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Larmor の公式と加速する電荷

2026年10月15日16分で読めますAI生成教科書『基礎理論』第11章 電磁波の放射
目次
  1. 1個の電荷の放射
  2. 力線の折れ曲がりから見た Larmor の公式
  3. 放射の反作用
  4. 相対論的な一般化
  5. 確認テスト
  6. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

電磁気学入門 第11章 §11.3 ★★★ 加速度 aa の電荷は q2a2/(6πε0c3)q^2a^2/(6\pi\varepsilon_0c^3) の電力を放射する。等速運動する電荷は放射しない

1個の電荷の放射

速さ v≪cv\ll c で動く1個の点電荷 qq を考える。位置を w(t)\bm{w}(t) とすると、原点のまわりの双極子モーメントは p=qw\bm{p}=q\bm{w} である。加速度を a=w¨\bm{a}=\ddot{\bm{w}} とすると、p¨=qa\ddot{\bm{p}}=q\bm{a} である。

双極子近似の条件 d≪λd\ll\lambda を考える。運動の時間尺度を TT とすると、これは電荷が動く距離 vTvT が、光の進む距離より十分小さいことに当たる。すなわち v≪cv\ll c である。(11.16) と (11.19) に p¨=qa\ddot{\bm{p}}=q\bm{a} を入れれば、次の結果を得る。

定理 11.7(Larmor の公式 ★★★)

速さが光速より十分小さい点電荷 qq が加速度 a\bm{a} で運動するとき、放射帯の電場と放射電力は

Erad=q4πε0c2R n^×(n^×a),dPdΩ=q2a216π2ε0c3sin⁡2Θ,P=q2a26πε0c3(11.22)\bm{E}_{\mathrm{rad}}=\frac{q}{4\pi\varepsilon_0c^2R}\,\hat{\bm{n}}\times(\hat{\bm{n}}\times\bm{a}),\qquad \frac{d P}{d \Omega}=\frac{q^2a^2}{16\pi^2\varepsilon_0c^3}\sin^2\Theta,\qquad P=\frac{q^2a^2}{6\pi\varepsilon_0c^3}\tag{11.22}

である。RR は、遅延時刻の電荷の位置から場の点までの距離である。Θ\Theta は n^\hat{\bm{n}} と加速度のなす角で、右辺の加速度は遅延時刻で評価する。

この公式は2つのことを述べている。放射の電力は速度によらず加速度の2乗だけで決まり、等速で動く電荷は放射しない。そして放射は加速度の向きに垂直な面で最も強い。

力線の折れ曲がりから見た Larmor の公式

Larmor の公式は、電気力線の形を考えるだけでも導ける。J. J. Thomson による議論を、図 11.2 を見ながら追う。

時刻0より前に原点 OO に静止していた電荷が、短い時間 Δt\Delta t のあいだだけ一定の加速度で加速されるとする。その大きさを aa とする。その後は、速さ Δv=aΔt≪c\Delta v=a\Delta t\ll c で等速運動を続ける。十分あとの時刻 t≫Δtt\gg\Delta t の場を考える。

  • 外側(半径 ctct より外):加速の影響は光速で広がるので、まだ及んでいない。そこの場は「OO に静止し続けている電荷」の Coulomb 場のままである。
  • 内側(半径 c(t−Δt)c(t-\Delta t) より内):加速が終わった後の状態が反映されている。等速運動する電荷の場で、Δv≪c\Delta v\ll c なので、ほぼ現在位置 O′O' を中心とする Coulomb 場である。現在位置は、原点から Δv t\Delta v\,t だけ離れている。
図

図 11.2 加速が短時間で終わった電荷の電気力線。外側(r>ctr>ct)は元の位置 OO を中心とする放射状の力線、内側(r<c(t−Δt)r<c(t-\Delta t))は現在位置 O′O' を中心とする放射状の力線で、厚さ cΔtc\Delta t の球殻の中の折れ曲がった部分(橙)がそれらをつなぐ。折れ曲がりの部分の電場は接線方向の成分を持ち、外へ光速で進む。

力線は途中で切れないので、内側の力線と外側の力線は、厚さ cΔtc\Delta t の球殻の中でつながっていなければならない。加速の向きとなす角 θ\theta の力線を考える。内側と外側で力線の位置は、球殻のところで接線方向に Δv tsin⁡θ\Delta v\,t\sin\theta だけずれている。このずれを球殻の厚さ cΔtc\Delta t の中で埋める。したがって球殻の中の電場の接線成分 E⊥E_\perp と動径成分 ErE_r の比は

