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最終回のひとこと:中1数学

2024年度 中1読み物2026年10月6日3分で読めます塾講師木下読み物

塾で中学1年生の数学を1年間受け持ち、その最終回にアンケート用紙の「ひとこと」欄へ載せた文章です。講師になって1年目の年でした。ほぼそのまま載せています。


最終授業ですね。実はこの「ひとこと」は書き溜めてて、これを書いてるのは2月7日とかなんですが、予定が変わらなければこの日は沖縄から昼に帰ってきての授業のはずです。お土産なに買おうかな。

この一年間いろんなことがあったと思います。受験を終え、新しい環境で新しい友人や先生に出会い、とても豊かで思い出深い一年となった人が多いのではないでしょうか。僕も皆さんと同じように去年の春受験を終えて大学に入って、いろんな新しい出会いや挑戦をした一年となりました。この塾で働くというのも僕に取っては非常に大きな挑戦でした。今までこれだけの人数の前で定期的に喋ったりする機会などありませんでしたし、対価をもらって人に何かを責任を持って教えた経験もありませんでしたから、初めの頃は本当に苦労したのを覚えています。

その中でも一年を通して僕がずっと念頭に置いていたのは、数学の面白さをなんとかしてみなさんに伝えることでした。数学という教科はその面白さの反面、積み上げが大事な教科であるので一度つまづくとその先が全く理解できなくなってしまい苦手意識を覚えてしまう人が多い教科でもあります。僕は高校時代本当に幸運にも学校でも塾でも最高の指導者に恵まれて、数学の楽しさを身を持って知ることができました。その一方で、同級生でも数学がネックでそれのせいで進路が狭まったり、また数学嫌いから広がり勉強そのものが嫌いになってしまうような人を何人も見てきました。だからこそ、みなさんが数学で苦しまず、そして数学が大好きになってもらうにはどうしたらいいのかを常に考えてきました。授業の予習段階でもできるだけみなさんに要求する前提知識のハードルを下げ、また授業中においても僕なりにみんなが楽しめるように努めたつもりです。

とは言え、限られた授業時間やとてつもない速度のカリキュラムの中では、どうしても説明が不完全燃焼になってしまった部分もありました。みなさんも、ほとんどの人がこの一年間の内容が全部完璧とは言えない状況にあると思います。それはこの速度のカリキュラムを初学段階で完璧にこなせる人などこの世の一握り中の一握りですから、当たり前のことです。それに悲観して「数学の才能がないのかな」とか思わないでください。少し精神論的な話にはなりますが、数学は本当にどれだけ手を動かして自分の頭で考えて問題を解いたかが実力に大きく影響します。ほとんどの人が少ない演習量では実力はつきませんし、逆に演習を積みまくれば誰だって無双できます。だからこそ、中学生という非常に早い段階で数学に本気になれるこの塾という最高の環境をうまく利用して、数学で無双すると共に数学を楽しむ心と頭を育んでほしいと思います。

何かを勉強するということは、世界のあらたな捉え方を自分の中に取り入れ、世界の解像度を上げるということです。例えば(この話は前も言ったような気がしますが)、高速道路の出口の円形の減速路で感じる遠心力に、以前までは何も感動を覚えることはありませんでしたが、力学の円運動の方程式:

a=v2ra=\dfrac{v^2}{r}

(遠心力による加速度aaがその円の半径rrに反比例し、速度vvの平方に比例するというもの)を知って、それを身を持って体験して感動を覚えたのを非常に強く覚えています。これは些細な例ですが、学問というのは先人たちが命を削ってこの世界に意味を与えて彩りを持たせるために作り出した捉え方の枠組みです。それを勉強するということは、人生のいろんな場面でその教養を生かし驚きと感動を感じるトリガーをあらかじめ自分の中に仕込むことであると同時に、さまざまな考え方を受容する優しさを育む営みでもあります。ぜひこれからの勉強でも、自分一人では到底思い付かなかったであろう考え方を学べることに感謝をしつつ、感動を覚えながら進んでいってほしいと思います。それが結果的に「テスト」という一面的な部分でも生きることにもなりますしね。

一年間、拙い授業だったとは思いますが、お付き合いいただきありがとうございました。

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