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Laplace 方程式の変数分離(直交座標・球座標と Legendre 多項式)

2026年10月15日16分で読めますAI生成教科書『基礎理論』第3章 導体と境界値問題
目次
  1. 直交座標
  2. 球座標と Legendre の方程式
  3. が整数でなければならない理由。
  4. 一般解と完全性。
  5. 確認テスト
  6. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

電磁気学入門 第3章 §3.4 ★★★ 偏微分方程式を常微分方程式の組に分け、境界条件を級数の係数で合わせる。Legendre 多項式は以後も繰り返し使う

鏡像法は、境界の形が平面や球のように特別なときにしか使えない。もっと一般的な方法として、電荷の無い領域で Laplace 方程式 ∇2ϕ=0\nabla^2\phi=0 を変数分離で解く。

解を各座標の1変数関数の積の形に仮定すると、偏微分方程式が常微分方程式の組に分かれる。積の形の解(分離解)を重ね合わせて境界条件に合わせる。どの座標を使うかは境界の形で決める。

直交座標

2次元の例として、0<x<a0<x<a、y>0y>0 の半無限の溝を考える。奥行きの方向には一様とする。境界条件は次の3つである。

  • 側面 x=0x=0 と x=ax=a は接地されている。
  • 底面 y=0y=0 は電位 V0V_0 に保たれている。
  • y→∞y\to\infty で ϕ→0\phi\to0 である。

ϕ(x,y)=X(x)Y(y)\phi(x,y)=X(x)Y(y) とおいて Laplace 方程式に代入し、XYXY で割ると

X′′(x)X(x)+Y′′(y)Y(y)=0\frac{X''(x)}{X(x)}+\frac{Y''(y)}{Y(y)}=0

となる。第1項は xx だけ、第2項は yy だけの関数である。和がすべての点でゼロなので、それぞれが定数でなければならない。そこで

X′′X=−k2,Y′′Y=+k2\frac{X''}{X}=-k^2,\qquad \frac{Y''}{Y}=+k^2

とおく。XX が両側面でゼロになるには振動する解でなければならないので、定数の符号はこの向きに選ぶ。

X=sin⁡kxX=\sin kx ととる。X(a)=0X(a)=0 から k=nπ/a (n=1,2,… )k=n\pi/a\ (n=1,2,\dots) となる。YY は e±ky\mathrm{e}^{\pm ky} の組み合わせである。そのうち無限遠でゼロになるのは e−ky\mathrm{e}^{-ky} である。分離解を重ね合わせて

ϕ(x,y)=∑n=1∞bnsin⁡nπxa e−nπy/a(3.11)\phi(x,y)=\sum_{n=1}^\infty b_n\sin\frac{n\pi x}{a}\,\mathrm{e}^{-n\pi y/a}\tag{3.11}

とおく。底面の条件 ϕ(x,0)=V0\phi(x,0)=V_0 は ∑nbnsin⁡(nπx/a)=V0\sum_nb_n\sin(n\pi x/a)=V_0 を要求する。sin⁡\sin の直交性

∫0asin⁡nπxasin⁡mπxa dx=a2δnm\int_0^a\sin\frac{n\pi x}{a}\sin\frac{m\pi x}{a}\,\mathrm{d} x=\frac a2\delta_{nm}

を使って両辺に sin⁡(mπx/a)\sin(m\pi x/a) を掛けて積分すると、

bm=2a∫0aV0sin⁡mπxa dx=2V0mπ(1−(−1)m)={4V0/(mπ)(m が奇数)0(m が偶数)b_m=\frac2a\int_0^aV_0\sin\frac{m\pi x}{a}\,\mathrm{d} x=\frac{2V_0}{m\pi}\bigl(1-(-1)^m\bigr) =\begin{cases}4V_0/(m\pi)&(m\text{ が奇数})\\0&(m\text{ が偶数})\end{cases}