E⊥Er=Δv tsin⁡θcΔt=atsin⁡θc=arsin⁡θc2\frac{E_\perp}{E_r}=\frac{\Delta v\,t\sin\theta}{c\Delta t}=\frac{at\sin\theta}{c}=\frac{ar\sin\theta}{c^2}

となる(最後に r=ctr=ct を使った)。動径成分は、Gauss の法則により Coulomb 場と同じ Er=q/(4πε0r2)E_r=q/(4\pi\varepsilon_0r^2) である。したがって

E⊥=q4πε0r2⋅arsin⁡θc2=qasin⁡θ4πε0c2r(11.23)E_\perp=\frac{q}{4\pi\varepsilon_0r^2}\cdot\frac{ar\sin\theta}{c^2}=\frac{qa\sin\theta}{4\pi\varepsilon_0c^2r}\tag{11.23}

を得る。これは (11.22) の電場の大きさ(∣n^×(n^×a)∣=asin⁡θ\left\vert \hat{\bm{n}}\times(\hat{\bm{n}}\times\bm{a})\right\vert =a\sin\theta を含む)と一致する。

動径成分は 1/r21/r^2、接線成分は 1/r1/r で減る。したがって遠方では、折れ曲がりの部分の電場は接線成分だけになる。これが光速で外へ進む放射のパルスである。

放射の反作用

電荷が放射でエネルギーを失うなら、電荷の運動にはそれに見合うブレーキがかかっているはずである。周期運動(あるいは始めと終わりで v⋅a\bm{v}\cdot\bm{a} が同じ値に戻る運動)で、この力 Frad\bm{F}_{\mathrm{rad}} を求める。力のする仕事が放射されたエネルギーを打ち消すことを要請すると

∫t1t2Frad⋅v dt=−q26πε0c3∫t1t2a⋅a dt=−q26πε0c3([v⋅a]t1t2−∫t1t2a˙⋅v dt)\int_{t_1}^{t_2}\bm{F}_{\mathrm{rad}}\cdot\bm{v}\,\mathrm{d} t=-\frac{q^2}{6\pi\varepsilon_0c^3}\int_{t_1}^{t_2}\bm{a}\cdot\bm{a}\,\mathrm{d} t =-\frac{q^2}{6\pi\varepsilon_0c^3}\Bigl([\bm{v}\cdot\bm{a}]_{t_1}^{t_2}-\int_{t_1}^{t_2}\dot{\bm{a}}\cdot\bm{v}\,\mathrm{d} t\Bigr)

となる(部分積分)。境界項が0になる運動では、被積分関数を比べて

Frad=q26πε0c3 a˙=mτ a˙,τ=q26πε0mc3(11.24)\bm{F}_{\mathrm{rad}}=\frac{q^2}{6\pi\varepsilon_0c^3}\,\dot{\bm{a}}=m\tau\,\dot{\bm{a}},\qquad \tau=\frac{q^2}{6\pi\varepsilon_0mc^3}\tag{11.24}

とおくのが自然である。これを Abraham–Lorentz の力と呼ぶ。電子では τ=2re/(3c)=6.26×10−24 s\tau=2r_{\mathrm e}/(3c)=6.26\times10^{-24}\ \mathrm s である。ここで

re=e24πε0mec2=2.82×10−15 mr_{\mathrm e}=\frac{e^2}{4\pi\varepsilon_0m_{\mathrm e}c^2}=2.82\times10^{-15}\ \mathrm m

は第2章で導入した古典電子半径である。

Abraham–Lorentz の力の扱い

  • (11.24) は平均のエネルギー収支から推したもので、各時刻での力の正しい形であることは示していない。
  • 外力の無いときの運動方程式 mv˙=mτv¨m\dot{\bm{v}}=m\tau\ddot{\bm{v}} には、加速度が指数関数的に増え続ける解(暴走解)がある。物理的な解ではない。
  • τ\tau は、光が古典電子半径を横切る程度の時間である。運動の時間尺度がこれより十分長い場合にだけ、(11.24) を小さな補正として使う。
  • その使い方の例:角振動数 ω0\omega_0 で振動する電子では、a˙≃−ω02v\dot{\bm{a}}\simeq-\omega_0^2\bm{v} と置ける。すると Frad≃−mτω02v\bm{F}_{\mathrm{rad}}\simeq-m\tau\omega_0^2\bm{v} は速度に比例する摩擦力になる。エネルギーは Γ=τω02\Gamma=\tau\omega_0^2 の率で減衰する。

