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zz と zˉ\bar z が同居する方程式

2025年度 高2解説2026年10月6日17分で読めます塾講師木下複素数平面
目次
  1. 1. 未知数は2つあると数える
  2. 2. 共役をとって引き算したあとの注意
  3. 3. 絶対値を見たときの3つの読み方
  4. 4. 複素数平面の直線の方程式
  5. 4-1. 通る1点と方向ベクトル
  6. 4-2. 通る2点
  7. 4-3. 通る1点と法線ベクトル
  8. 4-4. 垂直二等分線
  9. まとめ
  10. 5. 絶対値が の複素数

複素数平面の方程式には、zz だけでなく共役複素数 zˉ\bar z や絶対値 ∣z∣|z| を含むものが多く現れます。以下では、こうした方程式を解く手順、その途中で起こりやすい論理の抜け、そして式を平面上の図形として読み取る方法を、例を1つずつ解きながら説明します。

1. 未知数は2つあると数える

z=x+yiz=x+yi と書けば zˉ=x−yi\bar z=x-yi、∣z∣=x2+y2|z|=\sqrt{x^2+y^2} なので、zˉ\bar z も ∣z∣|z| も zz から決まる量です。それでも式変形をするときは、zz と zˉ\bar z を別々の未知数と見なすと方針が立てやすくなります。未知数を2つと数えた以上、方程式も2本そろえる必要があります。手持ちの式から2本目を作る手段は、次の3つです。

zz と zˉ\bar z の両方を含む式から、もう1本の式を作る

  1. 方程式の両辺の共役複素数をとる(zz と zˉ\bar z の役割が入れ替わった式が得られる)
  2. zzˉ=∣z∣2z\bar z=|z|^2 を使い、zˉ\bar z を zz と ∣z∣|z| で書き表す
  3. 方程式の両辺の絶対値をとる

例1 (2−i)z+(2+i)zˉ=10(2-i)z+(2+i)\bar z=10 と ∣z∣=5|z|=5 を同時に満たす zz を求めます。

2本目の式から zzˉ=25z\bar z=25 で、z≠0z\neq0 なので zˉ=25z\bar z=\dfrac{25}{z} です。これを1本目に入れて両辺に zz を掛けると、zˉ\bar z が消えて

(2−i)z2−10z+25(2+i)=0(2-i)z^2-10z+25(2+i)=0

という zz の2次方程式になります。解の公式から

z=5±25−25(2−i)(2+i)2−i=5±10i2−i,つまり z=5i, 4−3i\begin{aligned}z&=\frac{5\pm\sqrt{25-25(2-i)(2+i)}}{2-i}\\&=\frac{5\pm10i}{2-i},\\\text{つまり}\ z&=5i,\ 4-3i\end{aligned}

です(−100\sqrt{-100} は 10i10i とし、分母は 2+i2+i を掛けて実数にしました)。

同じ連立方程式を z=x+yiz=x+yi で書き直すと、1本目の左辺は (2−i)z(2-i)z とその共役の和なので 2 Re{(2−i)z}=2(2x+y)2\,\mathrm{Re}\{(2-i)z\}=2(2x+y) となり、1本目は直線 2x+y=52x+y=5、2本目は円 x2+y2=25x^2+y^2=25 を表します。2つの解は、この直線と円の2つの交点 (0,5)(0,5)、(4,−3)(4,-3) に対応しています。

