量子力学入門 第10部 第2章 §10.2.1 ★ 発展:2体純粋状態の標準形。もつれの有無を対角成分で読む道具
2粒子系の純粋状態 ∣Ψ⟩ は、適切な正規直交基底 {∣ϕi⟩}A,{∣χi⟩}B を選ぶと
∣Ψ⟩=i∑Λi∣ϕi⟩⊗∣χi⟩(Λi≥0, ∑iΛi2=1)
と一重和で書ける(Schmidt 分解;一般の二重和 ∑ijcij∣i⟩∣j⟩ が特異値分解で対角化される)。Λi が2つ以上零でないとき、∣Ψ⟩ は直積に書けない——エンタングルした状態である。本章の主役は「部分系だけを見る」操作=部分トレースと、それが生む縮約密度行列 ρ^A=TrB∣Ψ⟩⟨Ψ∣ である。
まず上の主張をきちんと定理にし、証明しておく(線形代数の特異値分解そのものである)。
定理:Schmidt 分解 ★
有限次元の2部系 HA⊗HB の任意の純粋状態 ∣Ψ⟩=∑ijcij∣i⟩A∣j⟩B に対し、正規直交基底 {∣ϕk⟩}A、{∣χk⟩}B と非負実数 Λk(∑kΛk2=1)が存在して
∣Ψ⟩=k∑Λk∣ϕk⟩⊗∣χk⟩
と一重和で書ける。零でない Λk の個数(Schmidt 数)が1 ⟺ 直積状態。
証明. 係数を行列 C=(cij) と見る。特異値分解 C=UΛV†(U,V:ユニタリ、Λ:非負対角)が任意の行列に存在するから、cij=∑kUikΛkVjk∗。これを代入し、∣ϕk⟩:=∑iUik∣i⟩A、∣χk⟩:=∑jVjk∗∣j⟩B とまとめれば主張の形になる(U,V のユニタリ性が新基底の正規直交性を保証する)。規格化 ⟨Ψ∣Ψ⟩=1 が ∑Λk2=1 を与える。■
物理として重要なのは、どんなに複雑にもつれた状態でも「対にした基底の1本和」まで整理できること、そして次節で見るようにΛk だけが部分系の物理を決めることである(基底の取り替えで消せない、もつれの「不変量」が {Λk})。
AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com