場の量子論入門 第1部 第3章 §1.3.3 ★★★ 作用の変分から Euler–Lagrange 方程式を導く計算そのものがここで行われる
(1.3.1) の変分を、途中を省かずに実行する。ϕ→ϕ+δϕ とすると、L の変化は δϕ の1次までで
δL=∂ϕ∂Lδϕ+∂(∂μϕ)∂Lδ(∂μϕ)
である。ここで微分と変分は順序を入れ替えられる(δ(∂μϕ)=∂μ(δϕ))。なぜなら δϕ は x の関数であり、ϕ と ϕ+δϕ の差を取ってから微分しても、微分してから差を取っても同じだからである。したがって
δS=∫d4x[∂ϕ∂Lδϕ+∂(∂μϕ)∂L∂μ(δϕ)].
第2項に積の微分公式を逆向きに使って、全微分の項を分離する。
∂(∂μϕ)∂L∂μ(δϕ)=∂μ[∂(∂μϕ)∂Lδϕ]−∂μ[∂(∂μϕ)∂L]δϕ.
第1項は4次元の発散なので、Gauss の定理で積分領域の境界面上の積分になる。境界で δϕ=0 と課したので、この項は消える。結局
δS=∫d4x[∂ϕ∂L−∂μ(∂(∂μϕ)∂L)]δϕ
となる。δϕ(x) は境界を除いて任意なので、δS=0 が任意の δϕ に対して成り立つには角括弧の中がいたるところゼロでなければならない。こうして
∂μ(∂(∂μϕ)∂L)−∂ϕ∂L=0 (1.3.2)
が得られる。これが場のEuler–Lagrange 方程式である。場が複数あるときは、各 ϕa について同じ形の式が1本ずつ成り立つ。
全微分の項を足しても運動方程式は変わらない
L→L+∂μKμ(Kμ は場とその微分の任意の関数)と変えても、作用の変化は ∫d4x∂μKμ すなわち境界での積分だけである。境界で場の変分をゼロと課しているので、この項は変分に寄与せず、運動方程式は変わらない。この自由度は実用上よく使う。たとえば Schrödinger 場のラグランジアンをエルミートな形に書き直したり、Dirac 場のラグランジアンを 2i(ψˉγμ∂μψ−∂μψˉγμψ) の対称な形にしたりする操作は、全微分の付け替えである。
なぜ ϕ と ϕ∗ を独立な変数として扱えるか
複素場 ϕ=ϕ1+iϕ2 は、本当は2つの実場 ϕ1,ϕ2 である。ϕ と ϕ∗ で変分するのは、(ϕ1,ϕ2) から (ϕ,ϕ∗) への可逆な線形変換で変数を取り替えたことに対応する。ϕ1 と ϕ2 について変分して得た2本の方程式の和と差が、ϕ∗ と ϕ について変分して得た2本と(定数倍を除いて)同じになる。可逆な変数変換で停留条件の中身は変わらないので、どちらで変分してもよい。実際の計算では (ϕ,ϕ∗) のほうが式が短くなるので、こちらを使う。
AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com