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一様磁場:サイクロトロン運動と案内中心

2026年10月15日11分で読めますAI生成教科書『基礎理論』第5部 第1章 電磁場中の荷電粒子
目次
  1. 案内中心の代数
  2. Landau 準位
  3. 昇降演算子からエネルギー固有値へ
  4. いつ使えるか:判別条件。
  5. のエルミート性に関する注意。
  6. 導入後の論理:個数演算子の固有値を追い込む。
  7. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

量子力学入門 第5部 第1章 §5.1.4 ★★★ Landau準位への道。磁場問題の核

以下 E=0, B=(0,0,B)\bm{E}=0,\ \bm{B}=(0,0,B) とする。古典的には、粒子は xyxy 面内で半径 rcr_c の円をサイクロトロン振動数 ωc=∣q∣B/m\omega_c=|q|B/m で回る。重要なのは、この円運動を「回転する相対座標」と「円の中心(案内中心、guiding center)」に分解する視点である(図5.1.1)。

図

図 5.1.1 サイクロトロン運動の分解。位置 r^=R^+(X^,Y^)\hat{\bm{r}}=\hat{\bm{R}}+(\hat X,\hat Y)。相対座標 R^\hat{\bm{R}} が高速回転し、案内中心 (X^,Y^)(\hat X,\hat Y) は保存量(時間に依らない)。

速度から相対座標 R^\hat{\bm{R}} を、位置から差し引いて案内中心 (X^,Y^)(\hat X,\hat Y) を定義する:

R^x=v^yωc,R^y=−v^xωc,X^=x^−R^x,Y^=y^−R^y.\hat R_x=\frac{\hat v_y}{\omega_c},\quad \hat R_y=-\frac{\hat v_x}{\omega_c},\qquad \hat X=\hat x-\hat R_x,\quad \hat Y=\hat y-\hat R_y.

(古典的には R^\hat{\bm{R}} は速度を 90∘90^\circ 回したもので円周上の変位、(X^,Y^)(\hat X,\hat Y) が円の中心。)ここで磁気長

ℓB≡ℏ∣q∣B,ℓB2=ℏ−qB ( q<0 )\ell_B\equiv\sqrt{\frac{\hbar}{|q|B}},\qquad \ell_B^2=\frac{\hbar}{-qB}\ (\,q<0\,)

を導入する。これは後で見るように、磁場が定める最小の長さスケールである。

案内中心の代数

★★ 案内中心=実効正準共役対

この結果は物理的に深い。第一に、相対座標と案内中心が互いに交換する(独立な自由度)。これは古典像(回転運動と中心の位置は無関係)の量子版だ。第二に、X^\hat X と Y^\hat Y が非可換になっている。案内中心は「円の中心の座標」だが、その xx 成分と yy 成分は同時に確定できない。[X^, Y^]=iℓB2\left[\hat X,\,\hat Y\right]=\mathrm{i}\ell_B^2 は不確定性関係 ΔX ΔY≥ℓB2/2\Delta X\,\Delta Y\ge\ell_B^2/2 を与え、案内中心は面積 ∼ℓB2\sim\ell_B^2 より細かく位置を定められない。この「最小面積 2πℓB22\pi\ell_B^2」が、次に見る Landau 準位の縮退度を決める。

ここで「独立な自由度」の意味を明確にしておく。古典的には、半径と位相を決める相対運動(R^\hat{\bm{R}})と、円をどこに置くか(X^\hat{\bm{X}})は無関係に決められた。量子論でこの「無関係さ」を表すのが交換すること [R^α, X^β]=0\left[\hat R_\alpha,\,\hat X_\beta\right]=0 である。可換な演算子の一般論より、交換するペアは (i) 同時固有状態をもてる(相対運動と中心位置を同時に指定できる)、(ii) 一方の測定が他方を乱さない、(iii) 状態空間がテンソル積 H=H相対⊗H案内中心\mathcal H=\mathcal H_{\text{相対}}\otimes\mathcal H_{\text{案内中心}} に分かれ、それぞれが独自の昇降演算子(a^\hat a と b^\hat b)をもつ。状態を ∣na,nb⟩| n_a,n_b \rangle と二つの量子数で書けるのはこのためだ(後述の (n^a,n^b)(\hat n_a,\hat n_b))。H^\hat H が相対座標だけで書け案内中心を含まない(次節)ので、案内中心の自由度はエネルギーを変えずに状態を増やす——これが縮退の起源である。なお「相対 vs 案内中心」は独立(交換)だが、「案内中心の X^\hat X と Y^\hat Y」は独立でない([X^, Y^]=iℓB2\left[\hat X,\,\hat Y\right]=\mathrm{i}\ell_B^2)。この内部の非可換性が最小面積 2πℓB22\pi\ell_B^2 を与え、縮退度を有限にしている。

