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化学ポテンシャルの温度依存性

2026年10月15日8分で読めますAI生成教科書『基礎理論』第8章 バンドギャップのある理想 Fermi 気体

AI 生成・木下が未勉強

統計熱力学入門 第8章 §8.1 ★★ 電荷中性 ne=nhn_e=n_h から μ=Δ/2+kBT2ln⁡(B/A)\mu=\Delta/2+\tfrac{ k_{\mathrm{B}} T}{2}\ln(B/A)。ギャップ中央に来る。

状態密度が

D(ε)={A(ε−Δ)d/2−1(Δ≤ε),0(0<ε<Δ),B(−ε)d/2−1(ε≤0)D(\varepsilon)= \begin{cases} A(\varepsilon-\Delta)^{d/2-1} & (\Delta\le\varepsilon),\\[2pt] 0 & (0<\varepsilon<\Delta),\\[2pt] B(-\varepsilon)^{d/2-1} & (\varepsilon\le0) \end{cases}

で与えられる理想 Fermi 気体を考える。A,BA,B は定数、dd は次元である。絶対零度ではε≤0\varepsilon\le0 の状態(価電子帯に相当)がすべて埋まり、ε≥Δ\varepsilon\ge\Delta の状態(伝導帯に相当)が完全に空である。0<ε<Δ0<\varepsilon<\Delta は状態のないギャップで、幅 Δ\Delta がバンドギャップにあたる。基底状態エネルギー εmin⁡\varepsilon_{\min} は十分小さくεmin⁡→−∞\varepsilon_{\min}\to-\infty として計算してよい。これは真性半導体(絶縁体)の最小模型である。

「次元 dd」とは。ここで dd は粒子が動ける空間の次元である(3 次元バルクなら d=3d=3、界面・薄膜に閉じ込めた2 次元電子系なら d=2d=2、量子細線なら d=1d=1)。状態密度の冪 εd/2−1\varepsilon^{d/2-1} がこの dd で決まる理由は、前章と同じく準位が波数 k\bm k でラベルされることにある:dd 次元では波数の大きさが kk 以下の状態数がk\bm k 空間の dd 次元球の体積 ∝kd\propto k^d に比例し、k∝ε1/2k\propto\varepsilon^{1/2} より ∝εd/2\propto\varepsilon^{d/2}、これを ε\varepsilon で微分して D∝εd/2−1D\propto\varepsilon^{d/2-1} となる。具体的には d=3d=3 で ε1/2\varepsilon^{1/2}(前章の形)、d=2d=2 で一定、d=1d=1 で ε−1/2\varepsilon^{-1/2}(低エネルギーで発散)。本問の状態密度がバンド端からの距離で(ε−Δ)d/2−1(\varepsilon-\Delta)^{d/2-1}、(−ε)d/2−1(-\varepsilon)^{d/2-1} と書かれているのはこの一般次元の形で、以下の結果に現れる (kBT)d/2( k_{\mathrm{B}} T)^{d/2} や Td/2−2T^{d/2-2} の冪はすべてこの dd に由来する。同じ「次元が低エネルギー状態密度の冪を決める」構図は、第6章の Bose–Einstein 凝縮の有無(3 次元で凝縮・2 次元で不在)でも本質的に効く。

μ\mu はどこに来るか。μ\mu は「粒子を 1 個足すときのエネルギーの相場」で、占有率 f=1/(eβ(ε−μ)+1)f=1/(\mathrm{e}^{\beta(\varepsilon-\mu)}+1) において「ε=μ\varepsilon=\mu の準位がちょうど半分埋まる基準線」として現れる。絶対零度ではこの系は価電子帯(ε≤0\varepsilon\le0)が満杯・伝導帯(ε≥Δ\varepsilon\ge\Delta)が空だから、「次の 1 個が入る場所」=基準線 μ\mu は、最後に埋まった準位(価電子帯頂上 ε=0\varepsilon=0)と次に空く準位(伝導帯底 ε=Δ\varepsilon=\Delta)の間、すなわち準位のないギャップ 0<μ<Δ0<\mu<\Delta の中に来ざるを得ない。基準線がギャップ内にあるので、価電子帯は ε−μ<0\varepsilon-\mu<0 でほぼ満杯、伝導帯は ε−μ>0\varepsilon-\mu>0 でほぼ空、という描像になる。

μ\mu を決める原理:電荷中性と自動調整。ギャップ内のどの高さに来るかは、粒子数(電荷)の保存で決まる。低温では価電子帯の上端付近から伝導帯の下端へ少数の電子が熱励起され、伝導帯に電子 nen_e 個、価電子帯に同数の正孔 nhn_h 個ができる。1 個励起すれば必ず正孔が 1 個できるので、常に ne(μ)=nh(μ)n_e(\mu)=n_h(\mu)(電荷中性)が成り立ち、これが μ\mu を決める方程式である。後で見るように ne∝eβ(μ−Δ)n_e\propto\mathrm{e}^{\beta(\mu-\Delta)} は μ\mu の増加関数、nh∝e−βμn_h\propto\mathrm{e}^{-\beta\mu} は減少関数である――電子(水位 μ\mu より上の伝導帯)と正孔(下の価電子帯)が μ\mu を挟んで反対側にいるので、μ\mu を上げれば ne ⁣↑,nh ⁣↓n_e\!\uparrow,n_h\!\downarrow、下げれば逆に動く。だから右上がりの ne(μ)n_e(\mu) と右下がりの nh(μ)n_h(\mu) は必ず 1 点で交わり、その交点が中性を満たす唯一の μ\mu である。交点より高いと ne>nhn_e>n_h で押し下げられ、低いと押し上げられるので、これは安定な釣り合いでもある(μ\mu が「自動調整」される、とはこの意味)。

