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1の n n n 乗根と原始 n n n 乗根
目次
1. z n = 1 の解は正 n 角形の頂点に並ぶ 2. はじめて 1 に戻る回数と原始 n 乗根 3. 原始 n 乗根のべきは n 乗根をすべて出す 4. 同じ論法を整数の余りに使う 5. 積について閉じた有限集合
目次 1. z n = 1 の解は正 n 角形の頂点に並ぶ 2. はじめて 1 に戻る回数と原始 n 乗根 3. 原始 n 乗根のべきは n 乗根をすべて出す 4. 同じ論法を整数の余りに使う 5. 積について閉じた有限集合
絶対値が 1 1 1 の複素数をかけると、複素数平面の点は原点のまわりにその偏角だけ回ります。この頁ではこの見方を足場にして、方程式 z n = 1 z^n=1 z n = 1 の解を調べます。§1〜§3 は授業で扱った問題の背景にあたる内容で、§4 は同じ論法を整数の余りに当てはめた話、§5 は入試に出たことのある発展的な話題です。
1. z n = 1 z^n=1 z n = 1 の解は正 n n n 角形の頂点に並ぶ
z = r ( cos θ + i sin θ ) ( r > 0 ) z=r(\cos\theta+i\sin\theta)\ (r>0) z = r ( cos θ + i sin θ ) ( r > 0 ) とおくと、ド・モアブルの定理から z n = r n ( cos n θ + i sin n θ ) z^n=r^n(\cos n\theta+i\sin n\theta) z n = r n ( cos n θ + i sin n θ ) です。これが 1 1 1 に等しくなるのは、r n = 1 r^n=1 r n = 1 で、しかも n θ n\theta n θ が 2 π 2\pi 2 π の整数倍のときです。よって r = 1 r=1 r = 1 、θ = 2 π k n \theta=\dfrac{2\pi k}{n} θ = n 2 π k (k k k は整数)となります。k k k を n n n だけ増やすと偏角が 2 π 2\pi 2 π 増えて同じ点に戻るので、異なる解は
ξ k = cos 2 π k n + i sin 2 π k n ( k = 0 , 1 , … , n − 1 ) \begin{aligned}\xi_k&=\cos\frac{2\pi k}{n}+i\sin\frac{2\pi k}{n}\qquad (k=0,\,1,\,\ldots,\,n-1)\end{aligned} ξ k = cos n 2 π k + i sin n 2 π k ( k = 0 , 1 , … , n − 1 )
の n n n 個です。これらを 1 1 1 の n n n 乗根 と呼びます。偏角が 2 π n \dfrac{2\pi}{n} n 2 π ずつ増えるので、n n n 個の点は単位円を n n n 等分し、1 1 1 を頂点の一つとする正 n n n 角形の頂点になります。なお ξ n = ξ 0 = 1 \xi_n=\xi_0=1 ξ n = ξ 0 = 1 なので、番号を 1 1 1 から n n n まで振っても同じ n n n 個を表します(§2 ではそちらを使います)。
一つの 1 1 1 の n n n 乗根 z z z をとって 1 , z , z 2 , … 1,\,z,\,z^2,\,\ldots 1 , z , z 2 , … と並べるとき、隣の頂点へ一つずつ進むとは限りません。z z z をかけるたびに点は z z z の偏角だけ回るので、z z z の偏角が大きければ一度に何個も頂点を飛ばします。図1は n = 7 n=7 n = 7 、z = ξ 3 z=\xi_3 z = ξ 3 (偏角は 3 7 ⋅ 2 π \dfrac37\cdot2\pi 7 3 ⋅ 2 π )の場合で、1 → z → z 2 → ⋯ → z 7 = 1 1\to z\to z^2\to\cdots\to z^7=1 1 → z → z 2 → ⋯ → z 7 = 1 と結ぶと、星形を描きながら単位円を 3 3 3 周して、7 7 7 個の頂点をちょうど 1 1 1 回ずつ通ります。
図1 1 1 1 の 7 7 7 乗根と、z z z の偏角が 3 7 \frac37 7 3 周のときの 1 , z , z 2 , … , z 6 1,\ z,\ z^2,\ \ldots,\ z^6 1 , z , z 2 , … , z 6 の位置。順に結ぶと星形になる 授業で扱った問題のように「1 , z , z 2 , … , z n − 1 1,\,z,\,z^2,\,\ldots,\,z^{n-1} 1 , z , z 2 , … , z n − 1 が正 n n n 角形の頂点をなす」という場面でも、この順に隣り合っているかどうかは別に確かめる必要があります。
