tecktom.com

導体の性質と静電遮蔽

2026年10月15日17分で読めますAI生成教科書『基礎理論』第3章 導体と境界値問題
目次
  1. 静電平衡の導体
  2. 表面にはたらく力
  3. 一意性定理と静電遮蔽
  4. 確認テスト
  5. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

電磁気学入門 第3章 §3.1 ★★★ 導体の中は電場ゼロ・表面は等電位という2つの事実から、境界値問題の境界条件が出る

第2章では、電荷の分布 ρ(r)\rho(\bm r) が与えられたときに電場と電位を求める道具をそろえた。Coulomb の法則の重ね合わせ、Gauss の法則、Poisson 方程式 ∇2ϕ=−ρ/ε0\nabla^2\phi=-\rho/\varepsilon_0、そして境界の値を決めれば Poisson 方程式の解はただ1つに決まるという一意性定理である。

ところが実際の装置には金属が入っている。金属の表面にどれだけの電荷がどう分布するかは、外から置いた電荷と金属の形の両方に応じて決まり、問題を解く前には分からない。この章の主題は、電荷の分布の代わりに「導体の表面で電位が一定」という境界条件を手がかりにして、電位を求める方法である。

この章では次の順に進む。§3.1 で静電平衡にある導体の性質を導き、空洞の中が外の電場から遮蔽される理由を一意性定理から示す。§3.2 では導体の電荷と電位の線形関係を容量係数として整理し、その対称性を Green の相反定理から証明する。

§3.3 の鏡像法と §3.4 の変数分離は、境界値問題を実際に解く2つの代表的な方法である。§3.5 の多重極展開は、電荷分布から十分離れた所の電位を、電荷分布の少数の数(全電荷・双極子モーメント・四重極モーメント)で表す展開である。変数分離で出てくる Legendre 多項式が、多重極展開の係数としてもう一度現れる。

この章で使う第2章の結果を式の形でまとめておく。電場は電位の勾配 E=−∇ϕ\bm E=-\nabla\phi で表され、電位は Poisson 方程式

∇2ϕ=−ρε0(3.1)\nabla^2\phi=-\frac{\rho}{\varepsilon_0}\tag{3.1}

に従う。点電荷 qq の電位は ϕ=q/(4πε0r)\phi=q/(4\pi\varepsilon_0 r) である。電荷の面密度 σ\sigma をもつ面を横切ると、電場の法線成分は

En,外−En,内=σε0(3.2)E_{n,\text{外}}-E_{n,\text{内}}=\frac{\sigma}{\varepsilon_0}\tag{3.2}

だけ跳び、接線成分は連続である(nn は内から外へ向かう単位法線)。静電エネルギーは

W=12∫ρϕ dV=ε02∫∣E∣2dVW=\frac12\int\rho\phi\,\mathrm{d} V=\frac{\varepsilon_0}{2}\int\left\vert \bm E\right\vert ^2\mathrm{d} V

で与えられる。第1章 §1.4 の球座標のラプラシアンも §3.4 で使う。

静電平衡の導体

導体とは、内部に自由に動ける電荷(金属では伝導電子)をもつ物体をいう。導体の中に電場があれば自由電荷は力 qEq\bm E を受けて動く。電荷の移動は、電荷の再配置によって導体内部の電場が打ち消されるまで続く。

電荷の移動が止まった状態を静電平衡と呼ぶ。静電平衡の定義そのものから、次の性質が順に導かれる。

命題 3.1(静電平衡の導体の性質)

静電平衡にある導体について、次が成り立つ。

  1. 導体の内部では E=0\bm E=\bm 0 である。
  2. 導体全体(内部と表面)は1つの等電位領域である。
  3. 導体の内部の電荷密度は ρ=0\rho=0 であり、導体がもつ電荷はすべて表面にある。
  4. 導体の表面のすぐ外の電場は表面に垂直で、大きさは表面電荷密度 σ\sigma を使って

E=σε0n(3.3)\bm E=\frac{\sigma}{\varepsilon_0}\bm n\tag{3.3}

と書ける。n\bm n は導体から外へ向かう単位法線である。

証明
  1. 静電平衡の定義である。内部の点に電場が残っていれば、その点の自由電荷が動くので平衡でない。
  2. 導体の中の任意の2点 A, B を導体の中を通る道で結ぶと

