場の量子論入門 第2部 第5章 §2.5.1 ★★★ 2種類の生成消滅演算子。Hermite でないことが本質。
実スカラー場には保存する内部量子数がない。粒子と反粒子が同一で、電荷のようなラベルを持たないからである。荷電粒子を記述するには場を複素数値にする必要がある。本章では複素スカラー場を量子化し、そこから U(1) 電荷と反粒子が出てくることを見る。『量子力学入門』第13部で未解決のまま残した2つの問題(負エネルギー解と負の確率密度)が、ここで完全に解消する。
Lagrangian 密度を
L=(∂μϕ†)(∂μϕ)−m2ϕ†ϕ
とする。ϕ と ϕ† を独立な場として扱うと、共役運動量は
π=∂ϕ˙∂L=ϕ˙†,π†=∂ϕ˙†∂L=ϕ˙,
であり、正準交換関係は
[ϕ(x),π(y)]=iδ3(x−y),[ϕ†(x),π†(y)]=iδ3(x−y)
(他の組み合わせはゼロ)となる。運動方程式は ϕ と ϕ† のそれぞれについて Klein–Gordon 方程式である。
モード展開で決定的なのは、ϕ が Hermite ではないという点である。実場のときは e+ip⋅x の係数が e−ip⋅x の係数のHermite 共役でなければならなかった(第1章)。複素場ではその縛りがないので、2種類の独立な演算子を導入して
ϕ(x)ϕ†(x)=∫(2π)3d3p 2Ep1(ape−ip⋅x+bp†e+ip⋅x),=∫(2π)3d3p 2Ep1(bpe−ip⋅x+ap†e+ip⋅x)(2.5.1)(2.5.2)
と書く。ϕ† は ϕ の Hermite 共役なので、ϕ に a と b† が入れば ϕ† には b と a† が入る。実場は b=a という特別な場合に相当する。
正準交換関係から出る演算子の代数は
[ap,aq†]=[bp,bq†]=(2π)3δ3(p−q),
これ以外の交換子([a,b]、[a,b†] など)はすべてゼロである。導出は第1章と同じ手順を ϕ,π の組と ϕ†,π† の組にそれぞれ適用すればよい。ハミルトニアンは(正規順序化した形で)
H=∫(2π)3d3p Ep(ap†ap+bp†bp)(2.5.3)
となる。a 型の量子も b 型の量子も、どちらも正のエネルギー Ep を持つ。b† が「負振動数解 e+ip⋅x の係数」であることは、そのエネルギーの符号とは何の関係もない。
AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com