図1図1 原点中心・半径 55 の円と、直線 2x+y=52x+y=5。交点は 5i5i と 4−3i4-3i

例2 z2=zˉz^2=\bar z を満たす zz を求めます。

ここでは3つ目の手段を使います。両辺の絶対値をとると ∣z∣2=∣z∣|z|^2=|z|、つまり ∣z∣(∣z∣−1)=0|z|(|z|-1)=0 なので、∣z∣=0|z|=0 か ∣z∣=1|z|=1 です。∣z∣=0|z|=0 なら z=0z=0 で、これは元の式を満たします。∣z∣=1|z|=1 のときは zˉ=1z\bar z=\dfrac1z と書けるので、元の式は z2=1zz^2=\dfrac1z、すなわち z3=1z^3=1 になります。逆に z3=1z^3=1 なら ∣z∣3=1|z|^3=1 から ∣z∣=1|z|=1 で、z2=1z=zˉz^2=\dfrac1z=\bar z が成り立ちます。したがって解は

z=0,1,−1+3 i2,−1−3 i2z=0,\quad 1,\quad \frac{-1+\sqrt3\,i}{2},\quad \frac{-1-\sqrt3\,i}{2}

の4つです。

2. 共役をとって引き算したあとの注意

1本の式 ① から共役をとって ② を作り、① と ② を足したり引いたりして zz を求める、という操作は頻繁に行います。このとき押さえておくべき事実は次のとおりです。

「①かつ②」と「①かつ(①−②)」は同値である。しかし「①かつ②」と「①−②」だけとは、一般に同値でない。

引き算の結果だけを手元に残し、① を捨ててしまうと、条件がゆるくなります。極端な例として「z=2z=2 かつ zˉ=2\bar z=2」を考えると、解は z=2z=2 だけです。ところが2式の差 z−zˉ=0z-\bar z=0 は「zz が実数」という条件にすぎず、すべての実数がこれを満たします。

例3 cc を複素数の定数とし、z+izˉ=cz+i\bar z=c(①)を満たす zz を調べます。

① の両辺の共役をとると zˉ−iz=cˉ\bar z-iz=\bar c で、これに ii を掛けると z+izˉ=icˉz+i\bar z=i\bar c となります。左辺が ① と同じなので、① との差をとると zz が消えて

0=c−icˉ0=c-i\bar c

という定数だけの式が残ります。この式は「① を満たす zz があるなら成り立つ」という必要条件です。

  • c=1c=1 のときは c−icˉ=1−i≠0c-i\bar c=1-i\neq0 なので、① を満たす zz はありません。
  • c=2+2ic=2+2i のときは icˉ=i(2−2i)=2+2i=ci\bar c=i(2-2i)=2+2i=c で、差の式は 0=00=0 となり、何の情報も持ちません。この場合は ① に戻る必要があります。z=x+yiz=x+yi を代入すると z+izˉ=(x+y)(1+i)z+i\bar z=(x+y)(1+i) なので、① は x+y=2x+y=2 と同じで、解は直線 x+y=2x+y=2 上の点全体になります。

授業では、次のような問題を扱いました1塾の授業で扱った問題は塾の教材なので、数値を変えた類題に差し替えています。下の脚注へ。

問題

α\alpha を ∣α∣=1|\alpha|=1 を満たす複素数、β\beta を複素数とする。z−αzˉ=βz-\alpha\bar z=\beta を満たす複素数 zz が存在するための、α, β\alpha,\ \beta の条件を求めよ。

この問題も例3と同じ構造をしています。両辺の共役をとると zˉ−αˉz=βˉ\bar z-\bar\alpha z=\bar\beta で、これに −α-\alpha を掛けると ααˉ=1\alpha\bar\alpha=1 により z−αzˉ=−αβˉz-\alpha\bar z=-\alpha\bar\beta となります。左辺が元の式と同じなので、元の式との差から 0=β+αβˉ0=\beta+\alpha\bar\beta が出ます。これは必要条件にすぎないので、逆に β+αβˉ=0\beta+\alpha\bar\beta=0 のときに元の式を満たす zz を1つ示して十分性を確かめます。z=β2z=\dfrac\beta2 を代入すると、左辺は β−αβˉ2=β+β2=β\dfrac{\beta-\alpha\bar\beta}{2}=\dfrac{\beta+\beta}{2}=\beta となり、元の式を満たします。したがって求める条件は β+αβˉ=0\beta+\alpha\bar\beta=0 です。例3は α=−i\alpha=-i、β=c\beta=c の場合にあたります。

