◆発展:Runge–Lenz ベクトル—— 縮退の正体
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量子力学入門 第3部 第2章 §3.2.4 ★ 発展。 縮退の裏の隠れた対称性 SO(4)
「 縮退は Coulomb 特有の偶然縮退」と述べたが、量子力学に偶然はない——縮退の裏には必ず対称性がある(第2部『対称性と結晶バンド』の第2章の一般定理)。Coulomb 問題の隠れた保存量が Runge–Lenz ベクトル
である(古典版 は楕円軌道の長軸方向を指す定ベクトル——Kepler 軌道に沿って成分が8桁の精度で一定であることを数値積分で確認済み。量子版の対称化 はエルミート性のため)。地道な交換子計算で
が示せる——ただし のときに限る。「軌道が閉じて歳差しない」(Bertrand の定理で と だけの特権)ことの保存則版であり、 から少しでもずれると は保存をやめ、近日点が移動し、縮退が解ける——水星の近日点移動(一般相対論)も多電子原子の 分裂(遮蔽)も、同じ「 の死」の現れである。
保存量が増えれば縮退が増える、の具体化: と を合わせた交換子代数は、束縛状態()のセクターで4次元回転群 の代数に閉じる。( 縮退を説明)より大きいこの対称性が をまたぐ縮退 を説明し、さらに代数だけからスペクトル を微分方程式を解かずに導けることが知られている(Pauli、1926——Schrödinger の解より先である)。「解ける問題には必ず余分の対称性が隠れている」——本章の級数解法の裏で働いていた仕掛けの種明かしである。
第2章のまとめ
- 解法の王道4段:無次元化 漸近形の抽出(: 、: ) 級数解 打ち切り条件=量子化。
- ()、縮退度 (スピン込み =周期表の周期)。
- 縮退は Coulomb 特有の隠れた対称性(Runge–Lenz)による偶然縮退で、 からずれると解ける。
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