振幅を書く手順
AI 生成・木下が未勉強
場の量子論入門 第5部 第3章 §5.3.4 ★★★ 手を動かすときの作業手順書。第4章以降はこれを実行するだけ
QED の振幅を書く手順
- ダイアグラムを尽くす。与えられた外線を、頂点1種類だけを使って結ぶ方法を数え上げる。最低次では頂点の数が決まるので、可能な結び方は有限個である。数え落としがないかはWard 恒等式(手順7)で確認できる。
- 運動量を割り当てる。外線に与えられた運動量を書き、各頂点で保存させる。内線の運動量は保存則から決まる(ループがある場合は残った1つを積分変数にする)。
- フェルミオン線を矢印と逆に辿り、外線因子・頂点・電子内線を左から順に並べる。
- 光子線を縮約する。内線なら を挟み、外線なら または を掛ける。
- 符号を付ける。フェルミオンループごとに と 、外線フェルミオンの入れ替えで移り合う図には相対符号 。
- 全体を足して とする。ここまでで振幅が確定する。
- 検算する。外線光子の偏極を運動量に置き換えて を確かめる。次元( 散乱では は無次元)も確かめる。
振幅が得られたら、観測量に変換する。重心系での 弾性・非弾性散乱の微分断面積は
である(第3部 第5章)。 は始状態のスピンについて平均し、終状態のスピンについて和を取った量である。始状態が電子と陽電子ならスピン状態は 通りなので、平均は である。
例題 3.1(電子とミューオンの散乱の振幅 ★★)
オリジナル の最低次の振幅を Feynman 則にしたがって書き下せ。電子とミューオンは別種の粒子なので、交換図は存在しないことに注意せよ。
解答
最低次では、電子線とミューオン線が光子1本を交換する図が1つだけある。交換される光子の運動量は、電子側の運動量保存から である(ミューオン側から見れば であり、全体の運動量保存 と整合する)。これは チャネルの図であり、 である。
手順3にしたがって、まず電子線を矢印と逆に辿る。行の始まりは出射電子 、次に頂点 、最後に入射電子 で
ミューオン線も同様に
となる。この2本を光子の伝播関数で結ぶと
である。 と整理すると
を得る。2つの角括弧はそれぞれ独立にスピノル添字が縮約された数であり、互いの順序は自由に入れ替えてよい。 と の添字だけが両者を結んでいる。
電子とミューオンは別種の粒子なので、終状態の と を入れ替えた図は存在しない。同種粒子どうしの散乱(Møller 散乱 )では、どちらの出射電子がどちらの入射電子から来たかで2つの図があり、それらの間に相対符号 が付く。
例題 3.2(フェルミオンループの符号とトレース ★★)
オリジナル光子の自己エネルギー(真空偏極)に対応する1ループのダイアグラムの振幅を、Feynman 則にしたがって書き下せ。トレースと が現れる理由を説明せよ。
解答
外線は運動量 の光子2本、内部は電子ループである。ループを回る運動量を とすると、2本の電子内線の運動量は と である。手順にしたがうと
となる。整理すれば の形である。
が現れる理由は次のとおりである。フェルミオン線を矢印と逆に辿ると、閉じたループでは出発点に戻ってくる。行の始まりと終わりのスピノル添字が同じものになるので、 という形の縮約になる。
が現れる理由は、Wick の定理でフェルミオン場を並べ替えるときの符号である。ループを作る縮約では と を一周させる必要があり、そのためにフェルミオン場を奇数回入れ替える。反交換関係のためにそのつど が出て、全体として が1つ残る。ループが2つあれば である。
この積分は発散するので、正則化とくりこみが必要になる(第6部 第1章、第2章)。Ward 恒等式は を要求し、これが正則化の仕方を選ぶ基準になる。
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