\,\mathrm{m/s} を引く。

衝突前: u1′=3.0 m/s,u2′=−1.0 m/s,衝突後: w1′=−3.0 m/s,w2′=1.0 m/s\begin{aligned}\text{衝突前}&:\ u'_1=3.0\,\mathrm{m/s},\quad u'_2=-1.0\,\mathrm{m/s},\\ \text{衝突後}&:\ w'_1=-3.0\,\mathrm{m/s},\quad w'_2=1.0\,\mathrm{m/s}\end{aligned}

全運動量は

前:1.0×3.0+3.0×(−1.0)=0,後:1.0×(−3.0)+3.0×1.0=0\text{前}: 1.0\times3.0+3.0\times(-1.0)=0,\qquad \text{後}: 1.0\times(-3.0)+3.0\times1.0=0

で保存する。全運動エネルギーは

前:12×1.0×3.02+12×3.0×1.02=6.0 J,後:12×1.0×3.02+12×3.0×1.02=6.0 J\text{前}: \tfrac12\times1.0\times3.0^2+\tfrac12\times3.0\times1.0^2=6.0\,\mathrm J,\qquad \text{後}: \tfrac12\times1.0\times3.0^2+\tfrac12\times3.0\times1.0^2=6.0\,\mathrm J

で保存する。K′K' では全運動量が 0 なので、K′K' は重心とともに動く系(重心系)である。重心系では弾性衝突は各球の速度の向きを反転させるだけになる。

3.  KK での全運動エネルギーは次のとおりである。

前:12×1.0×4.02=8.0 J,後:12×1.0×2.02+12×3.0×2.02=8.0 J\text{前}: \tfrac12\times1.0\times4.0^2=8.0\,\mathrm J,\qquad \text{後}: \tfrac12\times1.0\times2.0^2+\tfrac12\times3.0\times2.0^2=8.0\,\mathrm J

K′K' との差は 8.0−6.0=2.0 J8.0-6.0=2.0\,\mathrm J である。これは 12Mv2=12×4.0×1.02=2.0 J\frac12Mv^2=\frac12\times4.0\times1.0^2=2.0\,\mathrm J に等しい。

(1.5) で V\bm{V} の向きを入れ替えて読む。すると KK の運動エネルギーは、K′K' の運動エネルギーに次の量を足したものになる。

v∑imiui′+12Mv2v\sum_im_iu'_i+\frac12Mv^2

K′K' では全運動量 ∑imiui′\sum_im_iu'_i が 0 なので、第1項は消える。差は 12Mv2\frac12Mv^2 だけになる。

確認テスト

オリジナル

  1. 1.1-1 Galilei 変換 (1.1) のもとで、物体の加速度が KK と K′K' で等しいことを示せ。

  2. 1.1-2 電車が地面に対して速さ v=20 m/sv=20\,\mathrm{m/s} で走っている。地面の系を KK、電車の系を K′K' とする。電車の中で、床から高さ h=1.25 mh=1.25\,\mathrm m の位置から小球を静かに放す。重力加速度を g=10 m/s2g=10\,\mathrm{m/s^2} とし、空気抵抗は無視する。

    • (a) K′K' と KK のそれぞれで小球の軌道の式を書け。
    • (b) 床に着くまでの時間と、その間に KK で小球が水平に進む距離を求めよ。
    • (c) 2つの系で運動方程式が同じ形であることを確かめよ。
  3. 1.1-3 時刻と位置を縦に並べた (t,x)(t,x) に対し、Galilei 変換を2行2列の行列 G(v)G(v) を掛ける形で書け。G(v2)G(v1)=G(v1+v2)G(v_2)G(v_1)=G(v_1+v_2) と G(v)−1=G(−v)G(v)^{-1}=G(-v) を示せ。

  4. 1.1-4 衝突の前後で全質量が変わらず、慣性系 KK で全運動量が保存しているとする。KK で全運動エネルギーが保存することと、K′K' で全運動エネルギーが保存することが同値であることを、(1.5) を使って示せ。全質量が衝突で変わる場合に何が起きるかも述べよ。

木下の勉強ステータス

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