場の量子論入門 第3部 第1章 §3.1.4 ★★ 既習の道具との接続。同じ機械の相対論版であることを確認する。
『量子力学入門』第8部 第1章では、Hamiltonian を H^=H^0+V^(t) と分け、相互作用描像の状態が iℏ∂t∣ψI⟩=V^I(t)∣ψI⟩ に従うこと、その逐次代入で遷移振幅 cf(t) の Dyson 級数が出ること、そして時間順序積を使えば U^I=T{exp(−ℏi∫V^Idt′)} と畳めることを見た。本章で作った式は、それを次のように読み替えたものである。摂動 V^(t)(外から与えられる外場)は HI(t)=∫d3xHint(ϕI)(場自身の非線形項)に、1粒子の Hilbert 空間は Fock 空間に、中間状態の和 ∑m は内線の運動量積分に、時刻の積分 ∫dt は共変な時空積分 ∫d4x に、遷移確率 ∣cf∣2 は断面積と崩壊率(第5章)に、それぞれ対応する。
本質的な違いは二つある。第一に、場の理論では相互作用が場自身の非線形項なので、粒子の生成消滅を伴う。第二に、非相対論では時間だけを積分し空間座標は行列要素の中に隠れていたが、場の理論では時空を対等に積分するので、時間順序積という追加の道具が要る。それ以外は同じ機械であり、第5章で導く崩壊率の公式が Fermi の黄金律の相対論版であることも後で確認する。
摂動論の最終目標は次の量である。相互作用がある理論の真空 ∣Ω⟩ に挟んだ場の時間順序相関関数
⟨Ω∣T{ϕ(x1)⋯ϕ(xn)}∣Ω⟩
がそれで、この量から S 行列(第4章)が取り出せる。Dyson 級数を使うと、この相関関数は自由な真空 ∣0⟩ と自由場 ϕI だけで書ける。
相関関数の摂動展開(Gell-Mann–Low の公式)
⟨Ω∣T{ϕ(x1)⋯ϕ(xn)}∣Ω⟩=⟨0∣T{exp(−i∫−∞∞HI(t)dt)}∣0⟩⟨0∣T{ϕI(x1)⋯ϕI(xn)exp(−i∫−∞∞HI(t)dt)}∣0⟩
分母は真空から真空への振幅で、第3章で見るように真空泡と呼ばれる図の寄与だけからなる。分子にも同じ真空泡が因子として現れ、両者は相殺する。結局、計算すべきは分子の連結図だけになる。
右辺には相互作用描像の自由場 ϕI しか現れない。すなわち、既知の交換関係をもつ演算子の時間順序積の真空期待値を計算すればよい。それを機械的に実行する道具が次章の Wick の定理である。
AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com