2. はじめて 1 1 1 に戻る回数と原始 n n n 乗根
図1の z z z は 7 7 7 回かけてはじめて 1 1 1 に戻りました。ところが、どの 1 1 1 の n n n 乗根でも n n n 回かかるわけではありません。n = 12 n=12 n = 12 で偏角 8 12 ⋅ 2 π = 4 π 3 \dfrac{8}{12}\cdot2\pi=\dfrac{4\pi}{3} 12 8 ⋅ 2 π = 3 4 π の点 α \alpha α をとると、α 3 \alpha^3 α 3 の偏角は 4 π 4\pi 4 π なので α 3 = 1 \alpha^3=1 α 3 = 1 となり、α \alpha α のべきは 12 12 12 個の頂点のうち 3 3 3 個しか通りません(図2の右)。この違いを言葉にするために、次の用語を使います。
位数と原始 n n n 乗根
複素数 z z z について、z k = 1 z^k=1 z k = 1 を満たす最小の正の整数 k k k を z z z の位数 という。
1 1 1 の n n n 乗根のうち、位数がちょうど n n n であるもの(n n n 乗してはじめて 1 1 1 になるもの)を 1 1 1 の原始 n n n 乗根 という。
図2 1 1 1 の 12 12 12 乗根。左は偏角 5 12 \frac5{12} 12 5 周の α \alpha α のべきが 12 12 12 個すべてを通る様子、右は偏角 8 12 \frac8{12} 12 8 周の α \alpha α のべきが 3 3 3 個だけを通る様子 n = 12 n=12 n = 12 について、ξ m \xi_m ξ m (偏角 m 12 ⋅ 2 π \dfrac{m}{12}\cdot2\pi 12 m ⋅ 2 π )の位数を m = 1 , … , 12 m=1,\,\ldots,\,12 m = 1 , … , 12 で全部書き出すと次の表になります。
m m m
位数
m m m
位数
1
12
7
12
2
6
8
3
3
4
9
4
4
3
10
6
5
12
11
12
6
2
12
1
表の位数は、分数 m 12 \dfrac{m}{12} 12 m を約分しきったときの分母になっています。たとえば 8 12 = 2 3 \dfrac{8}{12}=\dfrac23 12 8 = 3 2 なので位数は 3 3 3 、9 12 = 3 4 \dfrac{9}{12}=\dfrac34 12 9 = 4 3 なので位数は 4 4 4 です。約分できない m = 1 , 5 , 7 , 11 m=1,\,5,\,7,\,11 m = 1 , 5 , 7 , 11 だけが位数 12 12 12 、すなわち原始 12 12 12 乗根です。一般に次が成り立ちます。
ξ m \xi_m ξ m の位数と、原始 n n n 乗根になる条件
ξ m = cos 2 π m n + i sin 2 π m n ( m = 1 , 2 , … , n ) \xi_m=\cos\dfrac{2\pi m}{n}+i\sin\dfrac{2\pi m}{n}\ (m=1,\,2,\,\ldots,\,n) ξ m = cos n 2 π m + i sin n 2 π m ( m = 1 , 2 , … , n ) について、m m m と n n n の最大公約数を d d d とすると
ξ m の位数 = n d \xi_m\ \text{の位数}=\frac nd ξ m の位数 = d n
特に、ξ m \xi_m ξ m が 1 1 1 の原始 n n n 乗根であるのは、m m m と n n n が互いに素のとき、かつそのときに限る。
証明
正の整数 k k k について、ξ m k = cos 2 π m k n + i sin 2 π m k n \xi_m^{\,k}=\cos\dfrac{2\pi mk}{n}+i\sin\dfrac{2\pi mk}{n} ξ m k = cos n 2 π mk + i sin n 2 π mk が 1 1 1 になるのは、m k n \dfrac{mk}{n} n mk が整数のとき、つまり n n n が m k mk mk を割り切るときである。m = d m ′ m=dm' m = d m ′ 、n = d n ′ n=dn' n = d n ′ とおくと m ′ m' m ′ と n ′ n' n ′ は互いに素で、「n n n が m k mk mk を割り切る」は「n ′ n' n ′ が m ′ k m'k m ′ k を割り切る」と同じである。n ′ n' n ′ は m ′ m' m ′ と共通の素因数を持たないので、これは「n ′ n' n ′ が k k k を割り切る」と同値になる。そのような正の整数 k k k のうち最小のものは k = n ′ = n d k=n'=\dfrac nd k = n ′ = d n である。□
