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誘電体のエネルギーと力

2026年10月15日13分で読めますAI生成教科書『基礎理論』第4章 誘電体
目次
  1. エネルギーの式
  2. エネルギーから力を求める
  3. 誘電体の中の力の密度と、小さな誘電体に働く力
  4. 確認テスト
  5. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

電磁気学入門 第4章 §4.4 ★★ エネルギー密度は 12E⋅D\frac12\bm{E}\cdot\bm{D}。誘電体に働く力は、エネルギーの変化から求める

エネルギーの式

第2章 §2.4 では、真空中の電荷分布の静電エネルギーを W=ε02∫E2 dVW=\frac{\varepsilon_0}{2}\int E^2\,\mathrm{d} V と書いた。誘電体があるときは、分極電荷も電場をつくるが、分極電荷を外から自由に出し入れすることはできない。外から操作できるのは自由電荷だけなので、誘電体を含む系のエネルギーは、自由電荷を少しずつ運び込むのに要する仕事として定義する。

電位 ϕ\phi の状態に、自由電荷 δρf\delta\rho_{\mathrm f} を無限遠からゆっくり運び込む仕事は

δW=∫ϕ δρf dV\delta W=\int\phi\,\delta\rho_{\mathrm f}\,\mathrm{d} V

である。δρf=∇⋅δD\delta\rho_{\mathrm f}=\nabla\cdot\delta\bm{D} を代入し、∇⋅(ϕ δD)=∇ϕ⋅δD+ϕ ∇⋅δD\nabla\cdot(\phi\,\delta\bm{D})=\nabla\phi\cdot\delta\bm{D}+\phi\,\nabla\cdot\delta\bm{D} を使うと

δW=∫∇⋅(ϕ δD) dV−∫∇ϕ⋅δD dV=∫E⋅δD dV\delta W=\int\nabla\cdot(\phi\,\delta\bm{D})\,\mathrm{d} V-\int\nabla\phi\cdot\delta\bm{D}\,\mathrm{d} V=\int\bm{E}\cdot\delta\bm{D}\,\mathrm{d} V

となる。第1項は発散定理で無限遠の面積分に直した。電荷分布が有界なら ϕ δD∼r−3\phi\,\delta D\sim r^{-3} が面積 r2r^2 より速く減るので、この項は 0 になる。

線形誘電体では D=εE\bm{D}=\varepsilon\bm{E} で、誘電率が状態によらない。よって

E⋅δD=εE⋅δE=δ(12E⋅D)\bm{E}\cdot\delta\bm{D}=\varepsilon\bm{E}\cdot\delta\bm{E}=\delta\Bigl(\frac12\bm{E}\cdot\bm{D}\Bigr)

である。電荷を 0 から最終の値まで運び込んだ全体の仕事を足し合わせると、次の結果を得る。

定理 4.6(線形誘電体を含む系の静電エネルギー ★★★)

W=12∫E⋅D dV=12∫εE2 dV.(4.21)W=\frac12\int\bm{E}\cdot\bm{D}\,\mathrm{d} V=\frac12\int\varepsilon E^2\,\mathrm{d} V .\tag{4.21}

12E⋅D\frac12\bm{E}\cdot\bm{D} と ε02E2\frac{\varepsilon_0}{2}E^2 の差

(4.21) の被積分関数は2つの項に分けられる。

12E⋅D=ε02E2+12E⋅P\frac12\bm{E}\cdot\bm{D}=\frac{\varepsilon_0}{2}E^2+\frac12\bm{E}\cdot\bm{P}

第1項は電場そのもののエネルギーで、第2項は分子を分極させるために蓄えたエネルギーである。

例えば電子分極の模型では、電子の雲がばね定数 kk のばねで原子核に結ばれ、qxqx の双極子をつくるとする。つり合い kx=qEkx=qE から

p=qx=q2kE,α=q2kp=qx=\frac{q^2}{k}E,\qquad \alpha=\frac{q^2}{k}

で、ばねのエネルギーは

12kx2=12p2α=12pE\frac12kx^2=\frac12\frac{p^2}{\alpha}=\frac12pE

となる。数密度 nn を掛けると 12P⋅E\frac12\bm{P}\cdot\bm{E} になり、第2項と一致する。

導体と線形誘電体からなる系では、(4.21) は各導体の電荷 QiQ_i と電位 ViV_i で

W=12∑iQiViW=\frac12\sum_iQ_iV_i

と書ける(確認テスト 4.4-4)。コンデンサー1つなら W=12QV=Q22C=12CV2W=\frac12QV=\frac{Q^2}{2C}=\frac12CV^2 である。

