思い返してみれば、この3ヶ月いろんな感動があったと思います。極限では、今までふんわりとしか考えてこなかったであろう「無限」や「めちゃくちゃ近づける」という操作をちゃんと定式化し、微分では曲がり具合まで含めてキメラみたいなとんでもない関数たちのグラフの姿を描くことができるようになりました。積分では、今まで全く見当もつかなかったであろう訳のわからない領域の面積を求めたり、想像もつかないような立体の体積を断面を考えるだけで求めることができるようになりました。復習をする時も、いままでちゃんと考えることができなかった概念を数Ⅲという武器を使って数式化できてしまう感動を胸に感じながら手を進めてほしいと思います。
そして、数Ⅲの、とくにこの三ヶ月で扱った内容とその考え方は大学受験のみならず大学に入ってからの数学・物理学・化学・経済学などさまざまな学問の基礎となる部分です。ぜひここでしっかりと「数Ⅲ的な操作や考え方」を身につけ、それを持って今後の発展的な学習を楽しんでほしいと思います。
今週のおかえり問題2「おかえり問題」は、毎週のアンケート用紙の裏に載せていた、その回の内容を家で確かめるための問題です。この回の問題は木下が作りました。答えは Web に載せるときに付けたものです。
最終回ということでこれまでの範囲のいろんな問題を集めてみました。教科書を見ながらでもちろんいいので、最後まで解き切ってみましょう!
(1)次の極限を求めよ:
x→0lim2x5+x2sin(x7+6x2)
ヒント:サインの中身が分母にも来るようにしてうまく帳尻合わせ
(2)関数y=e−32x3の増減と凹凸を調べ、グラフの概形をかけ。変曲点も明記せよ。
(3)次の方程式の解の個数をaの値によって場合分けして答えよ:
ex=ax4
(4)次の不等式がx≧0で成り立つことを示せ:
sinx≧x−6x3
(5)次の積分をせよ:
∫(x+1){log(x+1)}31dx
(6)次の積分をせよ:
∫0211−x21dx
(7)領域:0≦x≦2π, sin2x≦y≦sinxをx軸周りに回転させた回転体の体積を求めよ。
答え(自分で求めてから開く)
(1)
0<∣x∣<21 のとき、x7+6x2=x2(x5+6) と 2x5+x2=x2(2x3+1) はどちらも 0 にならない(x5+6>5、2x3+1>43 だから)。そこで θ=x7+6x2 とおくと、
2x5+x2sin(x7+6x2)=θsinθ⋅x2(2x3+1)x2(x5+6)=θsinθ⋅2x3+1x5+6
と書ける。x→0 のとき θ→0(しかも θ=0)なので θsinθ→1、また 2x3+1x5+6→6 である。よって
x→0lim2x5+x2sin(x7+6x2)=1⋅6=6
(2)
y=e−32x3 はすべての実数 x で定義され、y>0 である。微分すると
y′y′′=−2x2e−32x3=(−4x+4x4)e−32x3=4x(x−1)(x2+x+1)e−32x3
e−32x3>0 なので、y′ の符号は −2x2 の符号と一致し、x=0 で y′<0、x=0 で y′=0 となる。y′=0 となるのは x=0 の1点だけなので、y は実数全体で単調に減少する(x=0 で接線が水平になるが、極値はとらない)。
y′′ の符号は、x2+x+1=(x+21)2+43>0 より x(x−1) の符号と一致する。したがって x<0 と x>1 で y′′>0(下に凸)、0<x<1 で y′′<0(上に凸)であり、y′′ の符号は x=0 と x=1 の前後で入れかわる。増減と凹凸をまとめると次のようになる(表の ↘ は減少、∪ は下に凸、∩ は上に凸を表す)。
| x | ⋯ | 0 | ⋯ | 1 | ⋯ |
| y′ | − | 0 | − | − | − |
| y′′ | + | 0 | − | 0 | + |
| y | ↘ ∪ | 1 | ↘ ∩ | e−32 | ↘ ∪ |
端のようすは、x→∞ のとき −32x3→−∞ なので y→0(x 軸が漸近線)、x→−∞ のとき −32x3→∞ なので y→∞ である。
以上より、実数全体で減少し、x<0 と x>1 で下に凸、0<x<1 で上に凸。変曲点は (0, 1) と (1, e−32) で、グラフの概形は下の図のとおり。

