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自由粒子の波束

2026年10月15日6分で読めますAI生成教科書『基礎理論』第1部 第2章 交換子と不確定性関係
目次
  1. (1) 平面波だけでは粒子を表せない
  2. (2) 運動量の少しずつ違う平面波を重ね合わせる
  3. (3) 時間がたつと、中心は古典的に進み、幅は広がる
  4. (4) 崩れない波束:同じエネルギーの成分だけを重ねる
  5. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

量子力学入門 第1部 第2章 §1.2.3 ★★ 平面波を重ね合わせて粒子を局在させる。磁場中の電子・コヒーレント状態・散乱の議論で毎回使う

(1) 平面波だけでは粒子を表せない

運動量が pp に決まった状態は平面波 eipx/ℏ\mathrm{e}^{\mathrm{i} px/\hbar} である(1.2.2 節)。その確率密度は ∣eipx/ℏ∣2=1|\mathrm{e}^{\mathrm{i} px/\hbar}|^2=1 で、粒子は全空間に一様に広がっている。∫∣ψ∣2dx\int|\psi|^2\mathrm{d} x が発散するので規格化もできない。実際の粒子はどこかに局在しているので、平面波1つでは表せない。

(2) 運動量の少しずつ違う平面波を重ね合わせる

1.2.2 節 (3) の Fourier 積分は、そのまま粒子を局在させる処方になる。

ψ(x)=12πℏ∫−∞∞φ(p) eipx/ℏ dp\psi(x)=\frac{1}{\sqrt{2\pi\hbar}}\int_{-\infty}^{\infty}\varphi(p)\,\mathrm{e}^{\mathrm{i} px/\hbar}\,\mathrm{d} p

重み φ(p)\varphi(p) が運動量 p0p_0 のまわりに幅 σp\sigma_p で集まっていると、各平面波は x=0x=0 の近くでは位相がそろって強め合い、遠くでは位相がばらばらになって打ち消し合う。こうして1か所に集まった重ね合わせを波束と呼ぶ。

重みをガウス関数に選ぶと、位置の側もガウス関数になる。

φ(p)=(2πσp2)−1/4exp⁡[−(p−p0)24σp2]⟹ψ(x)=(2πσx2)−1/4exp⁡[−x24σx2+ip0xℏ],σx=ℏ2σp\varphi(p)=(2\pi\sigma_p^2)^{-1/4}\exp\Bigl[-\frac{(p-p_0)^2}{4\sigma_p^2}\Bigr] \quad\Longrightarrow\quad \psi(x)=(2\pi\sigma_x^2)^{-1/4}\exp\Bigl[-\frac{x^2}{4\sigma_x^2}+\frac{\mathrm{i} p_0x}{\hbar}\Bigr],\qquad \sigma_x=\frac{\hbar}{2\sigma_p}

ここで σx\sigma_x と σp\sigma_p は、それぞれ ∣ψ(x)∣2|\psi(x)|^2 と ∣φ(p)∣2|\varphi(p)|^2 の標準偏差である。運動量を広く混ぜるほど位置はよく決まり、積はいつも σxσp=ℏ/2\sigma_x\sigma_p=\hbar/2 である。これは Robertson の不確定性関係の下限で、ガウス波束は不確定性が最小の状態になっている。因子 eip0x/ℏ\mathrm{e}^{\mathrm{i} p_0x/\hbar} は波束全体に運動量 p0p_0 を与える。

(3) 時間がたつと、中心は古典的に進み、幅は広がる

各成分は自分のエネルギー E(p)=p2/2mE(p)=p^2/2m で位相が回る。

ψ(x,t)=12πℏ∫−∞∞φ(p) ei(px−E(p)t)/ℏ dp\psi(x,t)=\frac{1}{\sqrt{2\pi\hbar}}\int_{-\infty}^{\infty}\varphi(p)\,\mathrm{e}^{\mathrm{i}(px-E(p)t)/\hbar}\,\mathrm{d} p

ガウス波束ではこの積分が実行でき、確率密度は中心 p0t/mp_0t/m、標準偏差 σx(t)\sigma_x(t) のガウス関数になる。

⟨x^⟩(t)=p0m t,σx(t)=σx1+(tτ)2,τ=2mσx2ℏ\langle \hat x \rangle (t)=\frac{p_0}{m}\,t,\qquad \sigma_x(t)=\sigma_x\sqrt{1+\Bigl(\frac{t}{\tau}\Bigr)^2},\qquad \tau=\frac{2m\sigma_x^2}{\hbar}

