断面積の定義
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量子力学入門 第11部 第1章 §11.1.1 ★★ 微分断面積 と全断面積の定義。次元は面積。
束縛状態の問題では「エネルギー準位」が理論と実験の共通言語だった。散乱の問題——粒子をぶつけて、どの方向へどれだけ跳ね返るかを問う問題——では、その役を断面積が担う。原子核の発見(Rutherford)から素粒子の発見(LHC)まで、ミクロな世界の構造はほぼすべて散乱実験で明らかにされてきた。理論の側の仕事は「与えられたポテンシャル(相互作用)から断面積を予言する」ことであり、この部はその方法を組み立てる。
実験の設定を言葉にする(図 1.1)。一様な粒子ビーム(単位時間・単位面積あたり 個:入射流束)を標的に当て、散乱角 方向の微小立体角 に置いた検出器で、単位時間あたりの計数 を測る。 はビームの強さと検出器の大きさに比例するから、比例係数
が標的そのものの性質を表す——これが微分断面積である。全立体角で積分したもの
が全断面積。次元は(数/時間)÷(数/時間/面積)=面積であり、「標的が入射ビームから見て実効的にどれだけの的(まと)に見えるか」を表す。古典力学で半径 の剛体球に一様なビームを当てれば、当たる条件は衝突径数 だから ——文字どおり幾何学的な断面の面積になる(量子力学では低エネルギーでこの4倍になることを第5章で見る。波は球の「裏側」も感じるのである)。
図 1.1:散乱実験の幾何と微分断面積の定義。
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