図

図 8.1 化学ポテンシャルの自動調整。伝導帯電子 ne(μ)n_e(\mu) は増加関数、正孔 nh(μ)n_h(\mu) は減少関数(図は βΔ=8\beta\Delta=8、B/A=3B/A=3 の例、対数目盛)。中性条件 ne=nhn_e=n_h を満たすのは両曲線の交点ただ一つで、交点より左では正孔過剰(μ\mu は押し上げられ)、右では電子過剰(押し下げられ)て安定に釣り合う。

μ∈(0,Δ)\mu\in(0,\Delta) を使ってよいか。以下では μ\mu がギャップ内かつ両端から十分離れている(μ≫kBT\mu\gg k_{\mathrm{B}} T かつ Δ−μ≫kBT\Delta-\mu\gg k_{\mathrm{B}} T、非縮退)と仮定して解き、答えが仮定と整合することを確かめる(自己無撞着)。実際、下で得る解は T→0T\to0 でμ→Δ/2\mu\to\Delta/2 となり、ギャップ中央・両端から Δ/2≫kBT\Delta/2\gg k_{\mathrm{B}} T 離れていて仮定と矛盾しない。仮定なしでも「ギャップ内」は言える:μ>Δ\mu>\Delta なら伝導帯に電子が巨視的に入って ne≫nhn_e\gg n_h、μ<0\mu<0 ならnh≫nen_h\gg n_e となり中性を満たせないので、増加関数と減少関数の交点はギャップ内に限られる(T=0T=0 の基底状態の議論とも一致)。ただしこの前提が有効なのは低温 kBT≪Δk_{\mathrm{B}} T\ll\Delta のときだけで、温度を上げて kBTk_{\mathrm{B}} T がΔ\Delta に迫ると μ\mu が端に近づき Boltzmann 近似は破れる。

非縮退の仮定のもとでは両帯とも ∣ε−μ∣≫kBT|\varepsilon-\mu|\gg k_{\mathrm{B}} T なので、分布関数を Boltzmann 因子で近似できる。

伝導帯の電子数。 fF≃e−β(ε−μ)f_{\mathrm F}\simeq\mathrm{e}^{-\beta(\varepsilon-\mu)} より

ne=∫Δ∞A(ε−Δ)d/2−1e−β(ε−μ) ⁣dε=A eβ(μ−Δ)∫0∞xd/2−1e−βx ⁣dx=A Γ ⁣(d2)β−d/2 eβ(μ−Δ)(x=ε−Δ).\begin{align*}n_e&=\int_\Delta^\infty A(\varepsilon-\Delta)^{d/2-1}\mathrm{e}^{-\beta(\varepsilon-\mu)}\mathop{}\!\mathrm{d}\varepsilon =A\,\mathrm{e}^{\beta(\mu-\Delta)}\int_0^\infty x^{d/2-1}\mathrm{e}^{-\beta x}\mathop{}\!\mathrm{d} x\\&=A\,\Gamma\!\left(\tfrac d2\right)\beta^{-d/2}\,\mathrm{e}^{\beta(\mu-\Delta)} \qquad(x=\varepsilon-\Delta).\end{align*}

価電子帯の正孔数。 空孔の分布は1−fF=(e−β(ε−μ)+1)−1≃eβ(ε−μ)1-f_{\mathrm F}=\big(\mathrm{e}^{-\beta(\varepsilon-\mu)}+1\big)^{-1}\simeq\mathrm{e}^{\beta(\varepsilon-\mu)}(ε≤0\varepsilon\le0 で ε−μ<0\varepsilon-\mu<0)だから、u=−εu=-\varepsilon と置いて

nh=∫−∞0B(−ε)d/2−1eβ(ε−μ) ⁣dε=B Γ ⁣(d2)β−d/2 e−βμ.n_h=\int_{-\infty}^0 B(-\varepsilon)^{d/2-1}\mathrm{e}^{\beta(\varepsilon-\mu)}\mathop{}\!\mathrm{d}\varepsilon =B\,\Gamma\!\left(\tfrac d2\right)\beta^{-d/2}\,\mathrm{e}^{-\beta\mu}.

両者を等置 ne=nhn_e=n_h すると Γ(d/2)β−d/2\Gamma(d/2)\beta^{-d/2} が消え、A eβ(μ−Δ)=B e−βμA\,\mathrm{e}^{\beta(\mu-\Delta)}=B\,\mathrm{e}^{-\beta\mu}、すなわち e2βμ=BAeβΔ\mathrm{e}^{2\beta\mu}=\dfrac BA\mathrm{e}^{\beta\Delta}。対数をとって、

★★ 結果:化学ポテンシャル

μ(β)=Δ2+12βln⁡BA=Δ2+kBT2ln⁡BA\mu(\beta)=\frac{\Delta}{2}+\frac{1}{2\beta}\ln\frac BA =\frac{\Delta}{2}+\frac{ k_{\mathrm{B}} T}{2}\ln\frac BA

絶対零度極限 β→∞\beta\to\infty で μ→Δ/2\mu\to\Delta/2、すなわち化学ポテンシャルはギャップのちょうど中央に位置する。有限温度では、伝導帯と価電子帯の状態密度の非対称性(A≠BA\neq B)に応じて μ\mu が中央から TT に比例してずれる。B>AB>A(価電子帯の方が状態が密)ならμ\mu は上へずれる。これは半導体物理の標準的な結果である。

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