量子力学入門 第12部 第4章 §12.4.2 ★★ LCAO 変分・交換積分(変分法の実演)
電子1個・陽子2個(間隔 R、原子単位 ℏ=me=e2/4πε0=1):
H^=−21∇2−rA1−rB1+R1.
試行関数として原子軌道の線形結合(LCAO)
ψ±=2(1±S)φA±φB,φA,B=π1e−rA,B (1s),S:=⟨φA∣φB⟩
を取る(対称性から係数は ±1 に決まっており、変分パラメータなしで閉じる)。必要な積分は3つで、回転楕円体座標を使うとすべて初等的に閉じる(3つとも数値積分と突き合わせて検証済み):
S(R)=e−R(1+R+3R2),⟨φA∣rB1∣φA⟩=R1−e−2R(1+R1),⟨φA∣rB1∣φB⟩=e−R(1+R).
第2の積分(Coulomb 積分)は「自分の電子雲が相手の核に引かれる」古典的な静電エネルギー、第3(交換積分)は古典的な対応物のない項——電子が「どちらの原子にいるか」の重ね合わせの干渉項である。エネルギー期待値は
E±(R)=−21+R1−1±SJ±K,J:=⟨A∣rB1∣A⟩, K:=⟨A∣rB1∣B⟩
となり、数値的に最小化すると(検証済み)
ψ+ (結合性): Re=2.49a0, De=1.76 eV ψ− (反結合性): 全 R で反発(結合しない)
(厳密解は Re=2.00a0、De=2.79 eV——最も素朴な試行関数で結合の存在と桁を正しく捉えた。φ=e−ζr の ζ を変分すれば 2.35 eV まで改善する)。
なぜ ψ+ が結合するのかを波動関数で読む。ψ+ は2つの核の中間に振幅を盛り上げ(∣ψ+∣2⊃2φAφB>0:干渉の建設的な項)、電子はそこで両方の核から同時に引力を受ける。ψ− は中間に節をもち、電子を一番おいしい場所から締め出す。共有結合とは、電子の波が2中心にまたがる重ね合わせを作ることによるエネルギー利得——交換積分 K(干渉項)が担う、正真正銘の量子効果である。
AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com