場の量子論入門 第6部 第4章 §6.4.4 ★★ 符号が逆転する。b0=11−2nf/3=7(nf=6)。
強い相互作用の理論(QCD)は、色荷を持つゲージ場(グルーオン)が自分自身と相互作用する点でQED と異なる。1ループの β 関数は
β(g)=−16π2g3b0,b0=11−32nf(6.4.7)
である(nf はそのエネルギーで軽いと見なせるクォークの種類数)。11 はグルーオンの自己相互作用から来る反遮蔽の寄与、−2nf/3 はクォークループから来る遮蔽の寄与である。標準模型のクォークは6種類なので nf=6 で b0=7>0 となり、β<0、すなわち高エネルギーで結合が弱くなる。この性質を漸近自由と呼ぶ。
式 (6.4.7) を積分すると
αs(μ)=b0ln(μ/ΛQCD)2π
となる。ΛQCD は積分定数を書き直したもので、結合が強くなるスケールを表す。μ→ΛQCD で αs が発散するが、これは摂動論が使えなくなることを示すだけであって、そこで理論が破綻するわけではない。低エネルギーでクォークとグルーオンが単独では観測されない現象(閉じ込め)は、この強結合領域で起きる。閉じ込めは摂動論では示せず、格子上の数値計算によって支持されている。
図 6.4.1 に、QED と QCD の走る結合を対比して示す。

図 6.4.1 走る結合定数。左は QED(電子ループのみの1ループ、式 (6.4.6))で、エネルギーとともに結合が強くなる。右は QCD(b0=7)で、エネルギーとともに結合が弱くなる(漸近自由)。
例題 4.1(1/α(MZ) を評価する)
オリジナル式 (6.4.5) を積分して式 (6.4.6) を導け。さらに α(me)=1/137.036、me=0.511MeV、MZ=91.19GeV として 1/α(MZ) を評価し、実測値1/α(MZ)≃128 と比較して差の原因を述べよ。
解答
積分。 μdα/dμ=2α2/(3π) の両辺を α2 で割ると
α21dlnμdα=3π2⟺−dlnμd(α1)=3π2.
lnμ について積分すれば式 (6.4.6) を得る。
数値評価。 ln(MZ/me)=ln(91.19/0.000511)=ln(1.784×105)=12.09 である。また 2/(3π)=0.2122 なので
α(MZ)1=137.036−0.2122×12.09=137.036−2.566=134.47≃134.5.
実測との差。 実測値は約 128 で、6 ほど小さい(つまり実際の α(MZ) は上の評価より大きい)。原因は、電子だけを走らせたことである。me と MZ の間にはミューオン・タウ、および5種類のクォークが存在し、それぞれの質量を超えると真空偏極に寄与し始める。寄与は電荷の2乗に比例し、クォークは色の自由度で3倍される。これらをすべて含めると 1/α の減り方が大きくなり、実測値に近づく。
この数値は 検算スクリプト の「1/alpha(M_Z) = 134.5」で確認してある。
AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com