相対論的な一般化

Larmor の公式は v≪cv\ll c でだけ正しい。速い電荷については、放射電力が Lorentz 変換で不変な量であることを使って一般化する。

電荷が瞬間的に静止して見える慣性系 K′K' で考える。この系では Larmor の公式が使える。

放射の角分布 sin⁡2Θ\sin^2\Theta は、進行方向を反転しても変わらない。したがって時間 dt′\mathrm{d} t' のあいだに放射される電磁波は、全エネルギー dE′\mathrm{d} E' を持つが全運動量は0である。この4元運動量 (dE′/c,0)(\mathrm{d} E'/c,\bm{0}) を元の系へ Lorentz 変換すると、次のようになる。

dE=γ dE′,dt=γ dt′(固有時の関係)\mathrm{d} E=\gamma\,\mathrm{d} E',\qquad \mathrm{d} t=\gamma\,\mathrm{d} t'\quad\text{(固有時の関係)}

したがって P=dE/dt=dE′/dt′=P′P=\mathrm{d} E/\mathrm{d} t=\mathrm{d} E'/\mathrm{d} t'=P' は系によらない。

瞬間静止系で放射電力を書き、それを不変な形にする。4元運動量の固有時微分 dpμ/dτ\mathrm{d} p^\mu/\mathrm{d}\tau は、瞬間静止系では (0,ma′)(0,m\bm{a}') である。p0=γmcp^0=\gamma mc の変化は速さの2次なので、静止の瞬間には0になるからである。計量 (+,−,−,−)(+,-,-,-) で

dpμdτdpμdτ=−m2a′2\frac{\mathrm{d} p_\mu}{\mathrm{d}\tau}\frac{\mathrm{d} p^\mu}{\mathrm{d}\tau}=-m^2a'^2

なので

P=−q26πε0m2c3 dpμdτdpμdτ.(11.25)P=-\frac{q^2}{6\pi\varepsilon_0m^2c^3}\,\frac{\mathrm{d} p_\mu}{\mathrm{d}\tau}\frac{\mathrm{d} p^\mu}{\mathrm{d}\tau}.\tag{11.25}

この式は両辺とも不変なので、どの系でも成り立つ。普通の速度と加速度で書き直す。次の2つを使う。

ddτ=γddt,γ˙=γ3(β⋅a)c\frac{d }{d \tau}=\gamma\frac{d }{d t},\qquad \dot\gamma=\frac{\gamma^3(\bm{\beta}\cdot\bm{a})}{c}

すると

dp0dτ=γd(γmc)dt=mγ4(β⋅a),dpdτ=γd(γmv)dt=mγ2a+mγ4(β⋅a)β\frac{\mathrm{d} p^0}{\mathrm{d}\tau}=\gamma\frac{d (\gamma mc)}{d t}=m\gamma^4(\bm{\beta}\cdot\bm{a}),\qquad \frac{\mathrm{d}\bm{p}}{\mathrm{d}\tau}=\gamma\frac{d (\gamma m\bm{v})}{d t}=m\gamma^2\bm{a}+m\gamma^4(\bm{\beta}\cdot\bm{a})\bm{\beta}

である。2乗の差をとると、γ2(1−β2)=1\gamma^2(1-\beta^2)=1 を使って

dpμdτdpμdτ=m2[γ8(β⋅a)2(1−β2)−2γ6(β⋅a)2−γ4a2]=−m2[γ4a2+γ6(β⋅a)2].\frac{\mathrm{d} p_\mu}{\mathrm{d}\tau}\frac{\mathrm{d} p^\mu}{\mathrm{d}\tau}=m^2\bigl[\gamma^8(\bm{\beta}\cdot\bm{a})^2(1-\beta^2)-2\gamma^6(\bm{\beta}\cdot\bm{a})^2-\gamma^4a^2\bigr] =-m^2\bigl[\gamma^4a^2+\gamma^6(\bm{\beta}\cdot\bm{a})^2\bigr].

