tecktom.com

分極と分極電荷

2026年10月15日18分で読めますAI生成教科書『基礎理論』第4章 誘電体
目次
  1. 原子と分子の分極
  2. 分極ベクトル
  3. 分極電荷
  4. 確認テスト
  5. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

電磁気学入門 第4章 §4.1 ★★ 分極した物質の電場は、表面電荷 P⋅n\bm{P}\cdot\bm{n} と体積電荷 −∇⋅P-\nabla\cdot\bm{P} の電場に等しい

第2章と第3章では、真空の中に電荷と導体だけがある場合の静電場を扱った。導体の中では電荷が自由に動けるので、外から電場をかけると電荷が表面まで移動し、内部の電場は 0 になる。

ところが、ガラス・プラスチック・油・水のような絶縁体(誘電体)では、電子は原子や分子に束縛されていて、遠くまでは動けない。それでも電場をかけると、1つ1つの原子や分子の中で正の電荷と負の電荷がわずかにずれ、物質全体が小さな電気双極子の集まりになる。この現象を分極と呼ぶ。

この章の目標は、分極した物質がつくる電場を、物質の微視的な構造に立ち入らずに計算できる形へまとめることである。

§4.1 では、分極の大きさを単位体積あたりの双極子モーメント P\bm{P} で表し、分極した物質が表面と内部に「分極電荷」を持つのと同じ電場をつくることを示す。§4.2 では、この分極電荷を Gauss の法則に繰り込んで電束密度 D\bm{D} を定義し、D\bm{D} の源が外から置いた電荷(自由電荷)だけになることを示す。

§4.3 では、2つの誘電体の境界で電場と電束密度が満たす条件を導き、電気力線が境界で折れ曲がる理由を説明する。§4.4 では、誘電体を含む系の静電エネルギーと、誘電体に働く力を求める。

前の章から借りる結果は次のとおりである。第2章で導いた真空中の静電場の基本法則

∇⋅E=ρε0,∇×E=0,E=−∇ϕ(4.1)\nabla\cdot\bm{E}=\frac{\rho}{\varepsilon_0},\qquad \nabla\times\bm{E}=\bm{0},\qquad \bm{E}=-\nabla\phi\tag{4.1}

と、第2章 §2.3 の Poisson 方程式の解の一意性、第2章 §2.4 の静電エネルギー W=12∫ρϕ dVW=\frac12\int\rho\phi\,\mathrm{d} V を使う。第3章 §3.5 の多重極展開からは、原点にある双極子モーメント p\bm{p} の電位

ϕdip(r)=14πε0p⋅rr3(4.2)\phi_{\mathrm{dip}}(\bm{r})=\frac{1}{4\pi\varepsilon_0}\frac{\bm{p}\cdot\bm{r}}{r^3}\tag{4.2}

を、第3章 §3.4 からは球座標の Laplace 方程式の解 rlPl(cos⁡θ)r^l P_l(\cos\theta)、r−l−1Pl(cos⁡θ)r^{-l-1}P_l(\cos\theta) を使う。この章でつくる2つの量は、後の章で次のように現れる。

  • 第6章:磁性体を扱うときの磁化 M\bm{M} と磁場 H\bm{H} が、同じ形の構造を持つ。
  • 第8章:物質中の Maxwell 方程式に入る。
  • 第9章:屈折率 n=εrn=\sqrt{\varepsilon_{\mathrm r}} として現れる(透磁率が真空と同じ物質の場合)。

原子と分子の分極

まず、1つの原子に電場をかけたときに何が起きるかを考える。原子は正の原子核と、そのまわりに広がった電子の雲からなる。電場 E\bm{E} をかけると、原子核は電場の向きに、電子の雲は逆向きに引かれ、両者の中心がずれる。ずれが小さいうちは、電子の雲を原子核に引き戻す力はずれに比例するので、誘起される双極子モーメントは電場に比例する。

p=αE.(4.3)\bm{p}=\alpha\bm{E} .\tag{4.3}

比例係数 α\alpha を分極率と呼ぶ。単位は C⋅m2/V\mathrm{C\cdot m^2/V} で、α/(4πε0)\alpha/(4\pi\varepsilon_0) が体積の次元を持つ。これを電子分極と呼ぶ。

