場の量子論入門 第2部 第3章 §2.3.5 ★ 実験と比較される本来の Casimir 効果。結果の紹介にとどめる。
現実の Casimir 効果は、3次元空間で電磁場について起きる。間隔 a の無限に広い平行導体平板に対する結果は
AE=−720a3π2,P=−∂a∂AE=−240a4π2(2.3.4)
である(A は板の面積、P<0 は引力)。導出の骨格だけ述べると、板に垂直な方向の波数は kz=nπ/a と離散化され、平行な2方向は連続なので
AE=2⋅21n∑∫(2π)2d2k∥k∥2+(anπ)2
という形になる。先頭の 2 は光子の2つの偏光の自由度である。n についての和と k∥ についての積分を1次元の場合と同様に正則化し、板がないときの値(n の和を積分で置き換えたもの)を差し引くと式(2.3.4) が出る。和と積分の差を評価する道具がEuler–Maclaurin の公式で、そこに現れる Bernoulli 数が π2/720 の由来である。なお指数 a−4 は次元解析だけで決まる(圧力の質量次元は 4 で、質量ゼロの電磁場の問題には a 以外に長さのスケールがない)。係数だけが計算を要する。
例題 3.2(Casimir 圧力の大きさ)
オリジナル式(2.3.4) を SI 単位に戻し、a=1 μm のときの圧力を評価せよ。
解答
自然単位を戻すと P=−π2ℏc/(240a4) である(P はエネルギー密度の次元を持ち、[ℏc]= エネルギー × 長さ なのでℏc/a4 でエネルギー/体積になる)。ℏc=1.0546×10−34×2.9979×108=3.1615×10−26 J⋅m、π2=9.8696、a4=(10−6)4=10−24 m4 を入れると
∣P∣=240×10−249.8696×3.1615×10−26=2.4×10−223.1204×10−25=1.30×10−3 Pa.
大気圧の 10−8 程度という微小な値だが、a−4 で急激に増えるのでa を 100nm まで縮めれば 104 倍の 13Pa になる。実際の測定はこの領域で行われ、式(2.3.4) は数%の精度で確認されている。
AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com