a2−∣β×a∣2=a2(1−β2)+(β⋅a)2a^2-\left\vert \bm{\beta}\times\bm{a}\right\vert ^2=a^2(1-\beta^2)+(\bm{\beta}\cdot\bm{a})^2 に注意すると、次の形にまとまる。

定理 11.8(Liénard の公式 ★★)

任意の速さで運動する点電荷の放射電力は

P=q2γ66πε0c3(a2−∣β×a∣2)=q26πε0c3[γ4a2+γ6(β⋅a)2](11.26)P=\frac{q^2\gamma^6}{6\pi\varepsilon_0c^3}\bigl(a^2-\left\vert \bm{\beta}\times\bm{a}\right\vert ^2\bigr) =\frac{q^2}{6\pi\varepsilon_0c^3}\bigl[\gamma^4a^2+\gamma^6(\bm{\beta}\cdot\bm{a})^2\bigr]\tag{11.26}

である。とくに次の2つの場合がある。

  • 速度と加速度が平行なら、P=q2γ6a2/(6πε0c3)P=q^2\gamma^6a^2/(6\pi\varepsilon_0c^3) となる。
  • 速度と加速度が垂直なら、P=q2γ4a2/(6πε0c3)P=q^2\gamma^4a^2/(6\pi\varepsilon_0c^3) となる。

円運動では γ4\gamma^4 の因子が付く。同じエネルギーの電子と陽子を同じ半径で回すと、γ=E/(mc2)\gamma=E/(mc^2) が質量に反比例する。そのため軽い電子のほうが、(mp/me)4≃1013(m_{\mathrm p}/m_{\mathrm e})^4\simeq10^{13} 倍も多く放射する。電子の円形加速器では、この放射(シンクロトロン放射)による損失が到達エネルギーを制限する(確認テスト 11.4-3)。

例題 11.3 古典的な水素原子の寿命 ★★

オリジナル古典力学と古典電磁気学で水素原子を扱い、電子が陽子のまわりを円軌道で回るとする。電子は Larmor の公式に従ってエネルギーを失い、軌道は少しずつ縮む。各時刻の運動は円運動で近似できるとして、半径 a0=5.29×10−11 ma_0=5.29\times10^{-11}\ \mathrm m から中心まで落ちる時間を求めよ。

解答

半径 rr の円運動では、向心力の釣り合いと加速度は

mev2r=e24πε0r2,a=e24πε0mer2\frac{m_{\mathrm e}v^2}{r}=\frac{e^2}{4\pi\varepsilon_0r^2},\qquad a=\frac{e^2}{4\pi\varepsilon_0m_{\mathrm e}r^2}

である。全エネルギーは運動エネルギーと位置エネルギーの和で

E=12mev2−e24πε0r=−e28πε0rE=\frac12m_{\mathrm e}v^2-\frac{e^2}{4\pi\varepsilon_0r}=-\frac{e^2}{8\pi\varepsilon_0r}

である。エネルギーの減少率が放射電力に等しいので

dEdt=e28πε0r2drdt=−e2a26πε0c3=−e26πε0c3(e24πε0mer2)2.\frac{d E}{d t}=\frac{e^2}{8\pi\varepsilon_0r^2}\frac{d r}{d t}=-\frac{e^2a^2}{6\pi\varepsilon_0c^3}=-\frac{e^2}{6\pi\varepsilon_0c^3}\Bigl(\frac{e^2}{4\pi\varepsilon_0m_{\mathrm e}r^2}\Bigr)^2.

古典電子半径 re=e2/(4πε0mec2)r_{\mathrm e}=e^2/(4\pi\varepsilon_0m_{\mathrm e}c^2) を使って整理すると

drdt=−4re2c3r2,すなわちr2 dr=−43re2c dt.\frac{d r}{d t}=-\frac{4r_{\mathrm e}^2c}{3r^2},\qquad\text{すなわち}\qquad r^2\,\mathrm{d} r=-\frac43r_{\mathrm e}^2c\,\mathrm{d} t.

r=a0r=a_0 から0まで積分して

t=a034re2c=(5.29×10−11)34×(2.82×10−15)2×3.00×108 s=1.56×10−11 s.t=\frac{a_0^3}{4r_{\mathrm e}^2c}=\frac{(5.29\times10^{-11})^3}{4\times(2.82\times10^{-15})^2\times3.00\times10^8}\ \mathrm s=1.56\times10^{-11}\ \mathrm s.