ϕ(B)−ϕ(A)=−∫ABE⋅dl=0\phi(B)-\phi(A)=-\int_A^B\bm E\cdot\mathrm{d}\bm l=0

である。表面の点も内部の点の極限なので、ϕ\phi の連続性から同じ値をとる。3. 内部で電場がゼロなので、Gauss の法則の微分形 ∇⋅E=ρ/ε0\nabla\cdot\bm E=\rho/\varepsilon_0 から ρ=0\rho=0 である。4. 表面は等電位面なので、表面に沿った電位の変化はゼロである。よって電場の接線成分 −∂ϕ/∂t-\partial\phi/\partial t は表面上でゼロである(tt は表面に沿った向き)。接線成分は面を横切って連続なので、すぐ外でもゼロになる。法線成分には跳びの式 (3.2) を En,内=0E_{n,\text{内}}=0 として使えば、En,外=σ/ε0E_{n,\text{外}}=\sigma/\varepsilon_0 を得る。

この命題の (2) が、境界値問題の境界条件になる。導体の表面で電位は一定値をとるが、その一定値と、表面の電荷の分布 σ\sigma は前もって分からない。問題を解いて ϕ\phi が求まれば、(3.3) から逆に σ=−ε0 ∂ϕ/∂n\sigma=-\varepsilon_0\,\partial\phi/\partial n として表面電荷が読み取れる。

平衡に達するまでの時間

導体の中に余分な電荷密度 ρ\rho を置いたとき、それが表面へ逃げるまでの時間は次のように見積もられる。

  • 電荷の連続の式と Ohm の法則を使う(σc\sigma_{\mathrm c} は電気伝導率。第5章で扱う)。

∂ρ∂t+∇⋅J=0,J=σcE\frac{\partial \rho}{\partial t}+\nabla\cdot\bm J=0,\qquad \bm J=\sigma_{\mathrm c}\bm E

  • Gauss の法則 ∇⋅E=ρ/ε0\nabla\cdot\bm E=\rho/\varepsilon_0 を代入すると、次の式になる。

∂ρ∂t=−σcε0ρ\frac{\partial \rho}{\partial t}=-\frac{\sigma_{\mathrm c}}{\varepsilon_0}\rho

  • したがって ρ\rho は時定数 τ=ε0/σc\tau=\varepsilon_0/\sigma_{\mathrm c} で指数的に減る。

この見積もりは例題 3.1 で数値にする。

例題 3.1 銅の中の電荷の緩和時間 ★

オリジナル銅の電気伝導率を σc=5.96×107 S/m\sigma_{\mathrm c}=5.96\times10^{7}\,\mathrm{S/m} とする。銅の中に置いた余分な電荷密度が1/e1/\mathrm{e} に減るまでの時間 τ=ε0/σc\tau=\varepsilon_0/\sigma_{\mathrm c} を求めよ。また、この値を、1 GHz1\,\mathrm{GHz} の交流の周期と比べよ。ε0=8.854×10−12 F/m\varepsilon_0=8.854\times10^{-12}\,\mathrm{F/m} とする。

解答

注意の箱の式に数値を入れると

τ=ε0σc=8.854×10−12 F/m5.96×107 S/m=1.49×10−19 s.\tau=\frac{\varepsilon_0}{\sigma_{\mathrm c}}=\frac{8.854\times10^{-12}\,\mathrm{F/m}}{5.96\times10^{7}\,\mathrm{S/m}} =1.49\times10^{-19}\,\mathrm{s}.

単位は F/S=(C/V)/(A/V)=C/A=s\mathrm{F/S}=(\mathrm{C/V})/(\mathrm{A/V})=\mathrm{C/A}=\mathrm s で、時間になっている。1 GHz の交流の周期は 10−9 s10^{-9}\,\mathrm s である。τ\tau はその 10−1010^{-10} 倍程度にすぎない。したがって、マイクロ波の領域までの電場の変化に対して、銅の内部の電荷は事実上つねに平衡にあるとみなしてよい。

ただし、この見積もりは Ohm の法則が瞬時に成り立つという仮定に基づいている。実際の金属では電子の衝突の時間(銅で 10−14 s10^{-14}\,\mathrm s 程度)より短い時間では Ohm の法則が使えないので、τ\tau の値そのものは「非常に短い」ことの目安と読むのが正しい。

表面にはたらく力

導体の表面の電荷は、まわりの電場から力を受ける。表面電荷の受ける力を求めるとき、表面のすぐ外の電場 σ/ε0\sigma/\varepsilon_0 をそのまま使うのは誤りである。その電場の半分は、力を受ける当の電荷そのものが作っているからである。

