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容量と容量係数

2026年10月15日10分で読めますAI生成教科書『基礎理論』第3章 導体と境界値問題
目次
  1. 1つの導体と2つの導体の容量
  2. 電位係数と容量係数
  3. 確認テスト
  4. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

電磁気学入門 第3章 §3.2 ★★ 電荷と電位の線形な関係を係数の行列にまとめ、その対称性とエネルギーを導く

1つの導体と2つの導体の容量

孤立した導体に電荷 QQ を与えると、電位 VV(無限遠を基準とする)が決まる。電荷を λ\lambda 倍したときは、面密度もすべて λ\lambda 倍した配置が「導体の表面で電位一定」の条件を満たす。このとき電位も λ\lambda 倍になる。一意性定理(定理 3.2)によりこれが唯一の解なので、QQ と VV は比例する。比例係数

C=QV(3.5)C=\frac{Q}{V}\tag{3.5}

を導体の電気容量(キャパシタンス)と呼ぶ。単位は C/V=F\mathrm{C/V}=\mathrm F(ファラッド)である。容量は導体の形と大きさだけで決まり、電荷にも電位にもよらない。

例として、半径 aa の導体球では V=Q/(4πε0a)V=Q/(4\pi\varepsilon_0 a) なので、容量は

C=4πε0aC=4\pi\varepsilon_0 a

である。ε0\varepsilon_0 の単位が F/m\mathrm{F/m} であるのは、容量が真空の誘電率と長さの積の形をとるからである。

2つの導体に +Q+Q と −Q-Q を与えたものをコンデンサー(キャパシター)と呼ぶ。2つの導体の電位差を VV とすると、同じ線形性から Q=CVQ=CV と書ける。この比例係数をコンデンサーの容量と呼ぶ。

例題 3.3 同心球コンデンサーと地球の容量 ★★

オリジナル半径 aa の導体球を、内半径 b (>a)b\,(>a) の薄い導体の球殻が同心に囲む。内球に +Q+Q、球殻に −Q-Q を与える。

  1. 容量 CC を求めよ。
  2. 次の2つの極限で、容量がそれぞれ何に近づくかを調べよ。(a) b→∞b\to\infty。(b) b=a+db=a+d で d≪ad\ll a。
  3. 地球を半径 R=6.37×106 mR=6.37\times10^{6}\,\mathrm m の孤立した導体球とみなし、容量を求めよ。
解答
  1. a<r<ba<r<b では、球対称性と Gauss の法則から E=Q4πε0r2r^\bm E=\dfrac{Q}{4\pi\varepsilon_0r^2}\hat{\bm r} である。電位差は

V=ϕ(a)−ϕ(b)=∫abQ4πε0r2 dr=Q4πε0(1a−1b)=Q4πε0b−aabV=\phi(a)-\phi(b)=\int_a^b\frac{Q}{4\pi\varepsilon_0r^2}\,\mathrm{d} r=\frac{Q}{4\pi\varepsilon_0}\left(\frac1a-\frac1b\right) =\frac{Q}{4\pi\varepsilon_0}\frac{b-a}{ab}

なので、C=Q/V=4πε0abb−aC=Q/V=\dfrac{4\pi\varepsilon_0ab}{b-a} である。2. 2つの極限を順に見る。

  • (a) b→∞b\to\infty では ab/(b−a)→aab/(b-a)\to a となる。よって C→4πε0aC\to4\pi\varepsilon_0a で、孤立した球の容量に戻る。
  • (b) b=a+db=a+d、d≪ad\ll a の場合を考える。球の面積を S=4πa2S=4\pi a^2 と書くと

abb−a=a(a+d)d≃a2d,C≃4πa2ε0d=ε0Sd\frac{ab}{b-a}=\frac{a(a+d)}{d}\simeq\frac{a^2}{d},\qquad C\simeq\frac{4\pi a^2\varepsilon_0}{d}=\frac{\varepsilon_0S}{d}

となる。これは面積 SS、間隔 dd の平行板コンデンサーの容量に一致する。間隔が半径より十分小さいと、曲がった極板も局所的には平行な板とみなせるからである。3. 数値を入れると

C=4πε0R=4π×8.854×10−12×6.37×106 F=7.09×10−4 FC=4\pi\varepsilon_0R=4\pi\times8.854\times10^{-12}\times6.37\times10^{6}\,\mathrm F=7.09\times10^{-4}\,\mathrm F

で、約 710 μF710\,\mu\mathrm F である。地球ほど大きな導体でも容量は1ファラッドよりはるかに小さい。このことから、ファラッドが非常に大きな単位であることが分かる。