差をとって zz が消えたら

残った式は必要条件にすぎない。元の式に戻るか、条件を満たす zz を実際に1つ挙げて、十分性を確かめる。2つの式を何倍かして引き、zz の値が出た場合も、その値を元の式に代入して確かめる。

3. 絶対値を見たときの3つの読み方

∣w∣|w| という形の式に出会ったら、次の3通りの扱い方を候補に挙げます。

∣w∣|w| を見たときの3通りの扱い

  1. 2乗して ∣w∣2=wwˉ|w|^2=w\bar w と書き、展開して計算する
  2. ∣z−a∣|z-a| を「点 zz と点 aa の距離」と読み、図形で考える
  3. 三角不等式 ∣u+v∣≤∣u∣+∣v∣|u+v|\le|u|+|v| を使う

例4 ∣z+1∣=3∣z−1∣|z+1|=3|z-1| を満たす点 zz が描く図形を求め、その図形上で ∣z∣|z| の最大値と最小値を求めます。

両辺とも 00 以上なので、2乗しても同値です。1つ目の方法で展開すると

zzˉ+z+zˉ+1=9(zzˉ−z−zˉ+1)  ⟺   zzˉ−54(z+zˉ)+1=0  ⟺   ∣z−54∣2=916\begin{aligned}z\bar z+z+\bar z+1&=9\left(z\bar z-z-\bar z+1\right)\\\iff\ z\bar z-\frac54(z+\bar z)+1&=0\\\iff\ \left|z-\frac54\right|^2&=\frac9{16}\end{aligned}

となるので、zz は中心 54\dfrac54、半径 34\dfrac34 の円周上を動きます。2点 −1-1、11 からの距離の比が 3:13:1 で一定の点の集まりなので、これはアポロニウスの円です。

∣z∣|z| は原点 O と点 zz の距離です(2つ目の読み方)。O は円の中心から 54\dfrac54 離れていて、半径 34\dfrac34 より遠いので円の外にあります。O と中心を通る直線が円と交わる2点で距離は最大・最小になり、最大値は 54+34=2\dfrac54+\dfrac34=2(z=2z=2)、最小値は 54−34=12\dfrac54-\dfrac34=\dfrac12(z=12z=\dfrac12)です。最大値は3つ目の読み方でも確かめられ、∣z∣≤∣z−54∣+54=2|z|\le\left|z-\dfrac54\right|+\dfrac54=2 となります。

図2図2 中心 54\frac54・半径 34\frac34 の円。円上の点 zz から点 −1-1 と点 11 までの距離の比は 3:13:1。円と実軸の交点は 12\frac12 と 22

4. 複素数平面の直線の方程式

平面上の直線は、次の4通りの情報のどれかで決まります。

直線を決める情報

  1. 通る1点と、直線の向き(方向ベクトル)
  2. 通る2点
  3. 通る1点と、直線に垂直な向き(法線ベクトル)
  4. 2点から等距離にあること(垂直二等分線)

それぞれを zz と zˉ\bar z の式に直します。どの場合も直線上を動く点を P(z)\mathrm P(z) とします。

4-1. 通る1点と方向ベクトル

点 A(α)\mathrm A(\alpha) を通り、OB→\overrightarrow{\mathrm{OB}}(B(β)\mathrm B(\beta)、β≠0\beta\neq0)と平行な直線を考えます。

図3図3 点 A を通り、原点から B へのベクトルと平行な直線。A から P へのベクトルも同じ向き

AP→\overrightarrow{\mathrm{AP}} が OB→\overrightarrow{\mathrm{OB}} と平行(または P=A\mathrm P=\mathrm A)であることは、z−αz-\alpha が β\beta の実数倍であること、つまり比 z−αβ\dfrac{z-\alpha}{\beta} が実数であることと同じです。実数とは共役をとっても変わらない数なので、

z−αβ∈R  ⟺  z−αβ=zˉ−αˉβˉ  ⟺  βˉz−βzˉ−αβˉ+αˉβ=0\begin{aligned} \frac{z-\alpha}{\beta}\in\mathbb R &\iff\frac{z-\alpha}{\beta}=\frac{\bar z-\bar\alpha}{\bar\beta}\\ &\iff\bar\beta z-\beta\bar z-\alpha\bar\beta+\bar\alpha\beta=0 \end{aligned}

