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大正準集団と量子分布関数

2026年10月15日7分で読めますAI生成教科書『基礎理論』第5章 基礎の整理:量子統計と状態密度

AI 生成・木下が未勉強

統計熱力学入門 第5章 §5.1 ★★★ Ξ=∏jΞj\Xi=\prod_j\Xi_j の因子化から ⟨nj⟩=1/(eβ(ε−μ)±1)\left\langle n_j \right\rangle =1/(e^{\beta(\varepsilon-\mu)}\pm1)。量子統計の核。

本書では理想量子気体の各問題を解いていくが、その前に、以降くり返し使う道具を最小限だけ整理しておく。基礎的な導出は要点のみに留め、詳しい説明は各章で必要になった箇所に譲る。

量子力学において同種粒子は原理的に区別できない。番号は計算の便宜で振るだけで、粒子 1 と 2 を入れ替えても物理(観測できる確率 ∣ψ∣2|\psi|^2)は変わってはならない。2 粒子状態を ψ(1,2)\psi(1,2) と書くと入れ替えは ψ(2,1)\psi(2,1) で、∣ψ(2,1)∣2=∣ψ(1,2)∣2|\psi(2,1)|^2=|\psi(1,2)|^2 より ψ(2,1)=c ψ(1,2)\psi(2,1)=c\,\psi(1,2)(cc は位相)。入れ替えを 2 回すれば元に戻るので c2=1c^2=1、したがって c=+1c=+1 か −1-1 のいずれかに限られる:

ψ(2,1)=+ψ(1,2) ⇒ Bose 粒子(対称),ψ(2,1)=−ψ(1,2) ⇒ Fermi 粒子(反対称).\psi(2,1)=+\psi(1,2)\ \Rightarrow\ \text{\textbf{Bose 粒子}(対称)},\qquad \psi(2,1)=-\psi(1,2)\ \Rightarrow\ \text{\textbf{Fermi 粒子}(反対称)}.

反対称性からただちにPauli の排他律が出る。二つの Fermi 粒子を同じ 1 粒子状態に置くと、入れ替えても中身が同じで ψ(2,1)=ψ(1,2)\psi(2,1)=\psi(1,2) だが、反対称性は ψ(2,1)=−ψ(1,2)\psi(2,1)=-\psi(1,2) を要求するので ψ=−ψ=0\psi=-\psi=0、つまりそんな状態は存在しない。ゆえに一つの状態を占める Fermi 粒子は高々 1 個である。どちらの粒子になるかはスピンで決まり(スピン統計定理)、半整数スピン(s=12,32,…s=\tfrac12,\tfrac32,\dots)が Fermi 粒子、整数スピン(s=0,1,…s=0,1,\dots)が Bose 粒子である。スピンの内部自由度の数は g=2s+1g=2s+1 である。これは、スピンの zz 成分 msm_s が ms=−s,−s+1,…,+sm_s=-s,-s+1,\dots,+s と、−s-s から +s+s まで11 きざみ・両側対称に並ぶ(角運動量の代数の帰結)ため、その段数が (s−(−s))+1=2s+1(s-(-s))+1=2s+1 になることによる(+s+s 側だけでなく−s-s 側もあるので s+1s+1 でなく 2s+12s+1)。したがって s=0s=0 なら ms=0m_s=0 の 1 個で g=1g=1(問題 IV のスピンレス Bose 気体)、s=12s=\tfrac12 なら ms=±12m_s=\pm\tfrac12 の 2 個で g=2g=2(電子の ↑↓\uparrow\downarrow、問題 II)となり、これが状態密度の前因子に効く。

理想量子気体では粒子間相互作用がないので、1 粒子準位 jj(エネルギー εj\varepsilon_j、j=1,2,…j=1,2,\dots)を基底にとれば、多体状態を指定するのに必要な情報は「各準位に何個入っているか」という占有数njn_j だけである。系全体のエネルギーと粒子数は E=∑jnjεjE=\sum_j n_j\varepsilon_j、N=∑jnjN=\sum_j n_j で与えられ、占有数の範囲が統計性を決める:Fermi は排他律から nj∈{0,1}n_j\in\{0,1\}、Bose は制限なく nj∈{0,1,2,… }n_j\in\{0,1,2,\dots\}。