面上の小さな面素 dS\mathrm{d} S の電荷が作る電場は、ごく近くでは無限に広い平面の電場とみなせて、面の両側に大きさ σ/(2ε0)\sigma/(2\varepsilon_0) で、面から離れる向きに出る。残りの電荷が作る電場を E他\bm E_{\text{他}} とすると、導体のすぐ内側では全体の電場がゼロ、すぐ外側では σ/ε0\sigma/\varepsilon_0 なので

E他,n−σ2ε0=0,E他,n+σ2ε0=σε0E_{\text{他},n}-\frac{\sigma}{2\varepsilon_0}=0,\qquad E_{\text{他},n}+\frac{\sigma}{2\varepsilon_0}=\frac{\sigma}{\varepsilon_0}

が成り立ち、どちらからも E他,n=σ/(2ε0)E_{\text{他},n}=\sigma/(2\varepsilon_0) を得る。面素が受ける力は σ dS⋅E他\sigma\,\mathrm{d} S\cdot\bm E_{\text{他}} なので、単位面積あたりの力は

f=σ22ε0n=ε0E22n(3.4)\bm f=\frac{\sigma^2}{2\varepsilon_0}\bm n=\frac{\varepsilon_0E^2}{2}\bm n\tag{3.4}

である。ここで E=σ/ε0E=\sigma/\varepsilon_0 は表面のすぐ外の電場の大きさである。σ\sigma の符号によらず f\bm f は外向きで、導体の表面は外へ引っ張られる。大きさは表面のすぐ外の電場のエネルギー密度 ε0E2/2\varepsilon_0E^2/2(第2章 §2.4)と等しい。

一意性定理と静電遮蔽

導体の境界値問題の答えが1つに決まることを確かめておく。第2章 §2.3 では、領域の境界の全体で電位の値を指定すれば Poisson 方程式の解は1つに決まることを示した。導体を含む問題では、導体の電位でなく導体の全電荷を指定することが多いので、その場合の一意性を示す。

定理 3.2(導体の全電荷を指定したときの一意性 ★★)

導体 1,…,N1,\dots,N の外側の領域を VV とし、次の3つが与えられているとする。

  1. (i) VV の中の電荷密度 ρ\rho。
  2. (ii) 各導体の全電荷 QiQ_i。
  3. (iii) 無限遠での条件 ϕ→0\phi\to0。

このとき、各導体の表面で一定値をとり Poisson 方程式を満たす電位 ϕ\phi は、ただ1つである。

証明

条件を満たす解が2つ ϕ1,ϕ2\phi_1,\phi_2 あるとし、差を ψ=ϕ1−ϕ2\psi=\phi_1-\phi_2 とおく。VV の中では ∇2ψ=0\nabla^2\psi=0 である。導体 ii の表面 SiS_i の上では、差も一定値をとる。その値を ψi\psi_i と書く。また導体 ii の全電荷は、導体から外向きの法線 nn を使って

Qi=−ε0∮Si∂ϕ∂n dSQ_i=-\varepsilon_0\oint_{S_i}\frac{\partial \phi}{\partial n}\,\mathrm{d} S

と書ける。ϕ1,ϕ2\phi_1,\phi_2 の全電荷はどちらも QiQ_i なので、

∮Si∂ψ∂n dS=0(i=1,…,N)\oint_{S_i}\frac{\partial \psi}{\partial n}\,\mathrm{d} S=0\qquad(i=1,\dots,N)

である。恒等式 ∇⋅(ψ∇ψ)=∣∇ψ∣2+ψ∇2ψ=∣∇ψ∣2\nabla\cdot(\psi\nabla\psi)=\left\vert \nabla\psi\right\vert ^2+\psi\nabla^2\psi=\left\vert \nabla\psi\right\vert ^2 を VV で積分し、Gauss の発散定理を使う。VV の境界は、導体の表面と無限遠の大きな球面 S∞S_\infty からなる。導体の表面では、VV から外向きの法線は導体の外向きの法線の逆向きである。よって

∫V∣∇ψ∣2dV=−∑iψi∮Si∂ψ∂n dS+∮S∞ψ∂ψ∂r dS\int_V\left\vert \nabla\psi\right\vert ^2\mathrm{d} V=-\sum_i\psi_i\oint_{S_i}\frac{\partial \psi}{\partial n}\,\mathrm{d} S+\oint_{S_\infty}\psi\frac{\partial \psi}{\partial r}\,\mathrm{d} S

となる。右辺の第1項は上の式からゼロである。

第2項の被積分関数の大きさは、遠方で次のように抑えられる。

∣ψ∣≲1r,∣∂ψ∂r∣≲1r2\left\vert \psi\right\vert \lesssim\frac1r,\qquad \left\vert \frac{\partial \psi}{\partial r}\right\vert \lesssim\frac1{r^2}

