局在化と因果律
AI 生成・木下が未勉強
場の量子論入門 第1部 第1章 §1.1.4 ★★ 核心:Compton 波長より細かい「位置」は物理的に意味を持たない
三つ目の破綻は、位置という概念そのものに現れる。粒子を幅 の領域に閉じ込めると、不確定性関係から運動量の広がりは になる。相対論的な領域では がそのままエネルギーの広がり を意味する。 を小さくしていき、 が (対生成のしきい値)に届くと、局在させようとする操作そのものが粒子・反粒子対を作ってしまう。この境目の長さが
で、 を粒子の換算 Compton 波長と呼ぶ。電子では m である(第2.4節で復元の仕方を示す)。つまり、電子を m より細かく局在させた状態は、「1個の電子の状態」ではなく「電子と陽電子が何個か混ざった状態」になる。1粒子の位置演算子は、この長さより細かい分解能では意味を失う。
因果律の側から見ても同じ結論に至る。 を素直に1粒子の Hamiltonian として使い、時刻 に原点に局在した状態が時刻 に点 に見出される振幅を計算すると、 すなわち光円錐の外でも振幅はゼロにならず、 程度の裾を持つ。1粒子量子力学のままでは、情報が光速を超えて漏れる。
図 1.2:光円錐。点 と空間的に分離した点 ()では、どちらが先に起きたかが観測者の運動状態によって入れ替わる。したがって と での測定は互いに影響し合ってはならず、場の量子論では観測量の交換子 が空間的分離でちょうどゼロになることが要請される。
場の量子論はこの漏れを次のように処理する。粒子が から へ伝わる振幅と、反粒子が から へ伝わる振幅は、空間的分離ではどちらも個別にはゼロでないが、交換子の中でちょうど打ち消し合う。微視的因果律 が成り立つのは、反粒子がいて、しかもその質量が粒子と等しいからである。因果律という要請が、反粒子の存在と質量の一致を要求すると言い換えてもよい。この打ち消しの計算は第2部 第4章で実行する。
局在化の限界が原子物理に影響しないことも確認しておく。電子の換算 Compton 波長 m は、Bohr 半径 m より2桁以上小さい。だから原子の電子には1粒子の波動関数を使ってよく、非相対論的量子力学が現実に機能する。一方、原子核のスケール(m)では完全に破綻している。この数値を から復元する手順は第2.4節の例題で扱う。
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