1 1 1 の原始 n n n 乗根の個数は、1 1 1 以上 n n n 以下で n n n と互いに素な整数の個数に等しくなります。n = 12 n=12 n = 12 なら 4 4 4 個、n n n が素数 p p p なら 1 1 1 以外の p − 1 p-1 p − 1 個すべてです。
3. 原始 n n n 乗根のべきは n n n 乗根をすべて出す
図2の左では、原始 12 12 12 乗根 α \alpha α のべき α , α 2 , … , α 12 \alpha,\,\alpha^2,\,\ldots,\,\alpha^{12} α , α 2 , … , α 12 が 12 12 12 個の頂点を 1 1 1 回ずつ通っていました。これは偶然ではありません。
原始 n n n 乗根のべき
α \alpha α を 1 1 1 の原始 n n n 乗根とすると、α , α 2 , … , α n \alpha,\ \alpha^2,\ \ldots,\ \alpha^n α , α 2 , … , α n は互いに異なり、この n n n 個で 1 1 1 の n n n 乗根がすべて出そろう。
証明
各 α k \alpha^k α k は ( α k ) n = ( α n ) k = 1 (\alpha^k)^n=(\alpha^n)^k=1 ( α k ) n = ( α n ) k = 1 を満たすので 1 1 1 の n n n 乗根である。1 1 1 の n n n 乗根は全部で n n n 個しかないから、α , … , α n \alpha,\,\ldots,\,\alpha^n α , … , α n が互いに異なることさえ言えれば、n n n 個すべてが現れる。
α k = α l ( 1 ≦ k < l ≦ n ) \alpha^k=\alpha^l\ (1\leqq k<l\leqq n) α k = α l ( 1 ≦ k < l ≦ n ) となる組があったとする。α ≠ 0 \alpha\neq0 α = 0 なので両辺を α k \alpha^k α k で割れて、α l − k = 1 \alpha^{l-k}=1 α l − k = 1 となる。ところが 1 ≦ l − k ≦ n − 1 1\leqq l-k\leqq n-1 1 ≦ l − k ≦ n − 1 であり、これは α \alpha α の位数が n n n であることに反する。よって α , … , α n \alpha,\,\ldots,\,\alpha^n α , … , α n は互いに異なる。□
逆に、α \alpha α の位数 e e e が n n n より小さいと、α k + e = α k \alpha^{k+e}=\alpha^k α k + e = α k なので同じ点が e e e 個ごとにくり返し現れ、べきが通る点は e e e 個だけです(図2の右は e = 3 e=3 e = 3 )。
証明の中身は「二つが重なったと仮定すると、その差の回数だけかけて 1 1 1 に戻ることになり、位数より少ない回数で戻るので矛盾」という一行です。次の §4 と §5 でも、この形の議論をもう一度使います。
4. 同じ論法を整数の余りに使う
1 1 1 の n n n 乗根の世界の「α \alpha α をかけて回る」を、整数の世界の「a a a を足して b b b で割った余りを見る」に置き換えると、ほとんど同じ議論が通ります。a = 5 a=5 a = 5 、b = 7 b=7 b = 7 で 5 , 10 , 15 , 20 , 25 , 30 5,\,10,\,15,\,20,\,25,\,30 5 , 10 , 15 , 20 , 25 , 30 を 7 7 7 で割った余りを並べると 5 , 3 , 1 , 6 , 4 , 2 5,\,3,\,1,\,6,\,4,\,2 5 , 3 , 1 , 6 , 4 , 2 となり、1 1 1 から 6 6 6 までが 1 1 1 回ずつ現れます。7 7 7 目盛りの時計を 5 5 5 目盛りずつ進むと考えると、図3のように星形を描いてすべての目盛りを通ります。