(3)
x=0 を代入すると左辺は 1、右辺は 0 なので、x=0 は解ではない。よって x=0 の範囲で考えてよく、方程式は
a=x4ex
と同値である。g(x)=x4ex (x=0) とおくと、求める解の個数は曲線 y=g(x) と直線 y=a の共有点の個数に等しい。
g′(x)=x8ex⋅x4−ex⋅4x3=x5ex(x−4)
ex>0 なので、g′(x) の符号は x5x−4 の符号で決まる。x<0 では分子・分母ともに負で g′>0、0<x<4 では g′<0、x>4 では g′>0 である。
端の極限を調べる。
- x→−∞ のとき、ex→0 かつ x4→∞ なので g(x)→0。
- x→0 のとき(左右どちらから近づいても)、ex→1 かつ x4→+0 なので g(x)→∞。
- x→∞ のとき:t≧0 で et≧1 が成り立つ。これを 0 から x まで積分すると ex≧1+x、もう一度積分すると ex≧1+x+2x2、と5回くり返せば、x>0 で ex≧1+x+⋯+120x5>120x5 が得られる。よって g(x)>120x となり、g(x)→∞。
また g(4)=256e4 である。増減表は次のとおり(0↗∞ は「0 に近い値から ∞ へ増加」の意味)。
| x | ⋯ | 0 | ⋯ | 4 | ⋯ |
| g′(x) | + | / | − | 0 | + |
| g(x) | 0↗∞ | / | ∞↘ | 256e4 | ↗∞ |
g は各区間で連続かつ狭義単調なので、中間値の定理より次のことがいえる。
- x<0 では、g は 0 より大きいすべての値をちょうど1回ずつとる。
- 0<x≦4 では、g は 256e4 以上のすべての値をちょうど1回ずつとる。
- x≧4 でも、g は 256e4 以上のすべての値をちょうど1回ずつとる。
a=256e4 のときは、2つ目と3つ目がどちらも x=4 の1点を指すので、重ねて数えないように注意する。以上から、解の個数は
- a≦0 のとき(g(x)>0 なので)0 個
- 0<a<256e4 のとき 1 個
- a=256e4 のとき 2 個
- a>256e4 のとき 3 個
となる。下の図で、直線 y=a を上下に動かして共有点を数えると確かめられる(白丸が共有点。上の直線は a>256e4、下の直線は 0<a<256e4 の例)。

(4)
h(x)=sinx−(x−6x3) とおき、x≧0 で h(x)≧0 を示す。
h′(x)h′′(x)h′′′(x)=cosx−1+2x2=−sinx+x=1−cosx
であり、h(0)=h′(0)=h′′(0)=0 である。
- すべての x で cosx≦1 なので h′′′(x)≧0。よって h′′ は x≧0 で単調に増加し、h′′(x)≧h′′(0)=0。
- h′′(x)≧0 (x≧0) なので h′ は x≧0 で単調に増加し、h′(x)≧h′(0)=0。
- h′(x)≧0 (x≧0) なので h は x≧0 で単調に増加し、h(x)≧h(0)=0。
したがって x≧0 で sinx≧x−6x3 が成り立つ。(等号は x=0 のときに成り立つ。)■
下の図のように、2つのグラフは原点で接し、x>0 では y=sinx がつねに上にある。

(5)
被積分関数が定義されるのは x+1>0 かつ log(x+1)=0、つまり x>−1, x=0 の範囲である。t=log(x+1) とおくと dxdt=x+11 なので、
∫(x+1){log(x+1)}3dx=∫t31dt=−2t21+C=−2{log(x+1)}21+C
(C は積分定数)。実際、右辺を x で微分すると −21⋅(−2){log(x+1)}−3⋅x+11 となり、被積分関数に戻る。
(6)
x=sinθ とおく。x が 0 から 21 まで動くとき、θ は 0 から 6π まで動くようにとれる。dx=cosθdθ であり、0≦θ≦6π では cosθ>0 なので
1−x2=cos2θ=∣cosθ∣=cosθ
よって
∫0211−x2dx=∫06πcosθ1⋅cosθdθ=∫06πdθ=6π
(7)
0≦x≦2π では 0≦sinx≦1 なので、sinx−sin2x=sinx(1−sinx)≧0、つまり 0≦sin2x≦sinx である。よって領域は下の図の塗った部分で、x 軸より上(y≧0 の側)にある。

この領域を x 軸のまわりに回転させると、平面 x=t (0≦t≦2π) による断面は、外側の半径 sint・内側の半径 sin2t の円環(ドーナツ形)になる。その面積は π(sin2t−sin4t) なので、体積は
V=π∫02π(sin2x−sin4x)dx
ここで
sin2x−sin4x=sin2x(1−sin2x)=sin2xcos2x=4sin22x=81−cos4x
と変形できるので、
V=8π∫02π(1−cos4x)dx=8π[x−4sin4x]02π=8π⋅2π=16π2