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Wick 回転と Euclid 作用

2026年10月15日3分で読めますAI生成教科書『基礎理論』第7部 第6章 虚時間と統計力学

AI 生成・木下が未勉強

場の量子論入門 第7部 第6章 §7.6.1 ★★ 符号を丁寧に追う。ポテンシャルの符号が変わるのが要点

第 2 章で、真空を選び出すために時間を複素平面上でわずかに傾けた。この章では回転を最後まで実行する。t=−iτt=-\mathrm{i}\tau と完全に虚軸へ回すと、振動する重み eiS\mathrm{e}^{\mathrm{i} S} は実の減衰する重み e−SE\mathrm{e}^{-S_E} に変わり、経路積分は統計力学の分配関数そのものになる。統計力学の基礎(分配関数など)を知っている読者なら、対応関係は既に知っている量どうしの辞書として読める。

例題 6.1(Wick 回転)

オリジナル1 自由度の作用 S=∫dt [m2x˙2−V(x)]S=\int\mathrm{d} t\,[\frac m2\dot x^2-V(x)] に t=−iτt=-\mathrm{i}\tau を代入し、eiS=e−SE\mathrm{e}^{\mathrm{i} S}=\mathrm{e}^{-S_E} となる Euclid 作用 SES_E を求めよ。

解答

t=−iτt=-\mathrm{i}\tau より dt=−i dτ\mathrm{d} t=-\mathrm{i}\,\mathrm{d}\tau、また

x˙=dxdt=dxdτdτdt=i dxdτ⟹m2x˙2=−m2(dxdτ)2.\dot x=\frac{\mathrm{d} x}{\mathrm{d} t}=\frac{\mathrm{d} x}{\mathrm{d}\tau}\frac{\mathrm{d}\tau}{\mathrm{d} t} =\mathrm{i}\,\frac{\mathrm{d} x}{\mathrm{d}\tau} \quad\Longrightarrow\quad \frac m2\dot x^2=-\frac m2\Bigl(\frac{\mathrm{d} x}{\mathrm{d}\tau}\Bigr)^2 .

これらを代入すると

iS=i∫(−i dτ)[−m2(dxdτ)2−V(x)]=∫ ⁣dτ[−m2(dxdτ)2−V(x)]=−∫ ⁣dτ[m2(dxdτ)2+V(x)].\mathrm{i} S=\mathrm{i}\int(-\mathrm{i}\,\mathrm{d}\tau)\Bigl[-\frac m2\Bigl(\frac{\mathrm{d} x}{\mathrm{d}\tau}\Bigr)^2-V(x)\Bigr] =\int\!\mathrm{d}\tau\Bigl[-\frac m2\Bigl(\frac{\mathrm{d} x}{\mathrm{d}\tau}\Bigr)^2-V(x)\Bigr] =-\int\!\mathrm{d}\tau\Bigl[\frac m2\Bigl(\frac{\mathrm{d} x}{\mathrm{d}\tau}\Bigr)^2+V(x)\Bigr].

したがって

SE=∫ ⁣dτ[m2(dxdτ)2+V(x)],eiS=e−SE.S_E=\int\!\mathrm{d}\tau\Bigl[\frac m2\Bigl(\frac{\mathrm{d} x}{\mathrm{d}\tau}\Bigr)^2+V(x)\Bigr],\qquad \mathrm{e}^{\mathrm{i} S}=\mathrm{e}^{-S_E}.

運動項とポテンシャル項の相対符号が反転して、SES_E は正定値な量(V≥0V\ge0 のとき)になる。実時間の Lagrangian が「運動エネルギーからポテンシャルを引いたもの」だったのに対し、Euclid の被積分関数は「運動エネルギーとポテンシャルの和」であり、形はエネルギーに似ている。この符号反転は、虚時間では粒子が逆さまのポテンシャル −V-V の中を運動することと同じであり、トンネル効果を古典的な経路(インスタントン)として扱えるようになる理由でもある。

場の理論でも同じである。x0=−ix4x^0=-\mathrm{i} x^4 と置くと計量 diag(+,−,−,−)\mathrm{diag}(+,-,-,-) は−diag(+,+,+,+)-\mathrm{diag}(+,+,+,+) に変わり、スカラー場の Euclid 作用は

SE=∫ ⁣d4xE [12(∂Eϕ)2+12m2ϕ2+U(ϕ)]S_E=\int\!\mathrm{d}^4x_E\ \Bigl[\frac12(\partial_E\phi)^2+\frac12m^2\phi^2+U(\phi)\Bigr]

となる。重み e−SE\mathrm{e}^{-S_E} は正の実数であり、SES_E が下に有界であれば積分は収束する。実時間の経路積分が振動積分であって収束の意味付けが難しいのに対し、Euclid 版は(少なくとも形式的には)確率測度として扱える。この違いが後の数値計算を可能にする。

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