図3 0 0 0 から 6 6 6 の目盛りを持つ円で、0 0 0 から 5 5 5 目盛りずつ進むと 0 , 5 , 3 , 1 , 6 , 4 , 2 0,\,5,\,3,\,1,\,6,\,4,\,2 0 , 5 , 3 , 1 , 6 , 4 , 2 の順にすべての目盛りを通る 倍数を b b b で割った余りは重ならない
自然数 a , b a,\ b a , b は互いに素で、b ≧ 2 b\geqq2 b ≧ 2 とする。a , 2 a , … , ( b − 1 ) a a,\ 2a,\ \ldots,\ (b-1)a a , 2 a , … , ( b − 1 ) a を b b b で割った余りは互いに異なり、どれも 0 0 0 でない。したがって、余りには 1 , 2 , … , b − 1 1,\,2,\,\ldots,\,b-1 1 , 2 , … , b − 1 がちょうど 1 1 1 回ずつ現れる。
証明
1 ≦ k ≦ b − 1 1\leqq k\leqq b-1 1 ≦ k ≦ b − 1 とする。k a ka k a が b b b で割り切れたとすると、a a a と b b b は互いに素なので k k k が b b b で割り切れることになるが、0 < k < b 0<k<b 0 < k < b なのでありえない。よって余りに 0 0 0 は無い。
次に、k a ka k a と l a ( 1 ≦ k < l ≦ b − 1 ) la\ (1\leqq k<l\leqq b-1) l a ( 1 ≦ k < l ≦ b − 1 ) の余りが等しいとすると、差 ( l − k ) a (l-k)a ( l − k ) a が b b b で割り切れる。同じ理由で l − k l-k l − k が b b b で割り切れることになるが、1 ≦ l − k ≦ b − 2 1\leqq l-k\leqq b-2 1 ≦ l − k ≦ b − 2 なので矛盾する。よって余りは互いに異なる。
1 1 1 以上 b − 1 b-1 b − 1 以下の値をとる b − 1 b-1 b − 1 個の余りが互いに異なるので、1 1 1 から b − 1 b-1 b − 1 までがちょうど 1 1 1 回ずつ現れる。□
この性質を「中国剰余定理」と呼ぶ資料がありますが、それは別の定理です。1 1 中国剰余定理は「m , n m,\ n m , n が互いに素なら、x ≡ a ( m o d m ) x\equiv a\pmod m x ≡ a ( mod m ) と x ≡ b ( m o d n ) x\equiv b\pmod n x ≡ b ( mod n ) を同時に満たす整数 x x x が、m n mn mn で割った余りとしてただ一つに定まる」という連立合同式の定理です。この節の性質は、その証明に使われる補題にあたります。 ここから、整数の重要な性質が二つ導けます。
a x + b y = 1 ax+by=1 a x + b y = 1 の整数解
a , b a,\ b a , b が互いに素な整数ならば、a x + b y = 1 ax+by=1 a x + b y = 1 を満たす整数の組 ( x , y ) (x,\,y) ( x , y ) が存在する。
証明
まず a , b a,\ b a , b が自然数の場合を示す。b = 1 b=1 b = 1 なら ( x , y ) = ( 0 , 1 ) (x,\,y)=(0,\,1) ( x , y ) = ( 0 , 1 ) でよい。b ≧ 2 b\geqq2 b ≧ 2 なら、上の性質から a , 2 a , … , ( b − 1 ) a a,\,2a,\,\ldots,\,(b-1)a a , 2 a , … , ( b − 1 ) a の中に b b b で割った余りが 1 1 1 になるもの x a xa x a がある。x a − 1 xa-1 x a − 1 は b b b の倍数なので、x a − 1 = − y b xa-1=-yb x a − 1 = − y b となる整数 y y y がとれ、a x + b y = 1 ax+by=1 a x + b y = 1 が成り立つ。
a a a や b b b が負のときは、∣ a ∣ , ∣ b ∣ |a|,\ |b| ∣ a ∣ , ∣ b ∣ について得た解の x x x や y y y の符号を変えればよい。一方が 0 0 0 のときは、互いに素であることから他方は ± 1 \pm1 ± 1 なので、解はすぐに見つかる。□
