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角運動量合成の一般論

2026年10月15日7分で読めますAI生成教科書『基礎理論』第4部 第3章 角運動量の合成:2スピンから3スピンへ
目次
  1. 設定。
  2. 最大の状態から始める。
  3. 次元勘定: の縮退度の表。
  4. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

量子力学入門 第4部 第3章 §4.3.1 ★★★ 最高ウェイト+下降演算子で CG 係数を作る手順

本章では ℏ=1\hbar=1 とする。2スピンの合成(12⊗12=1⊕0\tfrac12\otimes\tfrac12=1\oplus0)は第9部『同種粒子と第二量子化』の第0章§0.2 で昇降演算子によりフル導出した。ここではそれを踏み台に、3スピンの合成へ進む。次元勘定は 23=8=4+2+22^3=8=4+2+2:4重項(Stot=32S_{\rm tot}=\tfrac32)が1つと、2重項(Stot=12S_{\rm tot}=\tfrac12)が2つ現れる。「同じ StotS_{\rm tot} が複数個」を区別する追加ラベルが必要になる——それが部分和 S^122\hat{\bm{S}}_{12}^2 であり、これが「合成の経路」を記録する。まず合成の一般論(任意の jA⊗jBj_A\otimes j_B)を定理として整えてから、3スピン=「一般論を2回適用する」問題として攻略する。

3スピンに進む前に、任意の2つの角運動量の合成を支配する一般定理を整えておく。以下の議論は 12⊗12\tfrac12\otimes\tfrac12 でやったことの忠実な一般化であり、これ1つで「スピンとスピン」「軌道とスピン」「原子と原子」あらゆる合成が処理できる。

設定。

系 A, B の角運動量 J^A,J^B\hat{\bm{J}}^A,\hat{\bm{J}}^B(大きさ jA,jBj_A,j_B:J^A2\hat{\bm{J}}^{A2} の固有値 jA(jA+1)j_A(j_A+1) 等)を考え、全角運動量を

J^=J^A⊗1^+1^⊗J^B\hat{\bm{J}}=\hat{\bm{J}}^A\otimes\hat 1+\hat 1\otimes\hat{\bm{J}}^B

とする。合成系の次元は (2jA+1)(2jB+1)(2j_A+1)(2j_B+1)。積基底 ∣mA⟩∣mB⟩| m_A \rangle | m_B \rangle は J^3=J^3A+J^3B\hat J_3=\hat J_3^A+\hat J_3^B の固有状態(固有値 m=mA+mBm=m_A+m_B)だが、J^2\hat{\bm{J}}^2 の固有状態ではない。問いは:J^2\hat{\bm{J}}^2 の固有値を指定する jj として何が何個現れるか、そして固有状態(積基底の線形結合)は何か。

最大の状態から始める。

mm の最大値は jA+jBj_A+j_B で、それを与える積状態は ∣jA⟩∣jB⟩| j_A \rangle | j_B \rangle ただ一つ。この状態は J^+=J^+A+J^+B\hat J_+=\hat J_+^A+\hat J_+^B で消える(各因子が既に頂上)から、J^2=J^−J^++J^32+J^3\hat{\bm{J}}^2=\hat J_-\hat J_++\hat J_3^2+\hat J_3 を当てれば J^2\hat{\bm{J}}^2 の固有状態で

∣j=jA+jB, m=jA+jB⟩=∣jA⟩∣jB⟩| j=j_A+j_B,\ m=j_A+j_B \rangle =| j_A \rangle | j_B \rangle

と分かる。ここに J^−\hat J_- を繰り返し当てれば、j=jA+jBj=j_A+j_B の多重項 m=jA+jB,…,−(jA+jB)m=j_A+j_B,\dots,-(j_A+j_B) の全 2(jA+jB)+12(j_A+j_B)+1 状態が機械的に得られる。

次元勘定:mm の縮退度の表。

残りを数えるには、J^3=m\hat J_3=m の固有空間の次元(mA+mB=mm_A+m_B=m となる組の数)を見ればよい。m=jA+jBm=j_A+j_B で1、mm が1下がるごとに1ずつ増え、m=∣jA−jB∣m=|j_A-j_B| で最大値 jA+jB+1−∣jA−jB∣j_A+j_B+1-|j_A-j_B| に達して以降は一定、m=−∣jA−jB∣m=-|j_A-j_B| を過ぎると再び1ずつ減って m=−(jA+jB)m=-(j_A+j_B) で1に戻る(合計は (2jA+1)(2jB+1)(2j_A+1)(2j_B+1):検算)。jj の多重項が1つあるごとに各 ∣m∣≤j|m|\le j の縮退度を1ずつ消費するから、この階段状の表は

 j=jA+jB, jA+jB−1, …, ∣jA−jB∣ がそれぞれちょうど1個 \boxed{\ j=j_A+j_B,\ j_A+j_B-1,\ \dots,\ |j_A-j_B|\ \text{がそれぞれちょうど1個}\ }

と読める。次元の検算:

∑j=∣jA−jB∣jA+jB(2j+1)=(2jA+1)(2jB+1)\sum_{j=|j_A-j_B|}^{j_A+j_B}(2j+1)=(2j_A+1)(2j_B+1)

(等差数列の和;12⊗12\tfrac12\otimes\tfrac12 なら 3+1=43+1=4、1⊗11\otimes1 なら 5+3+1=95+3+1=9)。

定石:CG 係数を表なしで構成する5手順(任意の jA⊗jBj_A\otimes j_B に通用) ★★★

合成する角運動量の組(12⊗12\tfrac12\otimes\tfrac12・1⊗121\otimes\tfrac12・1⊗11\otimes1・12⊗3\tfrac12^{\otimes3})が変わっても、手を動かす順序は次の5手で一定である。CG 係数表を暗記する必要はない。

