量子力学入門 第1部 第6章 §1.6.2 ★★★ σx,σy,σz。全スピン計算の基底。
i 軸方向のスピンを S^i=2ℏσ^i と書き、無次元部分 σ^i(Pauli 行列)を作る。要請は「固有値が ±1、エルミート」。
σ^z:基準に選んだ軸。 ∣±⟩ 自身が固有状態(固有値 ±1)だから、自分の固有基底では対角:
σ^z=(100−1).
σ^x:位相なしの等分混合。 x 方向上向きのスピンとは何か。z で測れば上下が半々で出るはずだから、係数の大きさは等しい。最も素直な(位相を付けない)重ね合わせ
∣x±⟩=21(∣+⟩±∣−⟩)
を固有値 ±1 の固有状態にもつ行列は一意に決まり、
σ^x=(0110)
——成分を入れ替えるスワップ行列である。(検算:σ^x∣x±⟩=21(∣−⟩±∣+⟩)=±∣x±⟩。)
σ^y:90∘ の位相を足した等分混合。 y 方向も上下等分の混合だが、x と直交する向きなので相対位相で区別するしかない。90∘ の位相(因子 i)を入れた
∣y±⟩=21(∣+⟩±i∣−⟩)
を固有状態にもつのが
σ^y=(0i−i0).
つまりσ^x と σ^y の違いは非対角成分の位相だけ(実 ↔ 虚)。3つまとめて、基本性質
σ^i2=1^,σ^iσ^j=ik∑εijkσ^k (i=j),[σ^i,σ^j]=2ik∑εijkσ^k
が直接計算で確かめられる。忘れたときは巡回則 σ^xσ^y=iσ^z から σ^y=iσ^xσ^z と復元すればよい。
なぜ x,y,z と呼ぶのか。 交換関係 [S^i,S^j]=iℏ∑kεijkS^k は軌道角運動量 L^i とまったく同じ——これは回転の生成子の代数である。実際 e−iθn^⋅σ/2 は「n^ 軸まわり角 θ の回転」を状態に引き起こす(σ^n2=1^ を使うと e−iθn^⋅σ/2=cos2θ−i(n^⋅σ)sin2θ と閉じた形になる)。つまり σ^x,σ^y,σ^z は空間の x,y,z 軸まわりの回転と結びついたベクトル演算子の3成分であり、名前は文字どおり空間の軸を指している。
AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com