図

図 5.1 低温での占有の違い。Bose 粒子(対称)は同じ最低準位に何個でも集まれる(凝縮)。Fermi 粒子(反対称)は排他律で 1 状態 1 個(スピン ↑↓\uparrow\downarrow で 1 準位 2 個)しか入れず、下から積み上がって最高被占準位が Fermi 準位 εF\varepsilon_{\mathrm{F}} になる。入れ替えの符号 ±\pm が、この占有の違い、ひいては分布 1/(eβ(ε−μ)±1)1/(\mathrm{e}^{\beta(\varepsilon-\mu)}\pm1) の ±\pm を生む。

粒子数が変化しうる開いた系として扱う大正準集団(前章 §4.3)では、温度 TT(逆温度 β=1/kBT\beta=1/ k_{\mathrm{B}} T)と化学ポテンシャル μ\mu を固定する。ひとつの配位{nj}=(n1,n2,… )\{n_j\}=(n_1,n_2,\dots) の重みは、E=∑jεjnjE=\sum_j\varepsilon_j n_j・N=∑jnjN=\sum_j n_j が和なので指数の肩でも和になり、ea+b=eaeb\mathrm{e}^{a+b}=\mathrm{e}^a\mathrm{e}^b によって準位ごとの積にほどける:

e−β(E−μN)=exp⁡ ⁣[−β∑j(εj−μ)nj]=∏je−β(εj−μ)nj.\mathrm{e}^{-\beta(E-\mu N)}=\exp\!\Big[-\beta\sum_j(\varepsilon_j-\mu)n_j\Big] =\prod_j\mathrm{e}^{-\beta(\varepsilon_j-\mu)n_j}.

大分配関数はこれを全配位について足したものΞ=∑{nj}∏je−β(εj−μ)nj\Xi=\sum_{\{n_j\}}\prod_j\mathrm{e}^{-\beta(\varepsilon_j-\mu)n_j} である。ここで NN を固定しないので各 njn_j は互いに束縛されず独立に動き、多重和は ∑{nj}=∑n1∑n2⋯\sum_{\{n_j\}}=\sum_{n_1}\sum_{n_2}\cdots となる。中身が準位ごとの積なので、「各準位から項を 1 つずつ選ぶ全組み合わせの和」=「各準位の和の積」という分配法則がそのまま使えて、

Ξ=∑n1∑n2⋯∏je−β(εj−μ)nj=∏j(∑nje−β(εj−μ)nj)=∏jΞj\Xi=\sum_{n_1}\sum_{n_2}\cdots\prod_j\mathrm{e}^{-\beta(\varepsilon_j-\mu)n_j} =\prod_j\Big(\sum_{n_j}\mathrm{e}^{-\beta(\varepsilon_j-\mu)n_j}\Big)=\prod_j\Xi_j

と因子化する。いちばん小さい例で確かめよう。準位 2 本・Fermi(各 n∈{0,1}n\in\{0,1\}、aj≡e−β(εj−μ)a_j\equiv\mathrm{e}^{-\beta(\varepsilon_j-\mu)})なら、左辺は 4 配位 (0,0),(0,1),(1,0),(1,1)(0,0),(0,1),(1,0),(1,1) の重みの和で、

1⏟(0,0)+a2⏟(0,1)+a1⏟(1,0)+a1a2⏟(1,1)=(1+a1)(1+a2)=Ξ1Ξ2.\underbrace{1}_{(0,0)}+\underbrace{a_2}_{(0,1)}+\underbrace{a_1}_{(1,0)}+\underbrace{a_1a_2}_{(1,1)} =(1+a_1)(1+a_2)=\Xi_1\Xi_2 .

