場の量子論入門 第5部 第4章 §5.4.5 ★★ 同じ計算がクォーク対生成に流用でき、色数3の証拠になる
e+e− が仮想光子を経て生む終状態は、ミューオン対だけではない。電荷 qf(単位は素電荷)を持つどんな点状のスピン 1/2 粒子の対も同じ形の式で作られ、唯一の違いは頂点の結合定数がe→qfe になることである。したがって高エネルギー極限では
σ(e+e−→ffˉ)=qf2⋅3s4πα2
となる。クォークは電荷 qf を持ち、さらに色(color)という3値の内部自由度を持つ。色は光子と結合しないので断面積の形を変えないが、終状態の数を3倍にする。生成されたクォーク対は必ずハドロンに変わる(クォークは単独で取り出せない)ので、ハドロン生成の全断面積はクォーク対生成の断面積の総和に等しい。そこで比
R≡σ(e+e−→μ+μ−)σ(e+e−→ハドロン)=Ncf∑qf2
を測れば、色の数 Nc が直接読める。s が u,d,s,c,b の5フレーバーを生成できる領域では
f∑qf2=(32)2+(31)2+(31)2+(32)2+(31)2=911
であり、Nc=3 なら
R=3f∑qf2=311
となる(検算 検算スクリプト)。色が無ければ R=11/9 で、3倍の違いがある。実測は 11/3 の側に一致し(共鳴の山を避けた領域で)、これがクォークが3色を持つことのもっとも直接的な証拠の1つである。R の値が s の増加とともに階段状に上がることは、新しいフレーバーのしきい値を越えたことを示す。
例題 4.3(R 比を計算する ★★)
オリジナル(1) u,d,s の3フレーバーだけが開いている領域での R を、色数を Nc として求めよ。
(2) 5フレーバーの領域で Nc=3 とした値を求め、色が無い場合と比べよ。
解答
(1) 電荷は qu=2/3、qd=qs=−1/3 である。
f∑qf2=94+91+91=96=32,R=Nc⋅32.
Nc=3 なら R=2 である。
(2) c(電荷 2/3)と b(電荷 −1/3)が加わると
f∑qf2=32+94+91=96+4+1=911,R=3⋅911=311≃3.67.
色が無い(Nc=1)とすると R=11/9≃1.22 であり、測定値と3倍ずれる。断面積の絶対値でなく比を測るのは、加速器の輝度や検出効率など、分子と分母に共通する不確かさが打ち消し合うからである。■
AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com