a = 5 , b = 7 a=5,\ b=7 a = 5 , b = 7 なら、余りが 1 1 1 になるのは 3 ⋅ 5 = 15 = 2 ⋅ 7 + 1 3\cdot5=15=2\cdot7+1 3 ⋅ 5 = 15 = 2 ⋅ 7 + 1 なので、5 ⋅ 3 + 7 ⋅ ( − 2 ) = 1 5\cdot3+7\cdot(-2)=1 5 ⋅ 3 + 7 ⋅ ( − 2 ) = 1 が一つの解です。
フェルマーの小定理
p p p を素数、a a a を p p p で割り切れない整数とすると、
a p − 1 ≡ 1 ( m o d p ) a^{p-1}\equiv1\pmod p a p − 1 ≡ 1 ( mod p )
証明
a a a を p p p で割った余りを考えれば、a a a は 1 ≦ a ≦ p − 1 1\leqq a\leqq p-1 1 ≦ a ≦ p − 1 としてよい(a a a を余りに置き換えても a p − 1 a^{p-1} a p − 1 の余りは変わらない)。p p p は素数で a a a を割り切らないので、a a a と p p p は互いに素である。上の性質から a , 2 a , … , ( p − 1 ) a a,\,2a,\,\ldots,\,(p-1)a a , 2 a , … , ( p − 1 ) a を p p p で割った余りは 1 , … , p − 1 1,\,\ldots,\,p-1 1 , … , p − 1 を並べかえたものなので、全部かけると
a ⋅ 2 a ⋯ ( p − 1 ) a ≡ 1 ⋅ 2 ⋯ ( p − 1 ) ( m o d p ) a\cdot2a\cdots(p-1)a\equiv1\cdot2\cdots(p-1)\pmod p a ⋅ 2 a ⋯ ( p − 1 ) a ≡ 1 ⋅ 2 ⋯ ( p − 1 ) ( mod p )
左辺は a p − 1 ( p − 1 ) ! a^{p-1}\,(p-1)! a p − 1 ( p − 1 )! なので、p p p は ( p − 1 ) ! ( a p − 1 − 1 ) (p-1)!\,(a^{p-1}-1) ( p − 1 )! ( a p − 1 − 1 ) を割り切る。素数 p p p は 1 , 2 , … , p − 1 1,\,2,\,\ldots,\,p-1 1 , 2 , … , p − 1 のどれも割り切らないから ( p − 1 ) ! (p-1)! ( p − 1 )! も割り切らず、したがって p p p は a p − 1 − 1 a^{p-1}-1 a p − 1 − 1 を割り切る。□
最後の段で ( p − 1 ) ! (p-1)! ( p − 1 )! を両辺から消すときに、p p p が素数であることを使いました。合同式の両辺を同じ数で割ることは一般にはできません(2 ⋅ 3 ≡ 2 ⋅ 0 ( m o d 6 ) 2\cdot3\equiv2\cdot0\pmod 6 2 ⋅ 3 ≡ 2 ⋅ 0 ( mod 6 ) ですが 3 ≢ 0 ( m o d 6 ) 3\not\equiv0\pmod 6 3 ≡ 0 ( mod 6 ) )。p = 7 , a = 5 p=7,\ a=5 p = 7 , a = 5 で確かめると、5 6 = 15625 = 7 ⋅ 2232 + 1 5^6=15625=7\cdot2232+1 5 6 = 15625 = 7 ⋅ 2232 + 1 です。
5. 積について閉じた有限集合
集合 G G G のどの二つの要素(同じ要素を二度選んでもよい)の積も G G G の要素になる とき、G G G は積について閉じているといいます。1 1 1 の n n n 乗根全体は積について閉じています。α n = β n = 1 \alpha^n=\beta^n=1 α n = β n = 1 なら ( α β ) n = α n β n = 1 (\alpha\beta)^n=\alpha^n\beta^n=1 ( α β ) n = α n β n = 1 だからです。これに 0 0 0 を加えた集合も閉じています。反対に、{ 1 , − 1 , i } \{1,\,-1,\,i\} { 1 , − 1 , i } は i ⋅ ( − 1 ) = − i i\cdot(-1)=-i i ⋅ ( − 1 ) = − i が入っていないので閉じていません。
では、有限個の複素数からなり積について閉じた集合は、ほかにもあるのでしょうか。答えは「これだけ」です。
積について閉じた有限集合
① 0 0 0 を含まない n n n 個の複素数からなり、積について閉じた集合は、1 1 1 の n n n 乗根全体に限る。