電位係数と容量係数

導体が NN 個あるときは、電荷と電位の関係は行列になる。導体 jj にだけ単位電荷を与え、ほかの導体の電荷をゼロにしたときを考える。このときの導体 ii の電位を pijp_{ij} と書く。重ね合わせにより、一般の電荷 Q1,…,QNQ_1,\dots,Q_N に対して

Vi=∑j=1NpijQj(3.6)V_i=\sum_{j=1}^Np_{ij}Q_j\tag{3.6}

が成り立つ。ここで重ね合わせを使ってよいのは、各導体の表面で電位一定という条件と全電荷の条件がどちらも線形であり、定理 3.2 から解が1つに決まるからである。pijp_{ij} を電位係数と呼ぶ。行列 (pij)(p_{ij}) は正則であり(下で示すエネルギーの正値性から従う)、逆行列を (cij)(c_{ij}) と書くと

Qi=∑j=1NcijVj(3.7)Q_i=\sum_{j=1}^Nc_{ij}V_j\tag{3.7}

である。ciic_{ii} を容量係数、cij (i≠j)c_{ij}\,(i\ne j) を誘導係数と呼ぶ(まとめて容量係数と呼ぶこともある)。

係数の意味は次のとおりである。導体 jj だけを電位 1 にし、ほかをすべて接地する。そのとき導体 ii に現れる電荷が cijc_{ij} である。

導体系の静電エネルギーを求める。W=12∫ρϕ dVW=\frac12\int\rho\phi\,\mathrm{d} V の電荷は導体の表面だけにあり、各表面で ϕ=Vi\phi=V_i が一定なので

W=12∑iQiVi=12∑i,jpijQiQj=12∑i,jcijViVj(3.8)W=\frac12\sum_iQ_iV_i=\frac12\sum_{i,j}p_{ij}Q_iQ_j=\frac12\sum_{i,j}c_{ij}V_iV_j\tag{3.8}

となる。場の形 W=ε02∫∣E∣2dVW=\frac{\varepsilon_0}{2}\int\left\vert \bm E\right\vert ^2\mathrm{d} V は、電荷が1つでもゼロでなければ正である。よって2次形式 ∑pijQiQj\sum p_{ij}Q_iQ_j は正定値である。正定値な行列は正則であり、逆行列 (cij)(c_{ij}) も正定値になる。

定理 3.5(Green の相反定理と係数の対称性 ★★)

同じ導体系の2つの状態を考える。

  1. (i) 状態1:電荷 QiQ_i、電位 ViV_i。
  2. (ii) 状態2:電荷 Qi′Q_i'、電位 Vi′V_i'。

この2つについて

∑iQiVi′=∑iQi′Vi(3.9)\sum_iQ_iV_i'=\sum_iQ_i'V_i\tag{3.9}

が成り立つ。したがって pij=pjip_{ij}=p_{ji}、cij=cjic_{ij}=c_{ji} である。

証明

一般の電荷分布 ρ\rho と ρ′\rho' を考える。ρ′\rho' の作る電位

ϕ′(r)=14πε0∫ρ′(r′)∣r−r′∣dV′\phi'(\bm r)=\frac{1}{4\pi\varepsilon_0}\int\frac{\rho'(\bm r')}{\left\vert \bm r-\bm r'\right\vert }\mathrm{d} V'

を使うと

∫ρ ϕ′ dV=14πε0∬ρ(r)ρ′(r′)∣r−r′∣ dV dV′\int\rho\,\phi'\,\mathrm{d} V=\frac{1}{4\pi\varepsilon_0}\iint\frac{\rho(\bm r)\rho'(\bm r')}{\left\vert \bm r-\bm r'\right\vert }\,\mathrm{d} V\,\mathrm{d} V'

となる。右辺は2つの分布を入れ替えても変わらないので

∫ρ ϕ′ dV=∫ρ′ϕ dV\int\rho\,\phi'\,\mathrm{d} V=\int\rho'\phi\,\mathrm{d} V

である。導体系では電荷は導体の表面にだけあり、表面 SiS_i の上で ϕ′=Vi′\phi'=V_i' が一定である。よって左辺は

∑iVi′∮Siσ dS=∑iQiVi′\sum_iV_i'\oint_{S_i}\sigma\,\mathrm{d} S=\sum_iQ_iV_i'

