統計熱力学入門 第3章 §3.11 ★★★ ⟨E⟩,⟨N⟩ の Ξ 表示・密度揺らぎ Δρ∝V−1/2・等価性。大分配関数の使い方の演習。
解 (1)。
状態 i の実現確率は pi=ΞV−1(1/Ni!)e−β(Ei−μNi) である。まず μ で微分すると∂μe−β(Ei−μNi)=βNie−β(Ei−μNi) なので
∂μ∂ΞV=βi∑NiNi!1e−β(Ei−μNi)=β⟨N⟩ΞV⟹⟨N⟩=β1∂μ∂logΞV.
次に μ を固定して β で微分すると∂βe−β(Ei−μNi)=−(Ei−μNi)e−β(Ei−μNi) なので
∂β∂ΞV=−⟨E−μN⟩ΞV⟹⟨E⟩−μ⟨N⟩=−∂β∂logΞV,
これに上の ⟨N⟩ を代入して
⟨E⟩=−∂β∂logΞV+βμ∂μ∂logΞV.
解 (2)。
ρ=N/V なので⟨ρ2⟩−⟨ρ⟩2=V−2(⟨N2⟩−⟨N⟩2)、すなわちΔρ=ΔN/V。∂μlogΞV=β⟨N⟩ をもう一度 μ で微分すると
∂μ2∂2logΞV=ΞV1∂μ2∂2ΞV−(ΞV1∂μ∂ΞV)2=β2⟨N2⟩−β2⟨N⟩2
(途中 ∂μ2ΞV=β2⟨N2⟩ΞV を使用)。logΞV=−βJV を代入すると ∂μ2logΞV=−β∂μ2JV なので
⟨N2⟩−⟨N⟩2=−β1∂μ2∂2JV,Δρ=V1−β1∂μ2∂2JV.
(分散は非負なので ∂μ2JV≤0、すなわち JV は μ の凹関数であることも同時に従う。)
熱力学極限では、§8で示したとおり JV(β,μ)=Vj(β,μ)(j=−P)と示量的に書けるから ∂μ2JV=V∂μ2j∝V であり、
Δρ=V1−β−1V∂μ2j=V1−β−1∂μ2j∝V1V→∞0.
密度の揺らぎは V−1/2 で消える。
カノニカル分布との関係。
ΔN/⟨N⟩∼V−1/2→0 となるから、粒子数 N の分布は平均値 ⟨N⟩ のまわりに鋭くピークを持つ。したがって μ を固定するグランドカノニカル分布も、実質的には粒子数が N=⟨N⟩ に固定されたカノニカル分布と区別がつかない。実際、ΞV=∑NeβμNZV(β,N) という N についての和は V→∞ でN=⟨N⟩ の項のみが支配的になり(§7)、グランドカノニカル分布はその ⟨N⟩ を粒子数に持つカノニカル分布へ帰着する。両分布から計算される熱力学量は一致する(アンサンブルの等価性)。なお相転移点では ∂μ2J→∞ となってこの帰着が破れる(§7のコラム)。
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