もう1つの仕組みは、水分子のように電場が無くても双極子モーメント p0p_0 を持つ分子(極性分子)で起きる。極性分子の向きは熱運動でばらばらなので、電場が無ければ平均の双極子モーメントは 0 である。電場をかけると、双極子のエネルギー

U=−p⋅E=−p0Ecos⁡θU=-\bm{p}\cdot\bm{E}=-p_0E\cos\theta

が低い向き、つまり電場にそろう向きがわずかに多くなる。平均として電場の向きの双極子モーメントが生じる。これを配向分極と呼ぶ。

温度 TT の熱平衡で、分子が電場と角 θ\theta をなす確率を考える。この確率は Boltzmann 因子 e−U/kBT\mathrm{e}^{-U/ k_{\mathrm B} T} と立体角の重み sin⁡θ\sin\theta の積に比例する。x=p0E/kBTx=p_0E/ k_{\mathrm B} T とおくと

⟨cos⁡θ⟩=∫0πcos⁡θ excos⁡θsin⁡θ dθ∫0πexcos⁡θsin⁡θ dθ=ddxln⁡∫−11exu du=ddxln⁡2sinh⁡xx=coth⁡x−1x≕L(x)(4.4)\langle \cos\theta \rangle =\frac{\int_0^\pi\cos\theta\,\mathrm{e}^{x\cos\theta}\sin\theta\,\mathrm{d}\theta}{\int_0^\pi\mathrm{e}^{x\cos\theta}\sin\theta\,\mathrm{d}\theta} =\frac{\mathrm{d}}{\mathrm{d} x}\ln\int_{-1}^{1}\mathrm{e}^{xu}\,\mathrm{d} u=\frac{\mathrm{d}}{\mathrm{d} x}\ln\frac{2\sinh x}{x}=\coth x-\frac1x\eqqcolon L(x)\tag{4.4}

となる。2番目の等号では u=cos⁡θu=\cos\theta と置き換え、分子が分母の xx による微分になっていることを使った。L(x)L(x) を Langevin 関数と呼ぶ。展開

coth⁡x=1x+x3−x345+⋯\coth x=\frac1x+\frac x3-\frac{x^3}{45}+\cdots

から、x≪1x\ll1 では L(x)≃x/3L(x)\simeq x/3 となる。よって

⟨pz⟩=p0⟨cos⁡θ⟩≃p023kBTE(4.5)\langle p_z \rangle =p_0\langle \cos\theta \rangle \simeq\frac{p_0^2}{3 k_{\mathrm B} T}E\tag{4.5}

を得る。配向分極も弱い電場では電場に比例し、その分極率 p02/(3kBT)p_0^2/(3 k_{\mathrm B} T) は温度に反比例する。

図 4.1 に L(x)L(x) を示す。xx が大きくなると双極子がそろいきって、L→1L\to1 に飽和する。しかし室温で実験室の電場をかけた程度では、xx は 10−310^{-3} 程度で(確認テスト 4.1-4)、直線の領域から出ない。

図

図 4.1 Langevin 関数 L(x)L(x)(実線)と、x≪1x\ll1 での近似 x/3x/3(破線)。x→∞x\to\infty で 11 に近づく。

分極ベクトル

物質の中には 1 m31\,\mathrm{m^3} あたり 102810^{28} 個程度の分子がある。1つ1つの双極子の電場を足し合わせる代わりに、巨視的に小さく微視的に大きい体積 ΔV\Delta V(分子間隔よりずっと大きく、場の変化の長さよりずっと小さい)をとり、その中の双極子モーメントの和を ΔV\Delta V で割った量を考える。

定義 4.1(分極ベクトル)

点 r\bm{r} を含む体積 ΔV\Delta V をとり、その中の双極子モーメントの和を考える。

P(r)=1ΔV∑i∈ΔVpi\bm{P}(\bm{r})=\frac{1}{\Delta V}\sum_{i\in\Delta V}\bm{p}_i

を分極ベクトル(または単に分極)と呼ぶ。単位は C/m2\mathrm{C/m^2} である。分子の数密度が nn で、どの分子も同じ双極子モーメントを持つなら、P=np\bm{P}=n\bm{p} である。