となります(2行目は両辺に ββˉ\beta\bar\beta を掛けて移項しました)。βˉz\bar\beta z と βzˉ\beta\bar z は互いに共役な2数で、それを引いています。定数項 −αβˉ+αˉβ-\alpha\bar\beta+\bar\alpha\beta も、αˉβ\bar\alpha\beta からその共役を引いた形なので、純虚数か 00 です。

4-2. 通る2点

異なる2点 z1z_1、z2z_2 を通る直線は、「点 z1z_1 を通り、方向ベクトルが z2−z1z_2-z_1」の直線なので、4-1 で α=z1\alpha=z_1、β=z2−z1\beta=z_2-z_1 とすれば得られます。

4-3. 通る1点と法線ベクトル

点 A(α)\mathrm A(\alpha) を通り、OB→\overrightarrow{\mathrm{OB}}(β≠0\beta\neq0)に垂直な直線を考えます。

図4図4 点 A を通り、原点から B へのベクトルに垂直な直線

今度は AP→\overrightarrow{\mathrm{AP}} が OB→\overrightarrow{\mathrm{OB}} を ±π2\pm\dfrac\pi2 回した向きなので、比 z−αβ\dfrac{z-\alpha}{\beta} は純虚数(P=A\mathrm P=\mathrm A なら 00)です。純虚数または 00 とは、共役をとると符号が反転する数、つまり共役との和が 00 になる数なので、

z−αβ+zˉ−αˉβˉ=0  ⟺   βˉz+βzˉ−αβˉ−αˉβ=0\begin{aligned}\frac{z-\alpha}{\beta}+\frac{\bar z-\bar\alpha}{\bar\beta}&=0\\\iff\ \bar\beta z+\beta\bar z-\alpha\bar\beta-\bar\alpha\beta&=0\end{aligned}

です。こちらは βˉz\bar\beta z と βzˉ\beta\bar z を足しており、定数項 −(αβˉ+αˉβ)-(\alpha\bar\beta+\bar\alpha\beta) は共役な2数の和なので実数です。

4-4. 垂直二等分線

異なる2点 A(α)\mathrm A(\alpha)、B(β)\mathrm B(\beta) から等距離にある点の集まりが、線分 AB の垂直二等分線です。

図5図5 線分 AB の垂直二等分線上の点 P は、A と B から等距離

距離は 00 以上なので2乗しても同値で、

∣z−α∣=∣z−β∣  ⟺  (z−α)(zˉ−αˉ)=(z−β)(zˉ−βˉ)  ⟺  (βˉ−αˉ)z+(β−α)zˉ+∣α∣2−∣β∣2=0\begin{aligned} |z-\alpha|=|z-\beta| &\iff(z-\alpha)(\bar z-\bar\alpha)=(z-\beta)(\bar z-\bar\beta)\\ &\iff(\bar\beta-\bar\alpha)z+(\beta-\alpha)\bar z+|\alpha|^2-|\beta|^2=0 \end{aligned}

となります(展開すると両辺の zzˉz\bar z が打ち消し合います)。zz と zˉ\bar z の係数は互いに共役で、定数項は実数です。4-3 と同じ形で、A=β−αA=\beta-\alpha と見れば一致します。

まとめ

4つの導出で出てきた式は、すべて次の2つの型のどちらかです。

直線を表す z, zˉz,\ \bar z の1次式(2つの型)

