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表面的発散次数の数え方

2026年10月15日6分で読めますAI生成教科書『基礎理論』第6部 第1章 ループと発散

AI 生成・木下が未勉強

場の量子論入門 第6部 第1章 §6.1.2 ★★ 発散の強さを図を描かずに数える。くりこみ可能性の判定はここから出る。

定義 (表面的発散次数)

ある Feynman 図のすべてのループ運動量を一斉に λ\lambda 倍したとき、積分(測度と被積分関数の両方を含む)が全体として λD\lambda^{D} のように振る舞うなら、DD をその図の表面的発散次数(superficial degree of divergence)と呼ぶ。

数え方は単純である。ループ1つにつき測度が d4k\mathrm{d}^4k で +4+4、スカラー場・ゲージ場の内線は伝播関数が 1/k21/k^2 なので1本につき −2-2、フェルミオンの内線は 1/k̸1/\not{k} なので1本につき −1-1 を与える。したがって

D=4L−2Ib−IfD = 4L - 2I_b - I_f

である(IbI_b はボゾンの内線数、IfI_f はフェルミオンの内線数)。D>0D>0 なら冪発散、D=0D=0 なら対数発散、D<0D<0 なら少なくとも表面的には収束する。

「表面的」と断るのは、D<0D<0 でも図の一部分(部分図)が発散していれば全体は発散するからである。逆に D≥0D\ge0 でも、対称性のために発散が打ち消えて有限になることがある(次節の真空偏極がその例である)。DD は必要な情報を全部与えるわけではないが、発散の分類にはこれで足りる。

この式を外線の本数と結合定数の質量次元で書き直すと、理論の性格が一目で分かる形になる。内線・頂点・外線の関係を使って書き換えると、4次元では

D=4−Eb−32Ef−∑iVi [gi](6.1.4)D = 4 - E_b - \tfrac{3}{2}E_f - \sum_i V_i\,[g_i]\tag{6.1.4}

となる。ここで Eb,EfE_b,E_f は外線のボゾン数・フェルミオン数、ViV_i は ii 番目の相互作用項の頂点の個数、[gi][g_i] はその結合定数の質量次元である(質量次元の勘定は第1部 第5章)。

式 (6.1.4) の最後の項が理論の運命を決める。

くりこみ可能性の判定

  • すべての [gi]>0[g_i]>0:頂点を増やすほど DD が下がる。発散する図は有限個しかない(超くりこみ可能)。4次元の ϕ3\phi^3 理論がこれにあたる。
  • すべての [gi]≥0[g_i]\ge0 で、00 のものがある:DD は頂点の個数に依らない。発散する振幅の種類は外線の本数だけで決まるので有限種類だが、各種類は全次数で発散し続ける(くりこみ可能)。ϕ4\phi^4 理論と QED がこれにあたる。
  • [gi]<0[g_i]<0 のものがある:頂点を増やすほど DD が上がる。十分高次に行けば任意の外線数の振幅が発散する(くりこみ可能でない)。Fermi の4フェルミオン相互作用([GF]=−2[G_F]=-2)と重力([GN]=−2[G_N]=-2)がこれにあたる。

くりこみ可能な理論では、発散する振幅の種類が有限個なので、有限個のパラメータを測定で決め直せばすべての発散を吸収できる見込みが立つ。この見込みが実際に全次数で成り立つことが「くりこみ可能性」の内容であり、証明はこの部の範囲を超える(BPHZ の定理と呼ばれる)。ここでは1ループの範囲で、その仕組みが具体的にどう働くかを見ることに集中する。

例題 1.1(表面的発散次数を数える)

オリジナルϕ4\phi^4 理論(4次元、L=12(∂μϕ)2−12m2ϕ2−λ4!ϕ4\mathcal{L}=\frac12(\partial_{\mu}\phi)^2-\frac12m^2\phi^2-\frac{\lambda}{4!}\phi^4)について、以下を求めよ。

  • (1) 式 (6.1.2) の図(外線4本、ループ1本、内線2本)の DD を、D=4L−2Ib−IfD=4L-2I_b-I_f から直接求めよ。
  • (2) 外線が EE 本の任意の図の DD を式 (6.1.4) から求め、発散する振幅の種類を列挙せよ。
  • (3) 同じ理論に g6!ϕ6\frac{g}{6!}\phi^6 という項を加えたとき、外線4本の振幅の DD がϕ6\phi^6 頂点の個数 V6V_6 にどう依存するかを求めよ。
解答