を得る。したがって

ϕ(x,y)=4V0π∑n=1,3,5,…1nsin⁡nπxa e−nπy/a=2V0πarctan⁡sin⁡(πx/a)sinh⁡(πy/a)(3.12)\phi(x,y)=\frac{4V_0}{\pi}\sum_{n=1,3,5,\dots}\frac1n\sin\frac{n\pi x}{a}\,\mathrm{e}^{-n\pi y/a} =\frac{2V_0}{\pi}\arctan\frac{\sin(\pi x/a)}{\sinh(\pi y/a)}\tag{3.12}

である。2つ目の等号の閉じた形は、u>0u>0、0<v<π0<v<\pi で成り立つ次の級数による。

∑n 奇数1ne−nusin⁡nv=12arctan⁡sin⁡vsinh⁡u\sum_{n\,\text{奇数}}\frac1n\mathrm{e}^{-nu}\sin nv=\frac12\arctan\frac{\sin v}{\sinh u}

この級数は、w=e−u+ivw=\mathrm{e}^{-u+\mathrm{i} v} として ∑n 奇数wn/n=12log⁡1+w1−w\sum_{n\,\text{奇数}}w^n/n=\frac12\log\frac{1+w}{1-w} の虚部をとって得られる。溝の中央の高さ y=a/2y=a/2 の点では

ϕ=2V0πarctan⁡1sinh⁡(π/2)=0.261V0\phi=\frac{2V_0}{\pi}\arctan\frac{1}{\sinh(\pi/2)}=0.261V_0

である。

角での級数の振る舞い

底面と側面が接する2つの角 (0,0)(0,0) と (a,0)(a,0) では、境界の値が不連続に変わる。

  • y=0y=0 の上で級数 (3.11) は sin⁡\sin の Fourier 級数で、不連続点の近くでは収束が遅く、行き過ぎ(Gibbs 現象)を示す。
  • y>0y>0 では因子 e−nπy/a\mathrm{e}^{-n\pi y/a} のために級数は速く収束する。y≳ay\gtrsim a では最初の項

4V0πsin⁡πxa e−πy/a\frac{4V_0}{\pi}\sin\frac{\pi x}{a}\,\mathrm{e}^{-\pi y/a}

だけでよい近似になる。

  • 高い nn の項ほど速く減ることは、境界の細かな凹凸の影響が境界から離れると急速に消えることを表している。

3次元の直方体の境界でも手順は同じである。ϕ=X(x)Y(y)Z(z)\phi=X(x)Y(y)Z(z) とおくと

X′′X+Y′′Y+Z′′Z=0\frac{X''}{X}+\frac{Y''}{Y}+\frac{Z''}{Z}=0

となる。3つの分離定数の和がゼロという条件のもとで、正弦・双曲線正弦・指数関数の積を重ね合わせる(確認テスト 3.4-4 は2次元の正方形の例である)。

球座標と Legendre の方程式

境界が球面のときは球座標 (r,θ,φ)(r,\theta,\varphi) を使う。ここでは zz 軸のまわりの回転について対称で、電位が φ\varphi によらない場合を扱う。第1章 §1.4 の球座標のラプラシアンから、

∇2ϕ=1r2∂∂r(r2∂ϕ∂r)+1r2sin⁡θ∂∂θ(sin⁡θ∂ϕ∂θ)=0\nabla^2\phi=\frac{1}{r^2}\frac{\partial }{\partial r}\left(r^2\frac{\partial \phi}{\partial r}\right)+\frac{1}{r^2\sin\theta}\frac{\partial }{\partial \theta}\left(\sin\theta\frac{\partial \phi}{\partial \theta}\right)=0

である。ϕ=R(r)Θ(θ)\phi=R(r)\Theta(\theta) とおき、r2/(RΘ)r^2/(R\Theta) を掛けると

1Rddr(r2dRdr)=−1Θsin⁡θddθ(sin⁡θdΘdθ)\frac{1}{R}\frac{d }{d r}\left(r^2\frac{d R}{d r}\right)=-\frac{1}{\Theta\sin\theta}\frac{d }{d \theta}\left(\sin\theta\frac{d \Theta}{d \theta}\right)