面積 4πr24\pi r^2 を掛けても積分は 1/r1/r 以下で減り、ゼロになる。よって

∫V∣∇ψ∣2dV=0\int_V\left\vert \nabla\psi\right\vert ^2\mathrm{d} V=0

であり、VV の中で ∇ψ=0\nabla\psi=\bm 0 となる。つまり ϕ1\phi_1 と ϕ2\phi_2 の作る電場は一致する。さらに差 ψ\psi は領域の中で定数で、無限遠でゼロなので、恒等的に ψ=0\psi=0 である。

一意性定理の使い方は「何らかの方法で条件を満たす解を1つ見つければ、それが答えである」という点にある。§3.3 の鏡像法はこの論理だけで成り立っている。

次に静電遮蔽を示す。そのために、電荷の無い領域での電位の性質を1つ用意する。

補題 3.3(平均値の性質と最大値原理)

領域 VV で ∇2ϕ=0\nabla^2\phi=0 とする。

  1. (i) VV の中に完全に入る任意の球面について、球面上の ϕ\phi の平均は球の中心の値に等しい。
  2. (ii) したがって ϕ\phi は VV の内部で極大も極小もとらない。最大値と最小値は境界の上でとられる。
証明

点 r0\bm r_0 を中心とする半径 RR の球面を考える。その上の平均を、立体角の要素 dΩ\mathrm{d}\Omega を使って次のように書く。

ϕˉ(R)=14πR2∮ϕ dS=14π∮ϕ(r0+Rn^) dΩ\bar\phi(R)=\frac{1}{4\pi R^2}\oint\phi\,\mathrm{d} S=\frac{1}{4\pi}\oint\phi(\bm r_0+R\hat{\bm n})\,\mathrm{d}\Omega

RR で微分すると

dϕˉdR=14π∮n^⋅∇ϕ dΩ=14πR2∮∂ϕ∂n dS=14πR2∫球∇2ϕ dV=0\frac{d \bar\phi}{d R}=\frac{1}{4\pi}\oint\hat{\bm n}\cdot\nabla\phi\,\mathrm{d}\Omega=\frac{1}{4\pi R^2}\oint\frac{\partial \phi}{\partial n}\,\mathrm{d} S =\frac{1}{4\pi R^2}\int_{\text{球}}\nabla^2\phi\,\mathrm{d} V=0

となる。よって ϕˉ(R)\bar\phi(R) は RR によらず一定である。R→0R\to0 の極限は中心の値 ϕ(r0)\phi(\bm r_0) なので、平均は中心の値に等しい。

次に、内部の点 r0\bm r_0 で ϕ\phi が極大をとると仮定する(定数関数の場合を除く)。その点のまわりの十分小さな球面上では、ϕ\phi は中心の値を超えず、しかも中心の値より真に小さい部分がある。すると球面上の平均が中心の値より小さくなり、(i) と矛盾する。極小も同様である。

定理 3.4(静電遮蔽 ★★★)

導体の内部にある空洞が電荷を含まなければ、導体の外にどのような電荷や電場があっても、空洞の中では E=0\bm E=\bm 0 である。空洞の中に電荷 qq があるとき、空洞の内壁には全体で −q-q の電荷が誘導され、空洞の中の電場は導体の外の電荷によらない。

証明

空洞の内壁は導体の表面の一部なので、命題 3.1 から電位は一定値 V0V_0 をとる。空洞に電荷が無ければ、空洞の中で ∇2ϕ=0\nabla^2\phi=0 であり、境界の値はすべて V0V_0 である。補題 3.3 から、空洞の中の ϕ\phi の最大値と最小値はどちらも V0V_0 である。よって空洞全体で ϕ=V0\phi=V_0 が成り立ち、E=−∇ϕ=0\bm E=-\nabla\phi=\bm 0 である。

空洞の中に電荷 qq があるときは、空洞を囲み導体の内部だけを通る閉曲面 SS をとる。SS の上では電場がゼロなので、Gauss の法則から SS の内側の全電荷はゼロである。よって内壁の電荷は −q-q である。

空洞の中の電位は、空洞の中の電荷と、内壁で一定値 V0V_0 をとるという境界条件で一意に決まる。外の電荷を変えて変わるのは V0V_0 という定数だけで、定数は勾配をとると消える。よって空洞の中の電場は外の電荷によらない。

