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交換関係で量子化すると何が壊れるか

2026年10月15日4分で読めますAI生成教科書『基礎理論』第4部 第3章 スピン統計定理
目次
  1. 因果律の破れ
  2. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

場の量子論入門 第4部 第3章 §4.3.2 ★★★ 背理法の核心:エネルギーが下に有界でなくなり、因果律も破れる

Dirac 場をスカラー場と同じように扱い、正準交換関係[ψa(x), πb(y)]=iδabδ3(x−y)\left[\psi_a(\bm{x}),\,\pi_b(\bm{y})\right]=\mathrm{i}\delta_{ab}\delta^3(\bm{x}-\bm{y})、すなわちモードについて

[bpr, bqs†]=(2π)3δ3(p−q)δrs,[cpr, cqs†]=(2π)3δ3(p−q)δrs\left[b^r_{\bm{p}},\,b^{s\dagger}_{\bm{q}}\right]=(2\pi)^3\delta^3(\bm{p}-\bm{q})\delta^{rs}, \qquad \left[c^r_{\bm{p}},\,c^{s\dagger}_{\bm{q}}\right]=(2\pi)^3\delta^3(\bm{p}-\bm{q})\delta^{rs}

を課したとしよう。このとき −c c†=−c†c−(2π)3δ3(0)-c\,c^\dagger=-c^\dagger c-(2\pi)^3\delta^3(0) なので、式(4.3.5)は

H=∫ ⁣d3p(2π)3 Ep∑s(bs†bs−cs†cs)−(無限大の定数)(4.3.7)H=\int\!\frac{\mathrm{d}^3 p}{(2\pi)^3}\, E_{\bm{p}}\sum_s\Bigl(b^{s\dagger}b^s-c^{s\dagger}c^s\Bigr)-(\text{無限大の定数})\tag{4.3.7}

となる。cs†csc^{s\dagger}c^s は個数演算子なので固有値は 0,1,2,…0,1,2,\dots である。したがって cc 型の量子を1個足すたびに、系のエネルギーは EpE_{\bm{p}} ずつ下がる。反粒子をいくらでも作れば、エネルギーはいくらでも低くできる。つまりハミルトニアンが下に有界でなくなる。基底状態が存在せず、真空は不安定になり、理論として成り立たない。

この病を「cc と c†c^\dagger の役割を入れ替える」ことで回避できないか、と考えたくなる。つまり c†c^\dagger の方を消滅演算子とみなし、c†∣0⟩=0c^\dagger| 0 \rangle =0 で真空を定義する。すると1粒子状態は ∣1⟩=c∣0⟩| 1 \rangle =c| 0 \rangle になるが、そのノルムは

⟨1∣1⟩=⟨0∣c†c∣0⟩=⟨0∣c c†−[c, c†]∣0⟩=−1\langle 1 | 1 \rangle =\langle 0 | c^\dagger c | 0 \rangle =\langle 0 | c\,c^\dagger-\left[c,\,c^\dagger\right] | 0 \rangle =-1

となり負である。確率が負になるので、これも物理的に許されない。交換関係で量子化する限り、「エネルギーが下に有界でない」か「ノルムが負」かのどちらかを必ず踏むことになる。

因果律の破れ

もう1つ独立な病がある。場の理論で因果律が要求するのは、空間的に隔たった2点で測った観測量が互いに影響しないこと、すなわち交換することである(第2部 第4章)。Dirac 場そのものは観測量ではないが、観測量は ψˉΓψ\bar\psi \Gamma\psi の形の双線形式なので、ψ\psi どうしの交換子か反交換子のどちらかが空間的分離で消えれば、双線形式どうしは交換する。

計算すると、スカラー場の正振動数2点関数D(x−y)=∫ ⁣d3p(2π)312Epe−ip⋅(x−y)D(x-y)=\int\!\frac{\mathrm{d}^3 p}{(2\pi)^3}\frac{1}{2 E_{\bm{p}}}\mathrm{e}^{-\mathrm{i} p\cdot(x-y)} を使って

{ψ(x), ψˉ(y)}=(i̸∂x+m)[D(x−y)−D(y−x)],[ψ(x), ψˉ(y)]=(i̸∂x+m)[D(x−y)+D(y−x)]\begin{align*}\left\{\psi(x),\,\bar\psi (y)\right\}&=\bigl(\mathrm{i}\not{\partial}_x+m\bigr)\bigl[D(x-y)-D(y-x)\bigr],\tag{4.3.8}\\\left[\psi(x),\,\bar\psi (y)\right]&=\bigl(\mathrm{i}\not{\partial}_x+m\bigr)\bigl[D(x-y)+D(y-x)\bigr]\tag{4.3.9}\end{align*}

となる(前者は反交換関係で量子化した場合、後者は交換関係で量子化した場合の値)。DD は Lorentz 不変な関数であり、空間的分離 (x−y)2<0(x-y)^2<0 ではx−yx-y と y−xy-x が連続的な Lorentz 変換で移り合うので D(x−y)=D(y−x)D(x-y)=D(y-x) が成り立つ。したがって式(4.3.8)の括弧は空間的分離で恒等的に消えるが、式(4.3.9)の括弧は 2D(x−y)≠02D(x-y)\ne0 で消えない。交換関係で量子化した Dirac 場では、空間的に隔たった観測量が交換せず、因果律が破れる。

なお同じ計算をスカラー場について行うと、符号の役割がちょうど入れ替わる。[ϕ(x), ϕ(y)]=D(x−y)−D(y−x)\left[\phi(x),\,\phi(y)\right]=D(x-y)-D(y-x) は空間的分離で消えるが、{ϕ(x), ϕ(y)}=D(x−y)+D(y−x)\left\{\phi(x),\,\phi(y)\right\}=D(x-y)+D(y-x) は消えない。つまりスカラー場を反交換関係で量子化しても因果律が破れる。「どちらの統計を選ぶか」は場の種類ごとに決まっており、選び間違えると必ず何かが壊れる。

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