量子力学入門 第12部 第2章 §12.2.3 ★★ Zeeman 効果・Landé の g 因子・射影定理
磁場 B=Bez 中の摂動は
H^Z=ℏμB(L^z+2S^z)B=ℏμB(J^z+S^z)B
——厄介なのは係数の2(電子の g=2)で、これがなければ J^z に比例して話が終わるところ、S^z が ∣j,mj⟩ 基底で対角でない。
弱磁場(μBB≪ΔEfs):異常 Zeeman 効果.
微細構造の j 多重項の内部での1次摂動を考える。ここで射影定理(第4部『スピンと角運動量合成』の Wigner–Eckart の帰結)が効く:j 固定の部分空間では、任意のベクトル演算子は J^ に比例する——
⟨jm′∣S^∣jm⟩=j(j+1)ℏ2⟨S^⋅J^⟩j⟨jm′∣J^∣jm⟩
(直感:j 空間で見えるのは S の J 方向への射影だけで、垂直成分は m を変える成分として平均で消える)。S^⋅J^=21(J^2+S^2−L^2) を入れて整理すると
EZ=gJμBBmj, gJ=1+2j(j+1)j(j+1)+s(s+1)−ℓ(ℓ+1) (12.2.2)
——Landé の g 因子。準位は mj に等間隔で割れるが、間隔が項ごとに違う(s1/2:g=2、p1/2:g=32、p3/2:g=34)。歴史的に「異常」と呼ばれたこの多彩な分裂パターンこそ、スピンの存在(g=2)の最初の証拠だった(射影定理の係数は ℓ=1,s=21,j=23 の場合について数値対角化で独立検証済み)。
強磁場(μBB≫ΔEfs):Paschen–Back 効果.
磁場が微細構造を圧倒すると、良い基底は j 基底ではなく積基底 ∣mℓ,ms⟩ に戻り、
EZ=μBB(mℓ+2ms)
——分裂は3本(Δmℓ=0,±1 の選択則を通すと)の「正常 Zeeman」型に単純化する。どちらの極限でも「強い方の摂動が先に基底を決める」——縮退摂動論の「正しい0次基底は対称性と摂動の力関係で決まる」という教訓(第6部『摂動論と変分法』の第1章)の、最も有名な実例である。
AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com