Landau 準位

★★★ ランダウ準位。磁場中の量子力学の中心テーマ

ここで起きていることを噛みしめよう。2次元の自由粒子(連続スペクトル)が、磁場をかけると調和振動子と同じ等間隔離散準位になった。Hamiltonian が相対座標の自由度(a^\hat a)だけで書け、案内中心(X^,Y^\hat X,\hat Y)に全く依らないのがポイントだ。エネルギーは案内中心の位置によらないので、案内中心をどこに置いても同じエネルギー——これが各 Landau 準位の巨大な縮退の起源である。試料面積 SS あたりの縮退度は、案内中心が占める最小面積 2πℓB22\pi\ell_B^2 で SS を割った

N=S2πℓB2=∣q∣B S2πℏ=ΦΦ0N=\frac{S}{2\pi\ell_B^2}=\frac{|q|B\,S}{2\pi\hbar}=\frac{\Phi}{\Phi_0}

(Φ=BS\Phi=BS は全磁束、Φ0=2πℏ/∣q∣\Phi_0=2\pi\hbar/|q| は磁束量子)で与えられる。1 Landau 準位 == 磁束量子の数だけの状態という美しい結果だ。

昇降演算子からエネルギー固有値へ

★★ 調和振動子構造の使い回し

Landau 準位の導出では「a^\hat a を導入したら En=ℏωc(n+12)E_n=\hbar\omega_c(n+\frac12) が出た」と一気に書いたが、その間には中身の濃い議論がある。昇降演算子はいつ使えるのか、そして導入後どう固有値に到達するのかを、調和振動子と並べて丁寧に辿る。これはこの部で繰り返し使う代数的手法の心臓部である。

いつ使えるか:判別条件。

調和振動子 H^=p^22m+mω22x^2\hat H=\frac{\hat p^2}{2m}+\frac{m\omega^2}{2}\hat x^2 が解けたのは、ポテンシャルの形ではなく次の二つの構造だけに依っていた:(1) H^\hat H が二つの量の平方和(2次形式)であること、(2) その二つが正準共役(交換子が定数)であること。したがって一般に

 H^=α Q^2+β P^2かつ[Q^, P^]=iℏ (定数) \boxed{\ \hat H=\alpha\,\hat Q^2+\beta\,\hat P^2\quad\text{かつ}\quad\left[\hat Q,\,\hat P\right]=\mathrm{i}\hbar\,(\text{定数})\ }

の形が見えたら昇降演算子が使える。Q^,P^\hat Q,\hat P は元の x^,p^\hat x,\hat p である必要はなく、交換子が定数になる任意のエルミート対でよい(前章の正準共役の一般化)。線形項は平方完成で吸収でき、4次以上があると閉じない(その場合は摂動論へ進む)。Landau 問題はまさにこの条件を満たす:H^=mωc22(R^x2+R^y2)\hat H=\frac{m\omega_c^2}{2}(\hat R_x^2+\hat R_y^2) は平方和で、[R^x, R^y]=−iℓB2\left[\hat R_x,\,\hat R_y\right]=-\mathrm{i}\ell_B^2 は定数。ℓB2\ell_B^2 が ℏ\hbar の役を演じ、R^x,R^y\hat R_x,\hat R_y が実効的な位置・運動量になっている。

a^†\hat a^\dagger のエルミート性に関する注意。

a^=12ℓB(R^x−iR^y)\hat a=\frac{1}{\sqrt2\ell_B}(\hat R_x-\mathrm{i}\hat R_y) にダガーをとると、和の各項と係数 i\mathrm{i} それぞれに作用し a^†=12ℓB(R^x†+iR^y†)\hat a^\dagger=\frac{1}{\sqrt2\ell_B}(\hat R_x^\dagger+\mathrm{i}\hat R_y^\dagger)。ここで R^x,R^y\hat R_x,\hat R_y はエルミート(速度 v^α\hat v_\alpha がエルミートゆえ)だから R^x†=R^x\hat R_x^\dagger=\hat R_x となり、結局 a^†=12ℓB(R^x+iR^y)\hat a^\dagger=\frac{1}{\sqrt2\ell_B}(\hat R_x+\mathrm{i}\hat R_y)、すなわちi\mathrm{i} の符号だけ反転した形になる。「R^x,R^y\hat R_x,\hat R_y にダガーをとらない」のではなく、「とった結果エルミート性で元に戻る」のが正しい理解で、これは調和振動子で a^†\hat a^\dagger が x^−imωp^\hat x-\frac{\mathrm{i}}{m\omega}\hat p となるのと同じ事情である。

導入後の論理:個数演算子の固有値を追い込む。

[a^, a^†]=1\left[\hat a,\,\hat a^\dagger\right]=1 を出発点に、H^=ℏωc(N^+12), N^≡a^†a^\hat H=\hbar\omega_c(\hat N+\frac12),\ \hat N\equiv\hat a^\dagger\hat a と書けた。エネルギー問題は N^\hat N の固有値問題に化けた。固有値 N^∣ν⟩=ν∣ν⟩\hat N| \nu \rangle =\nu| \nu \rangle を、次の5段で整数に追い込む。