以下で扱う電場 E\bm{E} も、同じ体積で平均した巨視的な電場である。分子のすぐそばの電場は分子ごとに激しく変わるが、その細部は巨視的な現象には現れない。

分極電荷

分極 P(r′)\bm{P}(\bm{r}') を持つ物体が領域 VV を占めているとする。体積要素 dV′\mathrm{d} V' は双極子モーメント P dV′\bm{P}\,\mathrm{d} V' を持つ。(4.2) を重ね合わせて、物体の外または中の点 r\bm{r} の電位は

ϕ(r)=14πε0∫VP(r′)⋅(r−r′)∣r−r′∣3 dV′(4.6)\phi(\bm{r})=\frac{1}{4\pi\varepsilon_0}\int_V\frac{\bm{P}(\bm{r}')\cdot(\bm{r}-\bm{r}')}{\left\vert \bm{r}-\bm{r}'\right\vert ^3}\,\mathrm{d} V'\tag{4.6}

となる。ここで r′\bm{r}' についての勾配 ∇′\nabla' を使うと

∇′1∣r−r′∣=r−r′∣r−r′∣3\nabla'\frac{1}{\left\vert \bm{r}-\bm{r}'\right\vert }=\frac{\bm{r}-\bm{r}'}{\left\vert \bm{r}-\bm{r}'\right\vert ^3}

なので、被積分関数は P⋅∇′(1/∣r−r′∣)\bm{P}\cdot\nabla'(1/\left\vert \bm{r}-\bm{r}'\right\vert ) と書ける。積の微分の公式∇′⋅(fP)=P⋅∇′f+f ∇′⋅P\nabla'\cdot(f\bm{P})=\bm{P}\cdot\nabla' f+f\,\nabla'\cdot\bm{P} を f=1/∣r−r′∣f=1/\left\vert \bm{r}-\bm{r}'\right\vert に使うと

P⋅∇′1∣r−r′∣=∇′⋅(P∣r−r′∣)−∇′⋅P∣r−r′∣\bm{P}\cdot\nabla'\frac{1}{\left\vert \bm{r}-\bm{r}'\right\vert }=\nabla'\cdot\Bigl(\frac{\bm{P}}{\left\vert \bm{r}-\bm{r}'\right\vert }\Bigr)-\frac{\nabla'\cdot\bm{P}}{\left\vert \bm{r}-\bm{r}'\right\vert }

となり、第1項に Gauss の発散定理(第1章 §1.2)を使うと

ϕ(r)=14πε0∮∂VP⋅n′∣r−r′∣ dS′+14πε0∫V−∇′⋅P∣r−r′∣ dV′(4.7)\phi(\bm{r})=\frac{1}{4\pi\varepsilon_0}\oint_{\partial V}\frac{\bm{P}\cdot\bm{n}'}{\left\vert \bm{r}-\bm{r}'\right\vert }\,\mathrm{d} S' +\frac{1}{4\pi\varepsilon_0}\int_V\frac{-\nabla'\cdot\bm{P}}{\left\vert \bm{r}-\bm{r}'\right\vert }\,\mathrm{d} V'\tag{4.7}

を得る。n′\bm{n}' は表面の外向き単位法線である。右辺の第1項は表面電荷密度 P⋅n\bm{P}\cdot\bm{n} の Coulomb 電位、第2項は体積電荷密度 −∇⋅P-\nabla\cdot\bm{P} の Coulomb 電位と同じ形をしている。

定理 4.2(分極電荷 ★★★)

分極 P\bm{P} を持つ物体がつくる電位は、表面に面密度

σb=P⋅n,内部に体積密度ρb=−∇⋅P(4.8)\sigma_{\mathrm b}=\bm{P}\cdot\bm{n},\qquad\text{内部に体積密度}\qquad \rho_{\mathrm b}=-\nabla\cdot\bm{P}\tag{4.8}

の電荷を置いたときの電位に等しい。σb\sigma_{\mathrm b}、ρb\rho_{\mathrm b} を分極電荷(束縛電荷)と呼ぶ。物体全体の分極電荷の和は 00 である。