A≠0A\neq0 として、

  1. Aˉz−Azˉ+B=0\bar Az-A\bar z+B=0 (BB は純虚数または 00)
  2. Aˉz+Azˉ+B=0\bar Az+A\bar z+B=0 (BB は実数)

A≠0A\neq0 の条件は、4-1・4-3 の β≠0\beta\neq0、4-4 の α≠β\alpha\neq\beta にあたります。A=0A=0 だと zz が式から消え、直線を表しません。この形の式を見て直線だと分かること、必要なら上の導出を自分で再現できることの2つが目標です。

2の型は、∣z∣2|z|^2 を補うと平方の形にまとめられることがあります。Aˉz+Azˉ\bar Az+A\bar z に zzˉ+AAˉz\bar z+A\bar A を足すと (z+A)(zˉ+Aˉ)=∣z+A∣2(z+A)(\bar z+\bar A)=|z+A|^2 になるからです。

Aˉz+Azˉ\bar Az+A\bar z の形を見たら

∣z∣2|z|^2 を補って、∣z+A∣2|z+A|^2 の形を作れないか試す

たとえば (1−2i)z+(1+2i)zˉ+5=0(1-2i)z+(1+2i)\bar z+5=0 は A=1+2iA=1+2i の2の型で、定数項 55 が ∣A∣2|A|^2 に等しくなっています。両辺に zzˉz\bar z を足すと ∣z+(1+2i)∣2=∣z∣2|z+(1+2i)|^2=|z|^2、つまり ∣z−(−1−2i)∣=∣z−0∣|z-(-1-2i)|=|z-0| となり、原点と点 −1−2i-1-2i を結ぶ線分の垂直二等分線だと分かります。この直線は中点 −1+2i2-\dfrac{1+2i}{2} を通ります。§2 の問題でも同じ形が現れます。β≠0\beta\neq0 のとき、条件 β+αβˉ=0\beta+\alpha\bar\beta=0 は α=−ββˉ\alpha=-\dfrac\beta{\bar\beta} と書けます。これを z−αzˉ=βz-\alpha\bar z=\beta に代入して βˉ\bar\beta を掛けると βˉz+βzˉ−∣β∣2=0\bar\beta z+\beta\bar z-|\beta|^2=0 となり、両辺に −1-1 を掛ければ A=−βA=-\beta、定数項 ∣A∣2|A|^2 の2の型です。両辺に zzˉz\bar z を足すと ∣z−β∣2=∣z∣2|z-\beta|^2=|z|^2 となるので、この式は原点と点 β\beta の垂直二等分線を表します。この直線が中点 β2\dfrac\beta2 を通ることから、解 z=β2z=\dfrac\beta2 が見つかります。

5. 絶対値が 11 の複素数

単位円周上の点 zz については、次の言い換えが基本になります。

∣z∣=1|z|=1 の言い換え

∣z∣=1  ⟺  zzˉ=1  ⟺  zˉ=1z|z|=1\iff z\bar z=1\iff\bar z=\frac1z

zˉ\bar z を 1z\dfrac1z に置き換えると、式に残るのは zz だけになります。

例5 ∣z∣=1|z|=1、z≠±iz\neq\pm i のとき、w=z1+z2w=\dfrac{z}{1+z^2} が実数であることを示します。

zˉ=1z\bar z=\dfrac1z を使うと

wˉ=zˉ1+zˉ2=1z1+1z2=zz2+1=w\bar w=\frac{\bar z}{1+\bar z^2}=\frac{\dfrac1z}{1+\dfrac1{z^2}}=\frac{z}{z^2+1}=w

なので、ww は共役をとっても変わらず、実数です。極形式 z=cos⁡θ+isin⁡θz=\cos\theta+i\sin\theta を使っても示せます。分母分子を zz で割ると w=11z+z=1zˉ+z=12cos⁡θw=\dfrac1{\frac1z+z}=\dfrac1{\bar z+z}=\dfrac1{2\cos\theta} で、z≠±iz\neq\pm i より cos⁡θ≠0\cos\theta\neq0 です。

