場の量子論入門 第1部 第5章 §1.5.2 ★★ 道具:作用が無次元であることから全部が決まる
自然単位では作用 S が無次元である(S/ℏ が位相の肩に乗るので、ℏ=1 なら S 自身が無次元)。S=∫d4xL で [d4x]=−4 なので
[L]=4
が確定する。あとは各項の次元を4に合わせるだけで、すべての場の次元が決まる。[∂μ]=1(長さの逆数だから)を使う。
スカラー場は運動項 ∂μϕ∂μϕ の次元が 2+2[ϕ]=4 から [ϕ]=1。Dirac 場は ψˉiγμ∂μψ の次元が 2[ψ]+1=4 から [ψ]=3/2。ゲージ場は FμνFμν の次元が 2(1+[A])=4 から [A]=1。質量項でも同じ答えになることを確かめておくとよい。m2ϕ2 は 2+2=4、mψˉψ=1+3=4 でどちらも整合する。
結合定数の次元は、相互作用項の次元を4に合わせて決まる。
| 量 | 記号 | 質量次元 |
| 作用/時空座標/微分 | S / xμ / ∂μ | 0 / −1 / +1 |
| ラグランジアン密度 | L | 4 |
| スカラー場 | ϕ | 1 |
| Dirac 場 | ψ | 3/2 |
| ゲージ場 | Aμ | 1 |
| ϕ4 結合 | λ | 0 |
| 湯川結合 | g | 0 |
| 電荷 | e | 0 |
| Fermi 定数 | GF | −2 |
表の下から3つを確認する。λϕ4 は [λ]+4=4 で [λ]=0、gϕψˉψ は [g]+1+3=4 で [g]=0、eψˉγμψAμ は [e]+3+1=4 で [e]=0 である。最後の Fermi 定数は、弱い相互作用を4つのフェルミオンの直接の接触で書く模型GF(ψˉψ)(ψˉψ) に現れ、[GF]+6=4 から [GF]=−2 になる。
例題 5.1(質量次元をすべて決める)
オリジナル自然単位で [L]=4、[∂μ]=1 を使い、次の量の質量次元を求めよ。
- (1) D 次元時空でのスカラー場 ϕ の次元。D=4 で 1 になることを確認せよ。
- (2) D 次元での ϕ4 結合 λ の次元。D=4 以外では何が起こるか。
- (3) 生成消滅演算子 ap の次元(規約 [ap,aq†]=(2π)3δ3(p−q) を使う)。
解答
(1) D 次元では [dDx]=−D なので [L]=D である。運動項から 2+2[ϕ]=D、すなわち [ϕ]=(D−2)/2。D=4 で [ϕ]=1 となり、本文の結果に一致する。D=2 ではスカラー場が無次元になり、D=6 では 2 になる。
(2) [λ]+4[ϕ]=D から [λ]=D−4⋅2D−2=4−D。D=4 で [λ]=0、D<4 で正、D>4 で負である。次元が負の結合定数を持つ理論は、高いエネルギーで無次元の組み合わせ λE∣[λ]∣ が大きくなって摂動が破れる(次節)。D=4 はちょうど境目にあたる特別な次元である。
(3) 交換関係から直接読める。[δ3(p−q)]=−3(デルタ関数はその引数の次元の逆)なので2[ap]=−3、すなわち [ap]=−3/2 である。場の展開 ϕ(x)=∫(2π)3d3p2Ep1(apeip⋅x+ap†e−ip⋅x) でも、[d3p]=3、[1/2Ep]=−1/2 から 1=3−21+[ap] となって同じ答えを与える。規格化の約束(第2部で使う ∣p⟩=2Epap†∣0⟩ など)が整合しているかは、この次元勘定で手早く点検できる。
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