証明

前半は (4.7) そのものである。後半は、発散定理から∫V(−∇⋅P) dV+∮∂VP⋅n dS=−∮P⋅n dS+∮P⋅n dS=0\int_V(-\nabla\cdot\bm{P})\,\mathrm{d} V+\oint_{\partial V}\bm{P}\cdot\bm{n}\,\mathrm{d} S=-\oint\bm{P}\cdot\bm{n}\,\mathrm{d} S+\oint\bm{P}\cdot\bm{n}\,\mathrm{d} S=0となることによる。

分極電荷が現れる理由は、図 4.2 の一様に分極した板を見ると分かる。各分子の正電荷が +x+x 方向に、負電荷が −x-x 方向にずれたとする。板の内部では隣り合う分子の正と負が重なって打ち消すが、右の表面には正電荷が、左の表面には負電荷が打ち消されずに残る。

ずれを d\bm{d} とする。正電荷の数密度を nn、1個の電荷を qq とする。右の表面を単位面積あたり nqdnqd の電荷が横切って外へ出たことになり、これは分極の大きさ P=nqdP=nqd に等しい。

分極が場所によって変わると、ある体積要素に入ってくる正電荷と出ていく正電荷がつり合わず、内部にも電荷が残る。体積 VV から表面を通って出ていく正電荷は ∮P⋅n dS\oint\bm{P}\cdot\bm{n}\,\mathrm{d} S である。よって内部に残る電荷は

−∮P⋅n dS=−∫∇⋅P dV-\oint\bm{P}\cdot\bm{n}\,\mathrm{d} S=-\int\nabla\cdot\bm{P}\,\mathrm{d} V

であり、これが ρb=−∇⋅P\rho_{\mathrm b}=-\nabla\cdot\bm{P} の意味である。

図

図 4.2 一様に分極した板。各分子の双極子(矢印)の正負が内部では打ち消し合い、両面に σb=P⋅n=±P\sigma_{\mathrm b}=\bm{P}\cdot\bm{n}=\pm P が残る。

分極電荷と自由電荷の区別

  • 自由電荷 ρf\rho_{\mathrm f}:導体の上に載せた電荷や、誘電体の中に埋め込んだイオンのように、外から持ち込んだ電荷。
  • 分極電荷 ρb\rho_{\mathrm b}、σb\sigma_{\mathrm b}:分子の中の電荷がずれた結果として現れる電荷。分子から取り出すことはできない。

電場をつくるという点では両者に区別は無く、真空の Gauss の法則 (4.1) の右辺の ρ\rho は ρf+ρb\rho_{\mathrm f}+\rho_{\mathrm b} である。

例題 4.1 一様に分極した球 ★★★

オリジナル半径 aa の球が、一様な分極 P=Pz^\bm{P}=P\hat{\bm{z}} を持つ。球の内部と外部の電場を求めよ。

解答

分極が一様なので ρb=−∇⋅P=0\rho_{\mathrm b}=-\nabla\cdot\bm{P}=0 で、表面に σb=P⋅r^=Pcos⁡θ\sigma_{\mathrm b}=\bm{P}\cdot\hat{\bm{r}}=P\cos\theta だけが現れる。この表面電荷のつくる電場を2通りの方法で求める。

方法1(2つの帯電球の重ね合わせ):一様な分極は、正と負に一様に帯電した2つの球を少しずらして重ねたものとみなせる。電荷密度を ±ρ\pm\rho、ずれを d\bm{d} とする。このとき分極は P=ρd\bm{P}=\rho\bm{d} である。

第2章 §2.2 の Gauss の法則から、中心 c\bm{c} の一様な帯電球の内部の電場は ρ(r−c)/(3ε0)\rho(\bm{r}-\bm{c})/(3\varepsilon_0) である。正の球の中心を d/2\bm{d}/2、負の球の中心を −d/2-\bm{d}/2 に置く。両方の球が重なっている内部では

