tecktom.com

Klein–Gordon の負確率と Dirac の海

2026年10月15日4分で読めますAI生成教科書『基礎理論』第1部 第1章 1粒子量子力学の破綻

AI 生成・木下が未勉強

場の量子論入門 第1部 第1章 §1.1.3 ★★★ 核心:2つの病はどちらも1粒子解釈の副作用である

相対論的な分散関係 E2=p2+m2E^2=\bm{p}^2+m^2 を素直に量子化して得られる Klein–Gordon 方程式(∂t2−∇2+m2)φ=0(\partial_t^2-\nabla^2+m^2)\varphi=0 には、時間について2階であることに由来する困難がある。連続の式を作ると保存量の密度は

ρ=i(φ∗∂tφ−φ ∂tφ∗)\rho=\mathrm{i}\bigl(\varphi^*\partial_t\varphi-\varphi\,\partial_t\varphi^*\bigr)

の形になり、これは負にもなれる。時間について2階の方程式では初期条件としてφ\varphi と ∂tφ\partial_t\varphi を独立に指定できるので、ρ\rho の符号は好きに選べてしまう。確率密度は定義上非負でなければならないから、ρ\rho を確率密度と読むことはできない。

Dirac 方程式は時間について1階なので ρ=ψ†ψ≥0\rho=\psi^\dagger\psi\ge0 となり、この病は治る。しかし負エネルギー解 E=−p2+m2E=-\sqrt{\bm{p}^2+m^2} は残り、Dirac はこれを「真空とは負エネルギー準位がすべて電子で満席の状態である」という海の仮説で処理した。Pauli の排他律が正エネルギー電子の落下を禁じ、海に空いた穴が陽電子として振る舞う。陽電子の予言としては大成功だったが、処方としては三つの点で不満が残る。第一に、排他律を使うのでフェルミオン専用であり、スピン0の粒子(π\pi 中間子)には使えない。第二に、真空が無限個の電子を含むことになり、電荷密度もエネルギー密度も無限大になる(両方とも「差だけを測る」と言い訳して逃げることはできるが、理論の基礎としては不健全である)。第三に、海の描像は「電子の個数」を数える言葉で書かれており、第1.2節で見た粒子数の非保存とは相性が悪い。

場の量子論の立場から見ると、この2つの病はどちらも1粒子解釈という無理な要求の副作用である。Klein–Gordon の ρ\rho は、確率密度ではなく電荷密度と読めばよい(第4.3節で導く)。電荷は正にも負にもなるので、ρ\rho の符号が変わるのは病気ではなく、粒子と反粒子の区別が現れているだけである。負エネルギー解の展開係数は、「負エネルギー粒子の消滅演算子」ではなく「反粒子の生成演算子」と読み替える(第2部 第5章)。この読み替えをすると、Hamiltonian は下に有界になり、反粒子はボゾン・フェルミオンを問わず統一的に現れる。

例題 1.2(Klein–Gordon の連続の式を作る)

オリジナル実または複素の場 φ(x)\varphi(x) が (∂t2−∇2+m2)φ=0(\partial_t^2-\nabla^2+m^2)\varphi=0 を満たすとする。

  • (1) ρ=i(φ∗∂tφ−φ ∂tφ∗)\rho=\mathrm{i}(\varphi^*\partial_t\varphi-\varphi\,\partial_t\varphi^*)、j=−i(φ∗∇φ−φ∇φ∗)\bm{j}=-\mathrm{i}(\varphi^*\nabla\varphi-\varphi\nabla\varphi^*) が∂tρ+∇⋅j=0\partial_t\rho+\nabla\cdot\bm{j}=0 を満たすことを示せ。
  • (2) 平面波 φ=Ne−i(Et−p⋅x)\varphi=N\mathrm{e}^{-\mathrm{i}(Et-\bm{p}\cdot\bm{x})} に対して ρ\rho を計算し、E<0E<0 の解では ρ<0\rho<0 になることを確認せよ。
解答

(1) 直接微分する。

∂tρ=i(φ∗∂t2φ−φ ∂t2φ∗),∇⋅j=−i(φ∗∇2φ−φ ∇2φ∗).\partial_t\rho=\mathrm{i}\bigl(\varphi^*\partial_t^2\varphi-\varphi\,\partial_t^2\varphi^*\bigr), \qquad \nabla\cdot\bm{j}=-\mathrm{i}\bigl(\varphi^*\nabla^2\varphi-\varphi\,\nabla^2\varphi^*\bigr) .

どちらも1階微分の積の項(∂tφ∗∂tφ\partial_t\varphi^*\partial_t\varphi など)は打ち消し合って消える。和を取り、運動方程式 ∂t2φ=∇2φ−m2φ\partial_t^2\varphi=\nabla^2\varphi-m^2\varphi とその複素共役を代入すると

∂tρ+∇⋅j=i[φ∗(∇2φ−m2φ)−φ(∇2φ∗−m2φ∗)]−i(φ∗∇2φ−φ∇2φ∗)=0\partial_t\rho+\nabla\cdot\bm{j} =\mathrm{i}\bigl[\varphi^*(\nabla^2\varphi-m^2\varphi)-\varphi(\nabla^2\varphi^*-m^2\varphi^*)\bigr] -\mathrm{i}\bigl(\varphi^*\nabla^2\varphi-\varphi\nabla^2\varphi^*\bigr)=0

となる。m2m^2 の項は φ∗φ\varphi^*\varphi の対称性から相殺し、∇2\nabla^2 の項は第2項と相殺する。

(2) ∂tφ=−iEφ\partial_t\varphi=-\mathrm{i} E\varphi を代入すると

ρ=i[φ∗(−iEφ)−φ(+iEφ∗)]=2E∣N∣2.\rho=\mathrm{i}\bigl[\varphi^*(-\mathrm{i} E\varphi)-\varphi(+\mathrm{i} E\varphi^*)\bigr]=2E|N|^2 .

E>0E>0 の解では正、E<0E<0 の解では負になる。ρ\rho の符号は解のエネルギーの符号そのものであり、確率密度としては破綻している。一方、これを電荷密度と読むなら、E<0E<0 の解が電荷の符号の逆な粒子(反粒子)を表していると解釈できる。

木下の勉強ステータス

木下はまだこの記事を勉強していません。

AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com

← AI生成教科書『基礎理論』の記事一覧へ