エネルギーから力を求める

誘電体に働く力を、分極電荷に働く Coulomb 力を足し合わせて直接求めるのは難しい。分極電荷の分布が、電場が決まってはじめて決まるからである。

代わりに、誘電体をわずかに動かしたときのエネルギーの変化から力を求める(仮想仕事の方法)。誘電体の位置を表す座標 xx を考える。電場が誘電体に、この座標の向きの力 FF を及ぼすとする。

電荷を一定に保つ場合:導体を電池から切り離しておくと、誘電体を dx\mathrm{d} x 動かしても電荷は変わらない。外部からエネルギーが入らないので、電場がした仕事 F dxF\,\mathrm{d} x の分だけ静電エネルギーが減る。

F=−∂W∂x∣Q.(4.22)F=-\frac{\partial W}{\partial x}\bigg|_{Q}.\tag{4.22}

電位を一定に保つ場合:導体を電池につないでおくと、誘電体を動かしたとき電荷が dQi\mathrm{d} Q_i だけ流れ込む。このとき電池は ∑Vi dQi\sum V_i\,\mathrm{d} Q_i の仕事をする。エネルギーの収支と、電位一定でのエネルギーの変化は

∑Vi dQi=dW+F dx,dW=12∑Vi dQi(Vi が一定)\begin{aligned}\sum V_i\,\mathrm{d} Q_i&=\mathrm{d} W+F\,\mathrm{d} x,\\ \mathrm{d} W&=\frac12\sum V_i\,\mathrm{d} Q_i &&\text{(}{V_i}\text{ が一定)}\end{aligned}

である。したがって F dx=12∑Vi dQi=dWF\,\mathrm{d} x=\frac12\sum V_i\,\mathrm{d} Q_i=\mathrm{d} W、すなわち

F=+∂W∂x∣V(4.23)F=+\frac{\partial W}{\partial x}\bigg|_{V}\tag{4.23}

となる。電池が供給したエネルギーの半分が静電エネルギーの増加に、残りの半分が力学的な仕事になる。

2つの式の符号は逆だが、同じ配置に対しては同じ力になる。コンデンサー1つで確かめる。容量が C(x)C(x) のとき

−∂∂x(Q22C)∣Q=Q22C2dCdx=12V2dCdx,∂∂x(12CV2)∣V=12V2dCdx-\frac{\partial }{\partial x}\Bigl(\frac{Q^2}{2C}\Bigr)\bigg|_Q=\frac{Q^2}{2C^2}\frac{d C}{d x}=\frac12V^2\frac{d C}{d x},\qquad \frac{\partial }{\partial x}\Bigl(\frac12CV^2\Bigr)\bigg|_V=\frac12V^2\frac{d C}{d x}

で、両者は一致する。力は誘電体と導体の配置で決まり、電池がつながっているかどうかにはよらない。どちらの式を使うかは、計算の都合で選べばよい。

F=12V2dCdx.(4.24)F=\frac12V^2\frac{d C}{d x}.\tag{4.24}

図

図 4.4 平行平板コンデンサー(極板の長さ LL、奥行き ww、間隔 dd)に、比誘電率 εr\varepsilon_{\mathrm r} の板を xx だけ差し込んだ状態。板は極板の間へ引き込まれる。力の源は極板の端の漏れ電場で、極板の間の一様な電場は板の進む向きに成分を持たない。

一様な電場は板を引き込まない

図 4.4 の極板の間の一様な電場は極板に垂直で、板の進む向き(xx 方向)の成分を持たない。それでも板が引き込まれる理由は、極板の端に漏れ出した電場が xx 方向の成分を持ち、板の先端付近の分極電荷を引くことにある。

漏れ電場の形を求めるのは難しいが、(4.24) を使えば、その計算をせずに正しい力を求めることができる。エネルギーの変化を計算するときに使う C(x)C(x) は、板が十分奥まで入り、端の領域の形が xx によらない状態で求めた式でよい。xx が変わっても端の領域の寄与は一定で、dC/dx\mathrm{d} C/\mathrm{d} x に現れないからである。