となる。左辺は rr だけ、右辺は θ\theta だけの関数である。よって両辺は共通の定数 λ\lambda に等しい。

動径の方程式 (r2R′)′=λR(r^2R')'=\lambda R に R=rsR=r^s を入れると、次の関係を得る。

s(s+1)=λs(s+1)=\lambda

λ=l(l+1)\lambda=l(l+1) と書けば、2つの解

R=rl,R=r−(l+1)R=r^l,\qquad R=r^{-(l+1)}

がある。角度の方程式は x=cos⁡θx=\cos\theta とおいて書き直す。

ddθ=−sin⁡θddx,sin⁡2θ=1−x2\frac{d }{d \theta}=-\sin\theta\frac{d }{d x},\qquad \sin^2\theta=1-x^2

を使うと

ddx[(1−x2)dΘdx]+l(l+1)Θ=0(3.13)\frac{d }{d x}\left[(1-x^2)\frac{d \Theta}{d x}\right]+l(l+1)\Theta=0\tag{3.13}

となる。これを Legendre の方程式と呼ぶ。

ll が整数でなければならない理由。

(3.13) を展開すると

(1−x2)Θ′′−2xΘ′+l(l+1)Θ=0(1-x^2)\Theta''-2x\Theta'+l(l+1)\Theta=0

である。Θ=∑kakxk\Theta=\sum_ka_kx^k を代入して xkx^k の係数を比べると

ak+2=k(k+1)−l(l+1)(k+1)(k+2) ak(3.14)a_{k+2}=\frac{k(k+1)-l(l+1)}{(k+1)(k+2)}\,a_k\tag{3.14}

を得る。大きな kk では ak+2/ak→1−2/ka_{k+2}/a_k\to1-2/k となる。このとき級数は、x=±1x=\pm1 で調和級数 ∑k1/k\sum_k1/k と同じように発散する。

この2点 x=±1x=\pm1 は θ=0,π\theta=0,\pi にあたり、ちょうど対称軸の上である。電荷の無い軸の上で電位が発散してはならない。発散を避けるには級数が有限項で切れる必要がある。

それには (3.14) の分子がある kk でゼロになること、すなわち ll が 0 以上の整数であることが要る。このとき、次数の偶奇が ll と同じ級数だけを残し、もう一方の係数はゼロにとる。

こうして得られる ll 次の多項式解を、x=1x=1 で値 1 になるように規格化する。これを Legendre 多項式 Pl(x)P_l(x) と呼ぶ。

命題 3.8(Rodrigues の公式と最初のいくつか)

Pl(x)=12ll!dldxl(x2−1)l(3.15)P_l(x)=\frac{1}{2^ll!}\frac{d ^l}{d x^l}(x^2-1)^l\tag{3.15}

は Legendre の方程式を満たす ll 次多項式で、Pl(1)=1P_l(1)=1 である。最初の4つは

P0=1,P1=x,P2=12(3x2−1),P3=12(5x3−3x).P_0=1,\qquad P_1=x,\qquad P_2=\tfrac12(3x^2-1),\qquad P_3=\tfrac12(5x^3-3x).

証明

u=(x2−1)lu=(x^2-1)^l とおくと (x2−1)u′=2lxu(x^2-1)u'=2lxu が成り立つ。この両辺を l+1l+1 回微分する。Leibniz の公式で、左辺の(x2−1)(x^2-1) は2回までしか微分が残らないので

(x2−1)u(l+2)+(l+1)⋅2x u(l+1)+(l+12)⋅2 u(l)=2l[x u(l+1)+(l+1)u(l)](x^2-1)u^{(l+2)}+(l+1)\cdot2x\,u^{(l+1)}+\binom{l+1}{2}\cdot2\,u^{(l)}=2l\left[x\,u^{(l+1)}+(l+1)u^{(l)}\right]