Ein=ρ3ε0(r−d2)−ρ3ε0(r+d2)=−ρd3ε0=−P3ε0\bm{E}_{\mathrm{in}}=\frac{\rho}{3\varepsilon_0}\Bigl(\bm{r}-\frac{\bm{d}}{2}\Bigr)-\frac{\rho}{3\varepsilon_0}\Bigl(\bm{r}+\frac{\bm{d}}{2}\Bigr) =-\frac{\rho\bm{d}}{3\varepsilon_0}=-\frac{\bm{P}}{3\varepsilon_0}

となり、内部の電場は一様で、分極と逆向きである。外部では各球が中心に全電荷 ±4π3a3ρ\pm\frac{4\pi}{3}a^3\rho を置いたのと同じ電場をつくるので、外部の電場は双極子モーメント

p=4π3a3ρ d=4π3a3P\bm{p}=\frac{4\pi}{3}a^3\rho\,\bm{d}=\frac{4\pi}{3}a^3\bm{P}

が原点にあるときの電場に等しい。

方法2(Laplace 方程式の解):表面電荷が cos⁡θ=P1(cos⁡θ)\cos\theta=P_1(\cos\theta) に比例するので、第3章 §3.4 の解のうち l=1l=1 の項だけで

ϕin=A rcos⁡θ,ϕout=Bcos⁡θr2\phi_{\mathrm{in}}=A\,r\cos\theta,\qquad \phi_{\mathrm{out}}=\frac{B\cos\theta}{r^2}

とおく(内部は原点で有限、外部は無限遠で 00)。r=ar=a で電位は連続なので Aa=B/a2Aa=B/a^2。表面電荷の所で電場の法線成分がσb/ε0\sigma_{\mathrm b}/\varepsilon_0 だけ跳ぶ(第2章 §2.3)ので

−∂ϕout∂r+∂ϕin∂r∣r=a=2Bcos⁡θa3+Acos⁡θ=Pcos⁡θε0.-\frac{\partial \phi_{\mathrm{out}}}{\partial r}+\frac{\partial \phi_{\mathrm{in}}}{\partial r}\bigg|_{r=a}=\frac{2B\cos\theta}{a^3}+A\cos\theta=\frac{P\cos\theta}{\varepsilon_0}.

B=Aa3B=Aa^3 を代入すると

3A=Pε0,A=P3ε0,B=Pa33ε03A=\frac{P}{\varepsilon_0},\qquad A=\frac{P}{3\varepsilon_0},\qquad B=\frac{Pa^3}{3\varepsilon_0}

である。内部の電位 ϕin=Pz/(3ε0)\phi_{\mathrm{in}}=Pz/(3\varepsilon_0) から Ein=−P/(3ε0)\bm{E}_{\mathrm{in}}=-\bm{P}/(3\varepsilon_0) を得る。外部の電位を双極子の電位 14πε0pcos⁡θr2\frac{1}{4\pi\varepsilon_0}\frac{p\cos\theta}{r^2} と比べると

p=4πε0B=4π3a3Pp=4\pi\varepsilon_0B=\frac{4\pi}{3}a^3P

であり、方法1と一致する。解の一意性(第2章 §2.3)により、これが唯一の解である。

答え:内部は一様な電場 Ein=−P/(3ε0)\bm{E}_{\mathrm{in}}=-\bm{P}/(3\varepsilon_0)、外部は原点に双極子 p=4π3a3P\bm{p}=\frac{4\pi}{3}a^3\bm{P} を置いたときの電場。

例題 4.2 原子の分極率の見積もり ★★

オリジナル原子を、点状の原子核と一様な電子の雲の模型で表す。原子核の電荷は +e+e である。電子の雲は半径 aa の球の中に一様に広がり、電荷は −e-e である。

  1. 電場 EE をかけたとき、雲の中心が原子核から d (≪a)d\ (\ll a) ずれてつり合うとする。分極率が α=4πε0a3\alpha=4\pi\varepsilon_0a^3 となることを示せ。
  2. 半径を Bohr 半径 a0=5.29×10−11 ma_0=5.29\times10^{-11}\,\mathrm m として、α/(4πε0)\alpha/(4\pi\varepsilon_0) を求めよ。
  3. 電場 E=1.0×106 V/mE=1.0\times10^{6}\,\mathrm{V/m} をかけたときのずれ dd を求め、Bohr 半径と比べよ。
解答
  1. 雲の電荷密度は ρ=−e/(4π3a3)\rho=-e/(\frac{4\pi}{3}a^3) である。中心から距離 dd の点の電場の大きさは、Gauss の法則より