誘電体の中の力の密度と、小さな誘電体に働く力

(4.21) から、誘電率が場所によって変わる物質に働く力の密度を求める。自由電荷を固定したまま、物質を変位 δs(r)\delta\bm{s}(\bm{r}) だけ動かすと、各点の誘電率が δε=−δs⋅∇ε\delta\varepsilon=-\delta\bm{s}\cdot\nabla\varepsilon だけ変わる(物質の密度は変わらないとする)。W=12∫D2/ε dVW=\frac12\int D^2/\varepsilon\,\mathrm{d} V の変化は

δW=∫D⋅δDε dV−12∫D2ε2δε dV.\delta W=\int\frac{\bm{D}\cdot\delta\bm{D}}{\varepsilon}\,\mathrm{d} V-\frac12\int\frac{D^2}{\varepsilon^2}\delta\varepsilon\,\mathrm{d} V .

第1項は、自由電荷を固定しているので消える。

∫E⋅δD dV=∫ϕ ∇⋅δD dV=∫ϕ δρf dV=0\int\bm{E}\cdot\delta\bm{D}\,\mathrm{d} V=\int\phi\,\nabla\cdot\delta\bm{D}\,\mathrm{d} V=\int\phi\,\delta\rho_{\mathrm f}\,\mathrm{d} V=0

残るのは第2項で

δW=−12∫E2δε dV=12∫E2∇ε⋅δs dV\delta W=-\frac12\int E^2\delta\varepsilon\,\mathrm{d} V=\frac12\int E^2\nabla\varepsilon\cdot\delta\bm{s}\,\mathrm{d} V

である。電荷を固定した場合の (4.22) と同じく、力の密度 f\bm{f} がする仕事 ∫f⋅δs dV\int\bm{f}\cdot\delta\bm{s}\,\mathrm{d} V は、エネルギーの減少に等しい。よって

f=−12E2∇ε(4.25)\bm{f}=-\frac12E^2\nabla\varepsilon\tag{4.25}

を得る。力は誘電率が減る向きに働く。誘電体の表面では ∇ε\nabla\varepsilon が表面に垂直に集中し、誘電体の内側を向くので、表面には誘電体を真空の側へ引き出す向きの力が働く。

大きさが場の変化の長さより十分小さい誘電体(分極率 α\alpha)に働く力は、もっと簡単に求まる。誘起された双極子 p=αE\bm{p}=\alpha\bm{E} のエネルギーは、次の2つの和である。

  • 外場の中の双極子のエネルギー −p⋅E=−αE2-\bm{p}\cdot\bm{E}=-\alpha E^2。
  • 分極を保つために蓄えたエネルギー 12αE2\frac12\alpha E^2(上の ideabox)。

よって

U=−12αE2,F=−∇U=12α∇(E2)(4.26)U=-\frac12\alpha E^2,\qquad \bm{F}=-\nabla U=\frac12\alpha\nabla(E^2)\tag{4.26}

となる。分極率は正なので、小さな誘電体は電場の強い所へ引き寄せられる。こすった下敷きに紙片が引き寄せられるのはこの力による。

例題 4.6 コンデンサーの間を上る液体 ★★

オリジナル間隔 dd の2枚の平行な極板(奥行き ww)を鉛直に立てる。下端を絶縁性の液体に浸し、電圧 VV をかける。液体の比誘電率は εr\varepsilon_{\mathrm r}、密度は ρm\rho_{\mathrm m} である。

  1. 液面が極板の間でもとの液面より hh だけ上がってつり合うとする。hh を求めよ(表面張力は無視する)。
  2. 次の値で hh を求めよ。

εr=3.0,ρm=9.0×102 kg/m3,V=1.0×103 V,d=1.0 mm,g=9.81 m/s2\varepsilon_{\mathrm r}=3.0,\quad \rho_{\mathrm m}=9.0\times10^2\,\mathrm{kg/m^3},\quad V=1.0\times10^{3}\,\mathrm V,\quad d=1.0\,\mathrm{mm},\quad g=9.81\,\mathrm{m/s^2} 3. 同じ結果を、力の密度 (4.25) から液面に働く圧力として導け。

