場の量子論入門 第5部 第1章 §5.1.2 ★★★ 微分項だけが破れる。破れの形が次の一手を決める
ここからが本章の主題である。位相 α を定数ではなく、時空の点ごとに自由に選べる関数α(x) に格上げする。この要求を局所ゲージ不変性(local gauge invariance)と呼ぶ。動機はこうである。場 ψ の全体の位相は直接観測できず、観測量はすべて ψˉΓψ の形(Γ は γ 行列の積)で位相因子が相殺する。それならば位相の原点をどこに取るかは各点で勝手に決めてよいはずだ、というのが要求の中身である。大域的対称性は「一度決めた位相の原点を全宇宙で共有する」ことを暗に要求しており、遠く離れた2点で位相の基準を合わせる手段が理論の中に無いことを思えば、この共有はむしろ不自然である。
α→α(x) とすると、質量項は
−mψˉψ ⟶ −meiα(x)ψˉe−iα(x)ψ=−mψˉψ
と、位相因子が同じ点で相殺するので不変のままである。破れるのは微分項だけである。実際
∂μψ ⟶ ∂μ(e−iα(x)ψ)=e−iα(x)(∂μψ−i(∂μα)ψ)
であり、微分が位相因子に当たって余分な項 −i(∂μα)ψ を生む。したがって
L0 ⟶ L0+ψˉγμψ∂μα=L0+jμ∂μα
となり、∂μα=0 である限り L0 は不変でない。
破れ方の構造をよく見ておく。余分に出た項は、第1節の保存カレント jμ と、位相の勾配∂μα との縮約である。これを打ち消すには、∂μα と同じ変換をする4成分のベクトル場を1つ用意し、それを jμ と結合させておけばよい。次節でそれを実行する。微分が破れの原因なのだから、直す先も微分である。
AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com