となる。整理すると

(1−x2)u(l+2)−2x u(l+1)+l(l+1)u(l)=0(1-x^2)u^{(l+2)}-2x\,u^{(l+1)}+l(l+1)u^{(l)}=0

で、u(l)u^{(l)} が Legendre の方程式を満たす。これは 2l2l 次多項式を ll 回微分したものなので、次数は半分になる。

x=1x=1 での値を求める。uu は (x−1)l(x+1)l(x-1)^l(x+1)^l と因数分解できる。この積の ll 階微分を Leibniz の公式で展開する。x=1x=1 では、前の因子をちょうど ll 回微分した項だけが残る。その値は

l! (x+1)l∣x=1=l! 2ll!\,(x+1)^l\big|_{x=1}=l!\,2^l

となる。よって Pl(1)=1P_l(1)=1 である。最初の4つは (3.15) を直接計算すれば得られる(P2P_2 は確認テスト 3.4-2 で計算する)。

図

図 3.3 Legendre 多項式 P0P_0 から P3P_3。すべて x=1x=1 で値 11 をとり、PlP_l は区間 (−1,1)(-1,1) にちょうど ll 個の零点をもつ。

定理 3.9(Legendre 多項式の直交性 ★★★)

∫−11Pl(x)Pm(x) dx=22l+1δlm.(3.16)\int_{-1}^{1}P_l(x)P_m(x)\,\mathrm{d} x=\frac{2}{2l+1}\delta_{lm}.\tag{3.16}

証明

l≠ml\ne m の場合。PlP_l と PmP_m の Legendre の方程式

[(1−x2)Pl′]′+l(l+1)Pl=0,[(1−x2)Pm′]′+m(m+1)Pm=0\bigl[(1-x^2)P_l'\bigr]'+l(l+1)P_l=0,\qquad\bigl[(1-x^2)P_m'\bigr]'+m(m+1)P_m=0

の1つ目に PmP_m、2つ目に PlP_l を掛けて引く。それを区間 [−1,1][-1,1] で積分し、部分積分すると

[(1−x2)(Pl′Pm−Pm′Pl)]−11+[l(l+1)−m(m+1)]∫−11PlPm dx=0\Bigl[(1-x^2)(P_l'P_m-P_m'P_l)\Bigr]_{-1}^{1}+\bigl[l(l+1)-m(m+1)\bigr]\int_{-1}^1P_lP_m\,\mathrm{d} x=0

となる(部分積分で出る ∫(1−x2)Pl′Pm′dx\int(1-x^2)P_l'P_m'\mathrm{d} x の項は2つの式で同じなので引き算で消える)。境界の項は 1−x2=01-x^2=0 により消え、l(l+1)≠m(m+1)l(l+1)\ne m(m+1) なので積分はゼロである。

l=ml=m の場合の値は、このあとの命題 3.10 の母関数を使って示す。母関数の式を2乗して xx で積分すると、l≠ml\ne m の交差項は消えるので

∫−11dx1−2xt+t2=∑l=0∞t2l∫−11Pl2 dx\int_{-1}^1\frac{\mathrm{d} x}{1-2xt+t^2}=\sum_{l=0}^\infty t^{2l}\int_{-1}^1P_l^2\,\mathrm{d} x

である。左辺は

−12t[log⁡(1−2xt+t2)]−11=1tlog⁡1+t1−t=∑l=0∞2t2l2l+1-\frac{1}{2t}\Bigl[\log(1-2xt+t^2)\Bigr]_{-1}^{1}=\frac1t\log\frac{1+t}{1-t}=\sum_{l=0}^\infty\frac{2t^{2l}}{2l+1}

なので、t2lt^{2l} の係数を比べて ∫−11Pl2dx=2/(2l+1)\int_{-1}^1P_l^2\mathrm{d} x=2/(2l+1) を得る。

一般解と完全性。

以上をまとめると、zz 軸のまわりに対称な Laplace 方程式の一般解は

ϕ(r,θ)=∑l=0∞(Alrl+Blrl+1)Pl(cos⁡θ)(3.17)\phi(r,\theta)=\sum_{l=0}^\infty\left(A_lr^l+\frac{B_l}{r^{l+1}}\right)P_l(\cos\theta)\tag{3.17}