② 0 0 0 を含む n + 1 n+1 n + 1 個の複素数からなり、積について閉じた集合は、1 1 1 の n n n 乗根全体に 0 0 0 を加えたものに限る。
①は、2001年の京都府立医科大学の入試で証明させる形で出題されています。
①の証明
集合を G = { z 1 , z 2 , … , z n } G=\{z_1,\,z_2,\,\ldots,\,z_n\} G = { z 1 , z 2 , … , z n } とし、G G G から要素 z z z を一つ選ぶ。n n n 個の積 z z 1 , z z 2 , … , z z n zz_1,\,zz_2,\,\ldots,\,zz_n z z 1 , z z 2 , … , z z n は、閉じていることからどれも G G G の要素である。また z ≠ 0 z\neq0 z = 0 なので、z z j = z z k zz_j=zz_k z z j = z z k なら z j = z k z_j=z_k z j = z k となり、この n n n 個は互いに異なる。G G G の要素はちょうど n n n 個なので、z z 1 , … , z z n zz_1,\,\ldots,\,zz_n z z 1 , … , z z n は z 1 , … , z n z_1,\,\ldots,\,z_n z 1 , … , z n を並べかえたものにほかならない。
そこで両方の n n n 個をそれぞれ全部かけると、積の値は等しく
z n z 1 z 2 ⋯ z n = z 1 z 2 ⋯ z n z^n\,z_1z_2\cdots z_n=z_1z_2\cdots z_n z n z 1 z 2 ⋯ z n = z 1 z 2 ⋯ z n
z 1 z 2 ⋯ z n ≠ 0 z_1z_2\cdots z_n\neq0 z 1 z 2 ⋯ z n = 0 で割って z n = 1 z^n=1 z n = 1 を得る。z z z は G G G のどの要素でもよかったので、G G G の要素はすべて 1 1 1 の n n n 乗根である。1 1 1 の n n n 乗根はちょうど n n n 個で、G G G も n n n 個の要素からなるので、G G G は 1 1 1 の n n n 乗根全体に一致する。□
②は①に帰着できます。G G G から 0 0 0 を除いた n n n 個の集合を G ′ G' G ′ とすると、G ′ G' G ′ の二つの要素の積は G G G の要素で、しかも 0 0 0 でない数どうしの積なので 0 0 0 ではありません。よって積は G ′ G' G ′ の要素であり、G ′ G' G ′ は 0 0 0 を含まない n n n 個の、積について閉じた集合です。①から G ′ G' G ′ は 1 1 1 の n n n 乗根全体です。
この種の問題は、知っている発想が無いと手が止まりやすいので、二つの着眼をまとめておきます。
要素 z z z を全要素にかけても、結果は互いに重ならない(§3・§4 と同じ「重なれば割って矛盾」の議論)。
全要素の積を「かける前」と「かけた後」の二通りに書き、等しいとおいて z n z^n z n を取り出す。
①の結論からもう一つ分かることがあります。要素が N N N 個の、0 0 0 を含まず積について閉じた集合は 1 1 1 の N N N 乗根全体なので、各要素は §2 の ξ m \xi_m ξ m (n = N n=N n = N )のどれかで、その位数は N d \dfrac{N}{d} d N の形です。つまり
ということです。N = 12 N=12 N = 12 なら §2 の表のとおり、位数は 1 , 2 , 3 , 4 , 6 , 12 1,\,2,\,3,\,4,\,6,\,12 1 , 2 , 3 , 4 , 6 , 12 のどれかで、12 12 12 の約数でない 5 5 5 や 8 8 8 は現れません。
1 中国剰余定理は「m , n m,\ n m , n が互いに素なら、x ≡ a ( m o d m ) x\equiv a\pmod m x ≡ a ( mod m ) と x ≡ b ( m o d n ) x\equiv b\pmod n x ≡ b ( mod n ) を同時に満たす整数 x x x が、m n mn mn で割った余りとしてただ一つに定まる」という連立合同式の定理です。この節の性質は、その証明に使われる補題にあたります。
塾の授業で配った補足資料をもとに書き直しました。
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