手順1(次元カウント)。mm の縮退度の階段表を作り、j=jA+jB,…,∣jA−jB∣j=j_A+j_B,\dots,|j_A-j_B| が各1個であることと ∑j(2j+1)=(2jA+1)(2jB+1)\sum_j(2j+1)=(2j_A+1)(2j_B+1) を確認する。この検算を最初に済ませておくと、後で状態を作り漏らしたことに即座に気づける。

手順2(最高ウェイト)。mm が最大の積状態はただ一つなので、∣jA+jB, jA+jB⟩=∣jA⟩∣jB⟩| j_A+j_B,\,j_A+j_B \rangle =| j_A \rangle | j_B \rangle が無条件に確定する。ここだけは計算がいらない。

手順3(J^−\hat J_- で降下)。

J^∓∣j,m⟩=j(j+1)−m(m∓1) ∣j,m∓1⟩\hat J_\mp| j,m \rangle =\sqrt{j(j+1)-m(m\mp1)}\,| j,m\mp1 \rangle

を、左辺には合成系の (j,m)(j,m) で、右辺には J^−=J^−A+J^−B\hat J_-=\hat J_-^A+\hat J_-^B として各因子の (jA,mA),(jB,mB)(j_A,m_A),(j_B,m_B) で当て、両辺を比べて ∣j,m−1⟩| j,m-1 \rangle を読む(ℏ=1\hbar=1;本章の規約)。これでいま扱っている多重項1つ分が m=−jm=-j まで全部埋まる。

手順4(直交補完で次の多重項へ)。J^±\hat J_\pm も J^2\hat{\bm{J}}^2 も jj を変えないので、手順3のラダーをいくら回しても次の jj には移れない。次の多重項の最高ウェイト状態は、同じ mm の部分空間のうち手順3で埋まった方向の直交補空間にある規格化ベクトルとして見つける。異なる jj に属する J^2\hat{\bm{J}}^2 の固有ベクトルは必ず直交するので、この取り方で正しい状態が得られる。

手順5(Condon–Shortley 規約で位相を固定)。手順4の直交条件と規格化は全体位相 eiϕ\mathrm{e}^{\mathrm{i}\phi} を決め残す。そこで各多重項の最高ウェイト状態について、系 A の mAm_A が最大である積状態の係数を正の実数に取ると約束して符号を一つに固定する。J^−\hat J_- は正の実係数を掛けるだけなので、最高ウェイトで固定した位相はその多重項の全状態に伝わる。手順3へ戻り、j=∣jA−jB∣j=|j_A-j_B| の列を終えたところで完成。

この連載の位相規約は Condon–Shortley を正本とする ★★★

CG 係数の符号は物理法則ではなく約束事である。手順4の直交条件と規格化は状態を1次元の方向までしか決めず、全体位相 eiϕ\mathrm{e}^{\mathrm{i}\phi} を残す。実数の範囲に限っても ±\pm の2通りが残り、どちらを選んでも J^2\hat{\bm{J}}^2 と J^3\hat J_3 の固有値も、どの積状態がどんな重みで混ざるかも変わらない。

そこでこの連載では Condon–Shortley 規約を正本とする。規約の内容は「各多重項の最高ウェイト状態 ∣j,j⟩| j,j \rangle を積基底で展開したとき、系 A の mAm_A が最大である項の係数を正の実数に取る」である。この規約のもとで 1⊗11\otimes1 なら

∣1,1⟩=12(∣1⟩∣0⟩−∣0⟩∣1⟩)| 1,1 \rangle =\tfrac{1}{\sqrt2}\bigl(| 1 \rangle | 0 \rangle -| 0 \rangle | 1 \rangle \bigr)

(∣1⟩∣0⟩| 1 \rangle | 0 \rangle が mA=1m_A=1 で最大なので係数が正)となる。

規約を統一する理由は、符号が観測量に現れないからといって放置すると、複数の多重項を組み合わせる計算で符号の食い違いが表面化するためである。たとえば J^A⋅J^B\hat{\bm{J}}^A\cdot\hat{\bm{J}}^B の行列要素そのものは各多重項の中で閉じるので位相に依らないが、スピン軌道相互作用と Zeeman 項が同時にある系の遷移振幅や、Wigner–Eckart の定理(§4.3.3)で換算行列要素を複数の計算で使い回すときには、どちらの符号を採ったかを覚えていないと結果が合わない。

他の文献との符号の違いについて。文献によっては j=1j=1 三重項の全体符号を Condon–Shortley と逆に取り、∣1,1⟩=12(∣0⟩∣1⟩−∣1⟩∣0⟩)| 1,1 \rangle =\tfrac1{\sqrt2}(| 0 \rangle | 1 \rangle -| 1 \rangle | 0 \rangle ) と書く。全体符号の違いは観測量に影響しないが、複数の文献や計算を組み合わせるときは、採った規約を明記する。

この展開係数

CmA,mB j,m:=(⟨mA∣⟨mB∣)∣j,m⟩C^{\,j,m}_{m_A,m_B}:=\bigl(\langle m_A |\langle m_B |\bigr)| j,m \rangle

を Clebsch–Gordan(CG)係数という。列を一気に降りたいときは、J^−\hat J_- の反復から従う閉じた式

∣j,m⟩=(j+m)!(2j)! (j−m)! J^− j−m∣j,j⟩| j,m \rangle =\sqrt{\frac{(j+m)!}{(2j)!\,(j-m)!}}\ \hat J_-^{\,j-m}| j,j \rangle

が便利である(規格化係数は J^−\hat J_- の係数の積を畳んだもの)。

木下の勉強ステータス

木下はまだこの記事を勉強していません。

AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com

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