場の量子論入門 第5部 第4章 §5.4.4 ★★ 内積を重心系の角度で書き直す
重心系を取る。z 軸を入射方向に選び、散乱角を θ として
p=(E,0,0,E),p′=(E,0,0,−E),k=(E,κsinθ,0,κcosθ),k′=(E,−κsinθ,0,−κcosθ)
とする。ここで κ=∣k∣=E2−m2 であり、s=4E2 である。内積は
p⋅p′=2E2=2s,p⋅k=E2−Eκcosθ,p⋅k′=E2+Eκcosθ
であり、p′⋅k=E2+Eκcosθ、p′⋅k′=E2−Eκcosθ である(p′ は p の空間成分を反転したものなので、cosθ の符号が入れ替わる)。したがって
(p⋅k)(p′⋅k′)+(p⋅k′)(p′⋅k)=(E2−Eκcosθ)2+(E2+Eκcosθ)2=2E4+2E2κ2cos2θ
となり、m2(p⋅p′)=2E2m2 と合わせて
∣M∣2=s28e4⋅2E2(E2+κ2cos2θ+m2)=e4(1+β2cos2θ+E2m2)
を得る。ここで β=κ/E(ミューオンの速さ)とし、s2=16E4 を使った。m2/E2=1−β2 を代入すると
∣M∣2=e4(2−β2sin2θ)
とも書ける。断面積の公式に入れる。∣kf∣/∣ki∣=κ/E=β だから
dΩdσ=64π2sβ∣M∣2=4sα2β(2−β2sin2θ)
である(e4=(4πα)2=16π2α2 を使った)。しきい値 s=2m の直上ではβ→0 で断面積が消え、角度分布は等方(β2 の項が落ちる)になる。
高エネルギー極限 s≫m では β→1 となり
dΩdσ=4sα2(1+cos2θ)
となる(2−sin2θ=1+cos2θ)。角度について積分すると
σ=4sα2∫(1+cos2θ)dΩ=4sα2⋅2π∫−11(1+c2)dc=4sα2⋅2π⋅38
すなわち
σ(e+e−→μ+μ−)=3s4πα2
である(検算 検算スクリプト)。断面積が 1/s で減るのは次元解析の帰結である。ℏ=c=1 の自然単位では断面積の次元は(長さ)2=(質量)−2 であり、高エネルギー極限では質量の次元を持つ量が s しかないので、σ∝α2/s 以外にありえない。角度分布の 1+cos2θ は、スピン 1/2 の粒子が仮想光子(スピン1)を通じて対生成されることの反映であり、θ と π−θ について対称である。
AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com