になる。右辺も同様に ∑iQi′Vi\sum_iQ_i'V_i になり、(3.9) を得る。

電位係数の対称性を示すため、次の2つの状態をとる。

  • 状態1:導体 jj だけに電荷 1 をもたせる。
  • 状態2:導体 ii だけに電荷 1 をもたせる。

(3.9) の左辺は Vj′=pjiV_j'=p_{ji}、右辺は Vi=pijV_i=p_{ij} なので、両者は等しい。対称行列の逆行列は対称なので cij=cjic_{ij}=c_{ji} である。

この対称性は、直観だけでは予想しにくい内容を含む。小さな導体1と大きな導体2が離れて置かれているとき、「導体2に単位電荷を与えたときの導体1の電位」と「導体1に単位電荷を与えたときの導体2の電位」は、導体の形や大きさがまったく違っても等しい。

命題 3.6(容量係数の符号)

次の3つが成り立つ。

  1. (i) cii>0c_{ii}>0。
  2. (ii) cij≤0 (i≠j)c_{ij}\le0\ (i\ne j)。
  3. (iii) ∑jcij≥0\sum_jc_{ij}\ge0。
証明

導体 jj の電位を 1、ほかの導体の電位を 0 にした状態を考える。導体の外の電位 ϕ\phi は、電荷の無い領域で ∇2ϕ=0\nabla^2\phi=0 を満たす。境界の値は 0(ほかの導体と無限遠)か 1(導体 jj)なので、補題 3.3 により外の領域で 0≤ϕ≤10\le\phi\le1 である。

  1. (i) 導体 jj の電荷は正。導体 jj の表面では ϕ\phi が最大値 1 をとるので、外向きの法線方向に電位は増えない。よって σ=−ε0∂ϕ/∂n≥0\sigma=-\varepsilon_0\partial\phi/\partial n\ge0 で、cjj=Qj≥0c_{jj}=Q_j\ge0 である。ϕ\phi は無限遠で 0 なので恒等的に 1 ではありえず、等号は成り立たない。
  2. (ii) ほかの導体の電荷は負かゼロ。ほかの導体 ii の表面では電位が最小値 0 をとるので、∂ϕ/∂n≥0\partial\phi/\partial n\ge0 である。よって σ≤0\sigma\le0 となり、cij=Qi≤0c_{ij}=Q_i\le0 である。
  3. (iii) 全電荷は負でない。全電荷 ∑iQi=∑icij\sum_iQ_i=\sum_ic_{ij} は、全体を囲む大きな球面での Gauss の法則から電場の流束で表せる。遠方の電位は

ϕ≃∑iQi4πε0r\phi\simeq\frac{\sum_iQ_i}{4\pi\varepsilon_0r}

で、しかも ϕ≥0\phi\ge0 なので、全電荷は負でない。対称性 cij=cjic_{ij}=c_{ji} から ∑jcij≥0\sum_jc_{ij}\ge0 も成り立つ。

コンデンサーの容量を係数で書く

2つの導体に +Q,−Q+Q,-Q を与えると、(3.6) から

V1−V2=(p11−p21)Q−(p12−p22)Q=(p11+p22−2p12)QV_1-V_2=(p_{11}-p_{21})Q-(p_{12}-p_{22})Q=(p_{11}+p_{22}-2p_{12})Q

となるので

C=1p11+p22−2p12C=\frac{1}{p_{11}+p_{22}-2p_{12}}

である。分母は2次形式 ∑pijQiQj\sum p_{ij}Q_iQ_j に (Q1,Q2)=(1,−1)(Q_1,Q_2)=(1,-1) を入れたものなので正である。よって容量が正であることが保証される。

確認テスト

オリジナル

  1. 3.2-1 孤立した導体の容量が、導体の電荷にも電位にもよらず形だけで決まる理由を1文で説明せよ。
  2. 3.2-2 半径 aa の導体の円柱を、内半径 bb の導体の円筒が同軸に囲む。長さは L≫bL\gg b で、端の影響は無視する。単位長さあたりの容量を求めよ。また、a=0.50 mma=0.50\,\mathrm{mm}、b=2.0 mmb=2.0\,\mathrm{mm}、間が真空のときの値を pF/m で求めよ。
  3. 3.2-3 半径 aa の導体球(導体1)を、半径 b (>a)b\,(>a) の薄い導体の球殻(導体2)が同心に囲む。電位係数 pijp_{ij} と容量係数 cijc_{ij} をすべて求めよ。命題 3.6 の3つの不等式が成り立つことを確かめ、c11+c21=0c_{11}+c_{21}=0 となる理由を説明せよ。
  4. 3.2-4 前問の pijp_{ij} を注意の箱の式 C=1/(p11+p22−2p12)C=1/(p_{11}+p_{22}-2p_{12}) に入れ、例題 3.3 の容量と一致することを示せ。

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