∣ρ∣d3ε0=ed4πε0a3\frac{\left\vert \rho\right\vert d}{3\varepsilon_0}=\frac{ed}{4\pi\varepsilon_0a^3}

で、原子核を雲の中心へ引き戻す向きを持つ。原子核に働くこの力 e⋅ed/(4πε0a3)e\cdot ed/(4\pi\varepsilon_0a^3) と、外部電場の力 eEeE がつり合うので

e2d4πε0a3=eE⟹d=4πε0a3Ee.\frac{e^2d}{4\pi\varepsilon_0a^3}=eE\quad\Longrightarrow\quad d=\frac{4\pi\varepsilon_0a^3E}{e}.

双極子モーメントは p=ed=4πε0a3Ep=ed=4\pi\varepsilon_0a^3E なので、α=4πε0a3\alpha=4\pi\varepsilon_0a^3 である。2. α/(4πε0)=a03=(5.29×10−11)3 m3=1.48×10−31 m3\alpha/(4\pi\varepsilon_0)=a_0^3=(5.29\times10^{-11})^3\,\mathrm{m^3}=1.48\times10^{-31}\,\mathrm{m^3}。量子力学で計算した水素原子の値は 4.5a03=6.7×10−31 m34.5a_0^3=6.7\times10^{-31}\,\mathrm{m^3} で、この模型で大きさの桁は正しく求まる。3. 数値を入れると

d=4πε0a03Ee=(1.113×10−10)(1.48×10−31)(1.0×106)1.602×10−19 m=1.03×10−16 m.d=\frac{4\pi\varepsilon_0a_0^3E}{e}=\frac{(1.113\times10^{-10})(1.48\times10^{-31})(1.0\times10^{6})}{1.602\times10^{-19}}\,\mathrm m =1.03\times10^{-16}\,\mathrm m.

これは Bohr 半径の約 2×10−62\times10^{-6} 倍しかない。実験室で使う程度の電場では、原子の変形はきわめて小さく、変形が電場に比例するという仮定 (4.3) が十分よく成り立つ。

確認テスト

オリジナル

  1. 4.1-1 分極 P\bm{P} の単位が面電荷密度の単位 C/m2\mathrm{C/m^2} と同じであることを、定義から確かめよ。
  2. 4.1-2 半径 aa、長さ LL の円柱が、円柱座標で次の分極を持つ。

P=k s s^\bm{P}=k\,s\,\hat{\bm{s}}

ここで kk は定数、ss は軸からの距離である。s^\hat{\bm{s}} は軸から離れる向きの単位ベクトルとする。体積分極電荷密度 ρb\rho_{\mathrm b} と、側面・両端面の面分極電荷密度を求めよ。また、分極電荷の総和が 0 になることを確かめよ。3. 4.1-3 例題 4.1 の球について、北極(θ=0\theta=0)のすぐ内側とすぐ外側の電場の鉛直成分を求めよ。その差が σb/ε0\sigma_{\mathrm b}/\varepsilon_0 に等しいことを確かめよ。4. 4.1-4 永久双極子モーメント p0=6.2×10−30 C⋅mp_0=6.2\times10^{-30}\,\mathrm{C\cdot m} の分子がある。温度 300 K300\,\mathrm K で、この分子に電場 1.0×106 V/m1.0\times10^{6}\,\mathrm{V/m} をかける。x=p0E/kBTx=p_0E/ k_{\mathrm B} T と、平均の双極子モーメント ⟨pz⟩\langle p_z \rangle を求めよ。Boltzmann 定数は kB=1.381×10−23 J/Kk_{\mathrm B}=1.381\times10^{-23}\,\mathrm{J/K} とする。5. 4.1-5 Langevin 関数 (4.4) を xx について展開し、L(x)=x/3−x3/45+O(x5)L(x)=x/3-x^3/45+\mathcal{O}(x^5) となることを示せ。

木下の勉強ステータス

木下はまだこの記事を勉強していません。

AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com

← AI生成教科書『基礎理論』の記事一覧へ