量子力学入門 第13部 第3章 §13.3.2 ★★ 中核:Pauli 方程式から g=2 が自動で出る(発展)
Pauli 行列の恒等式 (σ⋅a)(σ⋅b)=a⋅b+iσ⋅(a×b) を、演算子(π^i どうしは非可換!)に注意して使うと
(σ⋅π^)2=π^2+iσ⋅(π^×π^)=π^2−qℏσ⋅B
(π^×π^=iqℏB:第5部『電磁場中の荷電粒子とゲージ』の第1章で磁気並進の非可換性として計算した、まさにあの交換子である)。代入すると
iℏ∂tχ=[2mπ^2+qϕ−2mqℏσ⋅B]χ(Pauli 方程式)(13.3.1)
最後の項を −μ^⋅B、μ^=g2mqS^(S^=2ℏσ)と読み比べると
g=2
——電子の g 因子 2 は、Dirac 方程式の非相対論極限が自動的に吐き出す。非相対論の量子力学では「実験値として天下り」だった g=2(第4部『スピンと角運動量合成』・第5部『電磁場中の荷電粒子とゲージ』)と、スピンという自由度そのものが、相対論+1階性という原理だけから導出された——Dirac 方程式の最大の勝利である。実測の g=2.00232… のずれ(異常磁気モーメント)は電子が光子の雲をまとう QED 補正 πα+⋯ で説明され、理論と実験が12桁で一致する物理学最精密の検証になっている。
さらに 1/c2 の次の次数まで展開すると、スピン軌道相互作用(Thomas の 21 が正しい係数で自動的に)、Darwin 項、p4 補正——第12部の第2章で手作業で足した3補正——がすべて正しい係数で現れる。微細構造の摂動計算は、Dirac 方程式の系統的な 1/c 展開だったのである。
第3章のまとめ
非相対論極限:小成分を消去 → (σ⋅π^)2/2m。恒等式+π^×π^=iqℏB で磁気双極子項が自動出現し g=2(Pauli 方程式)。次の次数で SO(Thomas 込み)・Darwin・p4 も自動——スピンとその磁気的性質・微細構造は、相対論の帰結。g−2=0 は QED(12桁の精密検証)。
AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com