はじめの軌道の周期は 1.52×10−16 s1.52\times10^{-16}\ \mathrm s なので、電子は約 10510^5 周しただけで原子核に落ちる。速さは v/c≃1/137v/c\simeq1/137 と小さく、Larmor の公式の前提は満たされている。古典物理学では原子が安定に存在できないというこの結論は、量子力学が必要になる理由の1つである。

例題 11.4 自由電子による光の散乱(Thomson 散乱) ★★

オリジナル角振動数 ω\omega、電場の振幅 E0E_0 の直線偏光の平面波が、自由な電子に当たる。電子の速さは cc より十分小さく、磁場による力は無視できるとする。

電子が放射する平均電力を、入射波の平均の強さ(単位面積あたりの電力)で割った量を散乱断面積 σ\sigma と呼ぶ。σ\sigma を求め、数値を出せ。

解答

電子の運動方程式は mea=−eE0cos⁡ωtm_{\mathrm e}\bm{a}=-e\bm{E}_0\cos\omega t なので、加速度の振幅は eE0/meeE_0/m_{\mathrm e} である。Larmor の公式 (11.22) と、余弦の2乗の平均 1/21/2 から

⟨P⟩=e26πε0c3⋅12(eE0me)2=e4E0212πε0me2c3.\langle P \rangle =\frac{e^2}{6\pi\varepsilon_0c^3}\cdot\frac12\Bigl(\frac{eE_0}{m_{\mathrm e}}\Bigr)^2=\frac{e^4E_0^2}{12\pi\varepsilon_0m_{\mathrm e}^2c^3}.

入射波の平均の強さは ⟨S⟩=12ε0cE02\langle S \rangle =\frac12\varepsilon_0cE_0^2 である(第9章 §9.1)。割り算して

σ=⟨P⟩⟨S⟩=e46πε02me2c4=8π3(e24πε0mec2)2=8π3re2=6.65×10−29 m2.\sigma=\frac{\langle P \rangle }{\langle S \rangle }=\frac{e^4}{6\pi\varepsilon_0^2m_{\mathrm e}^2c^4}=\frac{8\pi}{3}\Bigl(\frac{e^2}{4\pi\varepsilon_0m_{\mathrm e}c^2}\Bigr)^2=\frac{8\pi}{3}r_{\mathrm e}^2 =6.65\times10^{-29}\ \mathrm{m^2}.

これを Thomson 散乱断面積と呼ぶ。振動数によらないことが特徴で、束縛された電子による散乱(確認テスト 11.2-2 の ω4\omega^4)とは異なる。

  • 自由電子では、加速度の振幅 eE0/meeE_0/m_{\mathrm e} が振動数によらない。したがって p¨\ddot p の大きさも振動数によらない。
  • 束縛された電子では、変位の振幅のほうが振動数によらない。したがって p¨\ddot p が ω2\omega^2 に比例する。

確認テスト

オリジナル

  1. 11.3-1 Larmor の公式 P=q2a2/(6πε0c3)P=q^2a^2/(6\pi\varepsilon_0c^3) の右辺の単位が W になることを確かめよ。
  2. 11.3-2 磁束密度 B=1.0 TB=1.0\ \mathrm T の一様磁場の中で、電子が非相対論的な速さで円運動している(サイクロトロン運動)。Larmor の公式から、運動エネルギー KK の減衰の式 dK/dt=−K/τc\mathrm{d} K/\mathrm{d} t=-K/\tau_{\mathrm c} を導け。時定数を数値で求めよ。
  3. 11.3-3 原子の中で角振動数 ω0\omega_0 で振動する電子を、復元力 −meω02x-m_{\mathrm e}\omega_0^2\bm{x} を受ける古典的な振動子とみなす。放射によるエネルギーの減衰率 Γ\Gamma を求めよ。波長 500 nm の光に対応する角振動数で、1/Γ1/\Gamma を数値で求めよ。
  4. 11.3-4 電子が強さ 10 MV/m の一様な電場で直線的に加速されている。速さがほぼ光速のとき、Liénard の公式による放射電力は、電場から得る電力の何倍か。

木下の勉強ステータス

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