である。領域に応じて、片方の係数を落とす。

  • 球の内部(原点を含む領域)では、r→0r\to0 で有限であるために Bl=0B_l=0 とする。
  • 球の外部では、r→∞r\to\infty で発散しないために Al=0A_l=0 とする(一様な電場のように無限遠の条件が別に与えられる場合を除く)。

Legendre 多項式は [−1,1][-1,1] 上の2乗可積分な関数を展開するのに十分な数だけある(完全性。P0,…,PnP_0,\dots,P_n が nn 次以下の多項式全体を張り、多項式は連続関数を一様に近似できることによる)。境界 r=ar=a で電位 V(θ)V(\theta) が与えられたら、直交性 (3.16) から係数が

Alal=2l+12∫0πV(θ)Pl(cos⁡θ)sin⁡θ dθ(内部の場合)(3.18)A_la^l=\frac{2l+1}{2}\int_0^\pi V(\theta)P_l(\cos\theta)\sin\theta\,\mathrm{d}\theta\qquad(\text{内部の場合})\tag{3.18}

と決まる。外部の場合は左辺を Bl/al+1B_l/a^{l+1} に置き換える。

命題 3.10(母関数 ★★)

∣t∣<1\left\vert t\right\vert <1、∣x∣≤1\left\vert x\right\vert \le1 で

11−2xt+t2=∑l=0∞Pl(x) tl.(3.19)\frac{1}{\sqrt{1-2xt+t^2}}=\sum_{l=0}^\infty P_l(x)\,t^l.\tag{3.19}

証明

zz 軸上の点 r′=r′z^\bm r'=r'\hat{\bm z} に単位の点電荷を置く。その電位から定数を除いた関数

f(r)=1∣r−r′∣f(\bm r)=\frac{1}{\left\vert \bm r-\bm r'\right\vert }

を考える。この関数は電荷の位置を除いて Laplace 方程式を満たし、zz 軸のまわりに対称である。球 r<r′r<r' の中で ff は有限なので、一般解 (3.17) から次の形に書ける。

f=∑lAlrlPl(cos⁡θ)f=\sum_lA_lr^lP_l(\cos\theta)

係数を決めるため、zz 軸の正の部分 θ=0\theta=0 の上で比べる。そこでは Pl(1)=1P_l(1)=1 であり、

f=1r′−r=1r′∑l(rr′)lf=\frac{1}{r'-r}=\frac{1}{r'}\sum_l\left(\frac{r}{r'}\right)^l

なので、Al=1/r′l+1A_l=1/r'^{l+1} である。

一般の点では、余弦定理から ∣r−r′∣=r2+r′2−2rr′cos⁡θ\left\vert \bm r-\bm r'\right\vert =\sqrt{r^2+r'^2-2rr'\cos\theta} である。ここで t=r/r′t=r/r'、x=cos⁡θx=\cos\theta とおけば (3.19) を得る。展開が zz 軸の上だけで比べて決まってよいのは、一意性により、係数 AlA_l が軸の上の値で1通りに決まるからである。

例題 3.5 一様な電場の中の導体球 ★★★

オリジナル一様な電場 E0=E0z^\bm E_0=E_0\hat{\bm z} の中に、半径 aa の中性の導体球を置く。球の中心を原点とし、球の電位を 00 とする。

  1. 球の外の電位 ϕ(r,θ)\phi(r,\theta) を求めよ。
  2. 球面の電荷の面密度 σ(θ)\sigma(\theta) を求め、全電荷がゼロであることを確かめよ。
  3. 球の外の電位のうち、球が作る部分を、原点に置いた双極子の電位 pcos⁡θ4πε0r2\dfrac{p\cos\theta}{4\pi\varepsilon_0r^2} と比べて pp を求めよ。
解答
  1. 遠方では電場が一様な電場に近づくので、電位は