例5のように、絶対値が 11 と分かっている複素数には3通りの表し方があり、問題に合わせて選びます。極形式が使いやすいのは、絶対値がすでに 11 と分かっていて、残る未知の情報が偏角 θ\theta だけになるからです。

絶対値 11 の複素数の表し方

  1. zz のまま:zˉ=1z\bar z=\dfrac1z を使う
  2. 極形式:z=cos⁡θ+isin⁡θz=\cos\theta+i\sin\theta とおく
  3. 直交形式:z=x+yiz=x+yi、x2+y2=1x^2+y^2=1 とおく

極形式は積と商の計算には向いていますが、和の計算には向きません。絶対値の等しい2数の和なら、和積の公式で

(cos⁡a+isin⁡a)+(cos⁡b+isin⁡b)=2cos⁡a−b2(cos⁡a+b2+isin⁡a+b2)(\cos a+i\sin a)+(\cos b+i\sin b)=2\cos\frac{a-b}2\left(\cos\frac{a+b}2+i\sin\frac{a+b}2\right)

と「実数×(絶対値 11 の複素数)」の形にまとまります。一方 (cos⁡a+isin⁡a)+r(cos⁡b+isin⁡b)(\cos a+i\sin a)+r(\cos b+i\sin b)(r≠1r\neq1)のように絶対値が違うと、この公式は使えず、偏角の見える形にはまとまりません。

上の和積の式で a=θa=\theta、b=0b=0 とした場合は、とくによく使われます。

1±1\pm(絶対値 11 の複素数)

1+(cos⁡θ+isin⁡θ)=2cos⁡2θ2+2isin⁡θ2cos⁡θ2=2cos⁡θ2(cos⁡θ2+isin⁡θ2)1−(cos⁡θ+isin⁡θ)=2sin⁡2θ2−2isin⁡θ2cos⁡θ2=−2isin⁡θ2(cos⁡θ2+isin⁡θ2)\begin{aligned}1+(\cos\theta+i\sin\theta)&=2\cos^2\frac\theta2+2i\sin\frac\theta2\cos\frac\theta2\\&=2\cos\frac\theta2\left(\cos\frac\theta2+i\sin\frac\theta2\right)\\[4pt] 1-(\cos\theta+i\sin\theta)&=2\sin^2\frac\theta2-2i\sin\frac\theta2\cos\frac\theta2\\&=-2i\sin\frac\theta2\left(\cos\frac\theta2+i\sin\frac\theta2\right)\end{aligned}

計算としては、実部に 1+cos⁡θ=2cos⁡2θ21+\cos\theta=2\cos^2\dfrac\theta2、1−cos⁡θ=2sin⁡2θ21-\cos\theta=2\sin^2\dfrac\theta2 を、虚部に sin⁡θ=2sin⁡θ2cos⁡θ2\sin\theta=2\sin\dfrac\theta2\cos\dfrac\theta2 を使っただけです。この結果は図でも説明できます。

図6図6 0, 1, 1+z, z0,\ 1,\ 1+z,\ z を頂点とするひし形。対角線 1+z1+z は偏角 θ2\frac\theta2 の向き、もう1本の対角線 1−z1-z はそれに垂直

z=cos⁡θ+isin⁡θz=\cos\theta+i\sin\theta(0<θ<2π0<\theta<2\pi)とし、単位円周上で偏角 θ2\dfrac\theta2 の点を M\mathrm M とします。M\mathrm M が表す複素数は cos⁡θ2+isin⁡θ2\cos\dfrac\theta2+i\sin\dfrac\theta2 です。4点 00、11、1+z1+z、zz は、辺の長さがすべて 11 のひし形の頂点で、1+z1+z と 1−z1-z はその2本の対角線にあたります(1−z1-z は点 zz から点 11 へ向かう対角線)。

1 塾の授業で扱った問題は塾の教材なので、数値を変えた類題に差し替えています。

塾の授業で配った補足資料をもとに、問題を類題に差し替えて書き直しました。

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