「(1+a1)(1+a2)(1+a_1)(1+a_2) を展開する」ことと「2 準位の全占有パターンを数え上げる」ことが、同じ作業なのである。交換が成り立つ鍵は和が全配位(各準位の直積)を渡ることで、もし総粒子数を ∑jnj=N\sum_j n_j=N に固定すると許される配位が直積の一部(合計が NN の面)に制限され、分配法則が使えず因子化は崩れる。カノニカル分布(NN 固定)が因子化せず、グランドカノニカル分布(μ\mu 固定)で初めて Ξ=∏jΞj\Xi=\prod_j\Xi_jとなるのはこのためである。

各準位の Ξj\Xi_j は、占有数の範囲で和をとるだけで求まる。Fermi は n∈{0,1}n\in\{0,1\}、Bose は等比級数:

ΞjF=∑n=01aj n=1+aj,ΞjB=∑n=0∞aj n=11−aj(aj=e−β(εj−μ)).\Xi_j^{\mathrm F}=\sum_{n=0}^{1}a_j^{\,n}=1+a_j,\qquad \Xi_j^{\mathrm B}=\sum_{n=0}^{\infty}a_j^{\,n}=\frac{1}{1-a_j} \qquad(a_j=\mathrm{e}^{-\beta(\varepsilon_j-\mu)}).

Bose の等比級数が収束するには aj<1a_j<1、すなわち全準位で εj>μ\varepsilon_j>\mu が要る。準位 jj の平均占有数は、確率 P(nj)=aj nj/ΞjP(n_j)=a_j^{\,n_j}/\Xi_j による期待値⟨nj⟩=∑njnj P(nj)=Ξj−1∑njnj aj nj\left\langle n_j \right\rangle =\sum_{n_j}n_j\,P(n_j)=\Xi_j^{-1}\sum_{n_j}n_j\,a_j^{\,n_j} を直接計算すればよい。Fermi は

⟨nj⟩=0⋅1+1⋅aj1+aj=aj1+aj,\left\langle n_j \right\rangle =\frac{0\cdot1+1\cdot a_j}{1+a_j}=\frac{a_j}{1+a_j},

Bose は ∑n≥0n an=a(1−a)2\sum_{n\ge0}n\,a^n=\dfrac{a}{(1-a)^2} を用いて⟨nj⟩=aj/(1−aj)21/(1−aj)=aj1−aj\left\langle n_j \right\rangle =\dfrac{a_j/(1-a_j)^2}{1/(1-a_j)}=\dfrac{a_j}{1-a_j} となる。どちらも分母分子をeβ(εj−μ)\mathrm{e}^{\beta(\varepsilon_j-\mu)} 倍すれば、

  ⟨nj⟩=fF/B(εj)=1eβ(εj−μ)±1  (上: Fermi, 下: Bose)\boxed{\;\left\langle n_j \right\rangle =f_{\mathrm{F/B}}(\varepsilon_j)=\frac{1}{\mathrm{e}^{\beta(\varepsilon_j-\mu)}\pm1}\;} \qquad(\text{上:\,Fermi},\ \text{下:\,Bose})

にまとまる(同じ結果は ⟨nj⟩=−β−1∂ln⁡Ξj/∂εj\left\langle n_j \right\rangle =-\beta^{-1}\partial\ln\Xi_j/\partial\varepsilon_j からも得られる。この式は−β−1∂εjaj n=n aj n-\beta^{-1}\partial_{\varepsilon_j}a_j^{\,n}=n\,a_j^{\,n} を使えば上の直接和と同じもの)。以降、複号は上が Fermi、下が Bose を表す約束とする。Fermi 分布は 0≤f≤10\le f\le1 に収まり Pauli 排他律と整合し、Bose 分布は εj→μ\varepsilon_j\to\mu で発散する。とくに Bose では基底状態 ε1=0\varepsilon_1=0 に対しμ<0\mu<0 でなければならない。

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