ϕ→−E0z=−E0rcos⁡θ=−E0rP1(cos⁡θ)\phi\to-E_0z=-E_0r\cos\theta=-E_0rP_1(\cos\theta)

となる。一般解 (3.17) のうち、遠方でこの形になるのは A1=−E0A_1=-E_0 で、ほかの AlA_l はゼロである。

球面の上ですべての角度について電位がゼロになるには、直交性から各 ll の係数が別々にゼロでなければならない。

  • l=1l=1 では、次の式から B1=E0a3B_1=E_0a^3 である。

−E0a+B1a2=0-E_0a+\frac{B_1}{a^2}=0

  • l≠1l\ne1 では Bl=0B_l=0 である。l=0l=0 の係数は全電荷と B0=Q/(4πε0)B_0=Q/(4\pi\varepsilon_0) で結びつき、中性なのでゼロになる。

よって

ϕ(r,θ)=−E0(r−a3r2)cos⁡θ(r≥a).\phi(r,\theta)=-E_0\left(r-\frac{a^3}{r^2}\right)\cos\theta\qquad(r\ge a). 2. 外向き法線は r^\hat{\bm r} なので

σ=−ε0∂ϕ∂r∣r=a=ε0E0(1+2a3a3)cos⁡θ=3ε0E0cos⁡θ.\sigma=-\varepsilon_0\frac{\partial \phi}{\partial r}\Big|_{r=a}=\varepsilon_0E_0\left(1+\frac{2a^3}{a^3}\right)\cos\theta=3\varepsilon_0E_0\cos\theta.

全電荷は ∫0π3ε0E0cos⁡θ⋅2πa2sin⁡θ dθ=6πε0E0a2[12sin⁡2θ]0π=0\int_0^\pi3\varepsilon_0E_0\cos\theta\cdot2\pi a^2\sin\theta\,\mathrm{d}\theta=6\pi\varepsilon_0E_0a^2\bigl[\tfrac12\sin^2\theta\bigr]_0^\pi=0 である。3. 球が作る部分は E0a3cos⁡θ/r2E_0a^3\cos\theta/r^2 である。双極子の電位と比べて

p=4πε0a3E0p=4\pi\varepsilon_0a^3E_0

を得る。§3.3 の注意の箱で鏡像から得た値と一致する。球の表面の電場の大きさは θ=0,π\theta=0,\pi で 3E03E_0 になり、外から加えた電場の3倍に強まる。

確認テスト

オリジナル

  1. 3.4-1 原点を含む球の内部の解で r−(l+1)r^{-(l+1)} の項を落とし、無限遠まで広がる外部の解で rl (l≥1)r^l\ (l\ge1) の項を落とす理由を、それぞれ1文で書け。
  2. 3.4-2 Rodrigues の公式 (3.15) から P2(x)P_2(x) を計算せよ。また、次の2つを直接の積分で確かめよ。

∫−11P22 dx=25,∫−11P1P2 dx=0\int_{-1}^1P_2^2\,\mathrm{d} x=\frac25,\qquad \int_{-1}^1P_1P_2\,\mathrm{d} x=0 3. 3.4-3 半径 aa の球面の上で電位が V(θ)=V0cos⁡2θV(\theta)=V_0\cos^2\theta と与えられている。球の内外に電荷は無く、無限遠で電位はゼロとする。球の内部と外部の電位を求め、球面の電荷の面密度 σ(θ)\sigma(\theta) と全電荷を求めよ。4. 3.4-4 一辺 aa の正方形の領域 0<x<a, 0<y<a0<x<a,\ 0<y<a を考える(奥行きの方向には一様)。辺 y=ay=a の電位が V0V_0 で、ほかの3辺の電位は 0 とする。(a) 変数分離で電位を級数で求めよ。(b) 4つの辺の役割を入れ替えた4つの問題の重ね合わせを考えて、正方形の中心の電位が V0/4V_0/4 であることを示せ。

木下の勉強ステータス

木下はまだこの記事を勉強していません。

AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com

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