図

図 3.1 導体の中の空洞。破線の閉曲面 SS は導体の内部だけを通るので、SS の上で E=0\bm E=\bm 0 であり、空洞の内壁には −q-q が誘導される。外の電場を変えても、空洞の中の電場は変わらない。

遮蔽は一方向だけである。空洞の中の電荷 qq の影響は導体の外へ出る。導体の全電荷を QQ とすると、外表面の電荷は Q+qQ+q になる(内壁の分と合わせて全電荷になる)。

外表面の電荷の分布は、空洞の中で qq がどこにあっても同じである。外の領域の電位は「外表面で一定値をとる」「外表面の全電荷が Q+qQ+q」という条件だけで、定理 3.2 により決まる。この条件には空洞の中の qq の位置が入っていない。

導体を接地(大地につないで電位をゼロに固定)すれば、外表面の電荷は外の電荷と導体の形だけで決まり、空洞の中の電荷の影響は外から消える。精密な測定器を金属の箱で覆うのは、この2つの性質を使うためである。

例題 3.2 空洞の中で中心から外れた点電荷 ★★

オリジナル内半径 aa、外半径 bb の導体の球殻があり、全電荷はゼロである。空洞の中の、中心から距離 d (<a)d\,(<a) の点に点電荷 qq を置く。

  1. 球殻の外(r>br>b)の電場を求めよ。
  2. 内壁と外表面の電荷の総量をそれぞれ求めよ。外表面の電荷の面密度は一様か。
  3. 球殻の電位を求めよ。
解答
  1. 定理 3.4 の証明と同じく、球殻の内部を通る球面に Gauss の法則を使うと、内壁の電荷は全体で −q-q である。球殻の全電荷がゼロなので、外表面の電荷は全体で +q+q である。外の領域 r>br>b には電荷が無い。外表面では電位が一定で、外表面の全電荷は qq である。この条件を満たす電位として

ϕ(r)=q4πε0r(r≥b)\phi(\bm r)=\frac{q}{4\pi\varepsilon_0 r}\qquad(r\ge b)

をとる。これは次の2つを満たす。

  • 外表面 r=br=b で一定値 q/(4πε0b)q/(4\pi\varepsilon_0 b) をとる。
  • すぐ外の電場の法線成分 q/(4πε0b2)q/(4\pi\varepsilon_0 b^2) を球面で積分して ε0\varepsilon_0 を掛けると、外表面の全電荷に一致する。

定理 3.2 より、これが答えである。電場は

E=q4πε0r2r^\bm E=\frac{q}{4\pi\varepsilon_0 r^2}\hat{\bm r}

で、中心に点電荷を置いた場合と同じであり、dd によらない。2. 内壁は −q-q、外表面は +q+q。外表面の面密度は、命題 3.1 (4) から

σ=ε0Er(b)=q4πb2\sigma=\varepsilon_0E_r(b)=\frac{q}{4\pi b^2}

で一様である。内壁の面密度は一様でない(qq に近い側ほど大きさが大きい)。3. 無限遠を基準として、球殻の電位は外表面の値 ϕ(b)=q/(4πε0b)\phi(b)=q/(4\pi\varepsilon_0 b) である。これも dd によらない。

確認テスト

オリジナル

  1. 3.1-1 静電平衡にある導体の表面のすぐ外で、電場の接線成分がゼロになる理由を、表面上の電位を使って1文で説明せよ。
  2. 3.1-2 内半径 aa、外半径 bb の導体の球殻がある。球殻の全電荷は QQ である。空洞の中心に点電荷 qq を置いた。内壁と外表面の電荷の面密度、および無限遠を基準とした球殻の電位を求めよ。
  3. 3.1-3 半径 aa の孤立した導体球が全電荷 QQ をもつ。式 (3.4) を使って、北半球が南半球から受ける力の大きさを求めよ。さらに、a=0.10 ma=0.10\,\mathrm m の導体球の電位が 1.0×105 V1.0\times10^{5}\,\mathrm V のとき、この力を数値で求めよ。
  4. 3.1-4 電荷を含まない空洞の中で ϕ\phi が一定であることを、補題 3.3 を使わずに、恒等式∇⋅(ϕ∇ϕ)=∣∇ϕ∣2+ϕ∇2ϕ\nabla\cdot(\phi\nabla\phi)=\left\vert \nabla\phi\right\vert ^2+\phi\nabla^2\phi と Gauss の法則から示せ。

木下の勉強ステータス

木下はまだこの記事を勉強していません。

AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com

← AI生成教科書『基礎理論』の記事一覧へ