中心の速さ p0/mp_0/m は群速度 dE/dp\mathrm{d} E/\mathrm{d} p で、古典粒子の速さと同じである。

幅が広がる理由は、成分ごとに速さが違うことにある。運動量の広がり σp\sigma_p は速さの広がり σp/m\sigma_p/m に当たり、t≫τt\gg\tau では σx(t)≈σpt/m\sigma_x(t)\approx\sigma_pt/m となる。速い成分が先へ、遅い成分が後ろへ離れていくので、いったん干渉で1か所に集めた状態がほどけていく。初めに狭く閉じ込めた波束ほど σp\sigma_p が大きく、τ∝σx2\tau\propto\sigma_x^2 も短いので、早く崩れる。

(4) 崩れない波束:同じエネルギーの成分だけを重ねる

崩れる原因は、成分ごとにエネルギーが違い、位相の回る速さがそろわないことだった。逆に、同じエネルギーを持つ状態だけを重ね合わせれば、全成分の位相が同じ e−iEt/ℏ\mathrm{e}^{-\mathrm{i} Et/\hbar} で回り、波束の形は時間がたっても変わらない。縮重した準位の中の重ね合わせは、それ自身が同じエネルギーの固有状態だからである。

磁場中の電子の Landau 準位はこの例で、1つの準位の中で名札 pyp_y の違う状態を重ねると、yy 方向にも局在したまま止まっている波束ができる(第5部『電磁場中の荷電粒子とゲージ』)。古典的には円運動の中心が動かないことに対応する。エネルギーが等間隔の調和振動子では、異なる準位を重ねても位相差が周期 2π/ω2\pi/\omega で元に戻るので、波束は崩れずに往復する(第8部『時間依存摂動論とダイナミクス』のコヒーレント状態)。

例題 2.2

オリジナル★★ 波束の広がりの時間を見積もる。

  • (1) ガウス波束の幅の式で t≫τt\gg\tau とすると σx(t)≈σpt/m\sigma_x(t)\approx\sigma_pt/m になることを示し、その意味を述べよ。
  • (2) 広がりの時間 τ=2mσx2/ℏ\tau=2m\sigma_x^2/\hbar を、(a) 電子を σx=1 nm\sigma_x=1\ \mathrm{nm} に置いた場合、(b) 質量 1 mg1\ \mathrm{mg} の粒を σx=1 μm\sigma_x=1\ \mu\mathrm m に置いた場合について求めよ。
解答

(1) t≫τt\gg\tau では根号の中の1を落とせるので、σx(t)≈σxt/τ=ℏt/(2mσx)\sigma_x(t)\approx\sigma_xt/\tau=\hbar t/(2m\sigma_x) である。σx=ℏ/(2σp)\sigma_x=\hbar/(2\sigma_p) を代入すると

σx(t)≈σpm t\sigma_x(t)\approx\frac{\sigma_p}{m}\,t

となる。σp/m\sigma_p/m は波束に含まれる速さの広がりなので、十分時間がたつと、波束の幅は「速さのばらつき×時間」で決まる。初めの幅は忘れられ、古典的な粒子の集団が速さのばらつきで広がるのと同じ形になる。

(2) (a) m=9.11×10−31 kgm=9.11\times10^{-31}\ \mathrm{kg}、ℏ=1.055×10−34 J s\hbar=1.055\times10^{-34}\ \mathrm{J\,s} を使うと

τ=2×9.11×10−31×(10−9)21.055×10−34≈1.7×10−14 s\tau=\frac{2\times9.11\times10^{-31}\times(10^{-9})^2}{1.055\times10^{-34}}\approx1.7\times10^{-14}\ \mathrm s

である。原子程度の大きさに閉じ込めた電子の波束は、ほぼ一瞬で広がる。

(b) m=10−6 kgm=10^{-6}\ \mathrm{kg} では

τ=2×10−6×(10−6)21.055×10−34≈1.9×1016 s\tau=\frac{2\times10^{-6}\times(10^{-6})^2}{1.055\times10^{-34}}\approx1.9\times10^{16}\ \mathrm s

で、宇宙の年齢(約 4×1017 s4\times10^{17}\ \mathrm s)の20分の1程度になる。マクロな物体の波束が広がって見えないのは、質量が大きく τ\tau が桁違いに長いためである。

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