(1) L=1L=1、Ib=2I_b=2、If=0I_f=0 なのでD=4⋅1−2⋅2−0=0D = 4\cdot1 - 2\cdot2 - 0 = 0。対数発散である。実際、第1.1節で見たとおり被積分関数は 1/k41/k^4 で落ち、∫dk/k\int\mathrm{d} k/k となる。

(2) ϕ4\phi^4 の結合定数の質量次元は [λ]=0[\lambda]=0 である([L]=4[\mathcal{L}]=4、[ϕ]=1[\phi]=1 なので[λ]+4=4[\lambda]+4=4)。よって式 (6.1.4) は D=4−ED = 4 - E となり、頂点の個数に依らない。D≥0D\ge0 となるのは E≤4E\le4 で、ϕ→−ϕ\phi\to-\phi の対称性から外線が奇数本の振幅は消えるから、発散するのは

  • E=2E=2(自己エネルギー):D=2D=2、2次発散
  • E=4E=4(4点関数):D=0D=0、対数発散

の2種類だけである。摂動の何次に行ってもこの2種類しか発散しない。

(3) [g][g] は [g]+6=4[g]+6=4 から [g]=−2[g]=-2。式 (6.1.4) で E=4E=4、[λ]=0[\lambda]=0、[g]=−2[g]=-2 とすると

D=4−4−V4⋅0−V6⋅(−2)=2V6.D = 4 - 4 - V_4\cdot0 - V_6\cdot(-2) = 2V_6 .

ϕ6\phi^6 頂点を1つ使うごとに発散が2次ずつ強くなる。ϕ6\phi^6 項を含む理論はくりこみ可能でない。

例題 1.2(結合定数の質量次元からくりこみ可能性を判定する)

オリジナル4次元時空で、次の各相互作用項の結合定数の質量次元を求め、その理論がくりこみ可能かどうかを判定せよ。場の質量次元は [ϕ]=1[\phi]=1、[ψ]=3/2[\psi]=3/2、[Aμ]=1[A_\mu]=1、[hμν]=1[h_{\mu\nu}]=1 を使ってよい。

  • (1) 湯川結合 −g ψˉψϕ-g\,\bar\psi \psi\phi
  • (2) QED の相互作用 −e ψˉγμψAμ-e\,\bar\psi \gamma^\mu\psi A_\mu
  • (3) Fermi の4フェルミオン相互作用 −GF(ψˉΓψ)(ψˉΓψ)-G_F(\bar\psi \Gamma\psi)(\bar\psi \Gamma\psi)
  • (4) 重力の最低次の結合 −κ hμνTμν-\kappa\, h_{\mu\nu}T^{\mu\nu}(TμνT^{\mu\nu} はエネルギー運動量テンソルで [Tμν]=4[T^{\mu\nu}]=4)
解答

どの場合も、Lagrangian 密度の質量次元が4であること(作用 S=∫d4x LS=\int\mathrm{d}^4x\,\mathcal{L} が無次元であることから従う)を使って結合定数の次元を決める。

(1) [g]+32+32+1=4[g]+\frac32+\frac32+1=4 より [g]=0[g]=0。くりこみ可能である。

(2) [e]+32+32+1=4[e]+\frac32+\frac32+1=4 より [e]=0[e]=0。くりこみ可能である。これはα=e2/4π\alpha=e^2/4\pi が無次元であることと整合する。

(3) [GF]+4⋅32=4[G_F]+4\cdot\frac32=4 より [GF]=−2[G_F]=-2。負なので、くりこみ可能でない。GFG_F が質量の −2-2 乗の次元を持つことは、この理論が「あるエネルギースケールまでしか使えない」ことを含意している(第6章で定量化する)。

(4) [κ]+1+4=4[\kappa]+1+4=4 より [κ]=−1[\kappa]=-1。負なので、くりこみ可能でない。実際κ∼1/MPl\kappa\sim1/M_{\rm Pl} であり、Planck 質量が理論の適用限界を与える。

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