解答
  1. 極板間で液体が占める高さを yy とすると、容量は液体の部分と空気の部分の並列接続で、yy に依存する部分は

C(y)=ε0wd[εry+(ℓ−y)]C(y)=\frac{\varepsilon_0w}{d}\bigl[\varepsilon_{\mathrm r}y+(\ell-y)\bigr]

(ℓ\ell は極板の高さ)である。(4.24) より、液体を引き上げる力は

F=12V2dCdy=ε0(εr−1)wV22dF=\frac12V^2\frac{d C}{d y}=\frac{\varepsilon_0(\varepsilon_{\mathrm r}-1)wV^2}{2d}

で、yy によらない。これが、もとの液面より上に持ち上げられた液体の重さ ρmg h wd\rho_{\mathrm m}g\,h\,wd とつり合うので

h=ε0(εr−1)V22ρmg d2.h=\frac{\varepsilon_0(\varepsilon_{\mathrm r}-1)V^2}{2\rho_{\mathrm m}g\,d^2}. 2. h=(8.854×10−12)(2.0)(1.0×106)2(9.0×102)(9.81)(1.0×10−6) m=1.0×10−3 mh=\dfrac{(8.854\times10^{-12})(2.0)(1.0\times10^{6})}{2(9.0\times10^2)(9.81)(1.0\times10^{-6})}\,\mathrm m=1.0\times10^{-3}\,\mathrm m、つまり約 1 mm1\,\mathrm{mm} 上がる。3. 極板間の電場は液体の中でも外でも E=V/dE=V/d で、液面に平行である(接線成分の連続から、液面の上下で等しい)。液面を鉛直に横切る向きに (4.25) を積分すると、液面の単位面積に働く上向きの力(圧力)は

pe=∫(−12E2∂ε∂y)dy=12E2(εr−1)ε0p_{\mathrm e}=\int\Bigl(-\frac12E^2\frac{\partial \varepsilon}{\partial y}\Bigr)\mathrm{d} y=\frac12E^2(\varepsilon_{\mathrm r}-1)\varepsilon_0

である。下から上へ誘電率が ε0εr\varepsilon_0\varepsilon_{\mathrm r} から ε0\varepsilon_0 へ減るので、力は上向きである。数値は 12(1.0×106)2(2.0)(8.854×10−12) Pa=8.85 Pa\frac12(1.0\times10^{6})^2(2.0)(8.854\times10^{-12})\,\mathrm{Pa}=8.85\,\mathrm{Pa} である。これが液柱の圧力とつり合う条件

12ε0(εr−1)V2d2=ρmgh\frac12\varepsilon_0(\varepsilon_{\mathrm r}-1)\frac{V^2}{d^2}=\rho_{\mathrm m}gh

は 1 の結果と同じ式である。液柱の圧力は ρmgh=(9.0×102)(9.81)(1.0×10−3) Pa=8.8 Pa\rho_{\mathrm m}gh=(9.0\times10^2)(9.81)(1.0\times10^{-3})\,\mathrm{Pa}=8.8\,\mathrm{Pa} で、確かに一致する。

確認テスト

オリジナル

  1. 4.4-1 電池につないだままの平行平板コンデンサーに誘電体の板を差し込む。静電エネルギーは増えるか減るか。電池から切り離してから差し込む場合はどうか。
  2. 4.4-2 容量 C0=100 pFC_0=100\,\mathrm{pF} のコンデンサーに Q=1.0×10−8 CQ=1.0\times10^{-8}\,\mathrm C を与えて電池から切り離す。その後、極板間を比誘電率 4.0 の誘電体で完全に満たす。はじめと終わりの静電エネルギー、電圧、電場が誘電体にした仕事を求めよ。
  3. 4.4-3 点電荷 qq から距離 rr の所に、小さな誘電体球がある。球の半径は b (≪r)b\ (\ll r)、比誘電率は εr\varepsilon_{\mathrm r} である。球に働く力を求めよ。球の分極率には例題 4.4 の結果を使ってよい。
  4. 4.4-4 導体 i=1,2,…i=1,2,\dots と、自由電荷を持たない線形誘電体からなる系を考える。各導体の電荷を QiQ_i、電位を ViV_i とする。次の式を示せ。

W=12∫E⋅D dV=12∑iQiViW=\frac12\int\bm{E}\cdot\bm{D}\,\mathrm{d} V=\frac12\sum_iQ_iV_i

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