  1. (1) 非負性。N^=a^†a^\hat N=\hat a^\dagger\hat a はエルミートで固有値は実数、さらに ν=⟨ν∣a^†a^∣ν⟩=∥a^∣ν⟩∥2≥0\nu=\langle \nu | \hat a^\dagger\hat a | \nu \rangle =\|\hat a| \nu \rangle \|^2\ge0。ノルムの2乗だから必ず非負。等号は a^∣ν⟩=0\hat a| \nu \rangle =0 のときのみ。
  2. (2) 梯子構造。[a^, a^†]=1\left[\hat a,\,\hat a^\dagger\right]=1 だけから [N^, a^]=−a^, [N^, a^†]=+a^†\left[\hat N,\,\hat a\right]=-\hat a,\ \left[\hat N,\,\hat a^\dagger\right]=+\hat a^\dagger。これより

N^(a^∣ν⟩)=(ν−1)a^∣ν⟩,N^(a^†∣ν⟩)=(ν+1)a^†∣ν⟩.\hat N(\hat a| \nu \rangle )=(\nu-1)\hat a| \nu \rangle ,\qquad \hat N(\hat a^\dagger| \nu \rangle )=(\nu+1)\hat a^\dagger| \nu \rangle .

a^\hat a は固有値を1下げ、a^†\hat a^\dagger は1上げる(梯子=ladder の名の由来)。3. (3) 下限の存在。(2)より a^\hat a を繰り返せば固有値 ν,ν−1,ν−2,…\nu,\nu-1,\nu-2,\dots がいくらでも下る。だが(1)より負にはなれない。矛盾を避ける唯一の道は、ある最低状態 ∣0⟩| 0 \rangle で梯子が断ち切れること:a^∣0⟩=0\hat a| 0 \rangle =0。4. (4) 最低固有値は 00。a^∣0⟩=0\hat a| 0 \rangle =0 なら(1)の等号より νmin⁡=∥a^∣0⟩∥2=0\nu_{\min}=\|\hat a| 0 \rangle \|^2=0。5. (5) 整数に限られる。最低が 00 で、そこから a^†\hat a^\dagger で1ずつ上るので固有値は 0,1,2,…0,1,2,\dots。半端な値(例 0.50.5)は梯子を下ると 00 を飛び越えて負に突き抜け、(1)に反するので許されない。∣n⟩∝(a^†)n∣0⟩, N^∣n⟩=n∣n⟩| n \rangle \propto(\hat a^\dagger)^n| 0 \rangle ,\ \hat N| n \rangle =n| n \rangle。

(規格化まで含めると a^†∣n⟩=n+1∣n+1⟩, a^∣n⟩=n∣n−1⟩\hat a^\dagger| n \rangle =\sqrt{n+1}| n+1 \rangle ,\ \hat a| n \rangle =\sqrt n| n-1 \rangle。係数は ∥a^†∣n⟩∥2=⟨n∣N^+1∣n⟩=n+1\|\hat a^\dagger| n \rangle \|^2=\langle n | \hat N+1 | n \rangle =n+1 から読む。)よって

 En=ℏωc(n+12),n=0,1,2,… \boxed{\ E_n=\hbar\omega_c\Bigl(n+\tfrac12\Bigr),\quad n=0,1,2,\dots\ }

スペクトルの3特徴がすべて自動的に出る:等間隔(a^†\hat a^\dagger が1ずつ上げる)、下に有界(梯子が a^∣0⟩=0\hat a| 0 \rangle =0 で止まる=零点エネルギー 12ℏωc\frac12\hbar\omega_c)、離散(非負性と梯子の衝突)。演算子を作るだけでは何も決まらず、非負性(1)と梯子(2)を衝突させて固有値を整数に追い込むのが核心である。

調和振動子との完全対応 ★★

調和振動子Landau 問題
正準対[x^, p^]=iℏ\left[\hat x,\,\hat p\right]=\mathrm{i}\hbar[R^x, R^y]=−iℓB2\left[\hat R_x,\,\hat R_y\right]=-\mathrm{i}\ell_B^2
Hamiltonianmω22x^2+12mp^2\frac{m\omega^2}{2}\hat x^2+\frac{1}{2m}\hat p^2mωc22(R^x2+R^y2)\frac{m\omega_c^2}{2}(\hat R_x^2+\hat R_y^2)
昇演算子a^†∝x^−imωp^\hat a^\dagger\propto\hat x-\tfrac{\mathrm{i}}{m\omega}\hat pa^†∝R^x+iR^y\hat a^\dagger\propto\hat R_x+\mathrm{i}\hat R_y
固有値ℏω(n+12)\hbar\omega(n+\frac12)ℏωc(n+12)\hbar\omega_c(n+\frac12)

H^\hat H を ℏω(a^†a^+12)\hbar\omega(\hat a^\dagger\hat a+\frac12) の形にできれば、以降の(1)〜(5)は機械的でポテンシャルの詳細に依らない。問題ごとに違うのはそこに至るまでで、そこから先は同じレールに乗る——これが代数的手法の強力さである。案内中心 [X^, Y^]=iℓB2\left[\hat X,\,\hat Y\right]=\mathrm{i}\ell_B^2 からも独立な振動子 b^\hat b(後述)が作れ、Landau 問題は「二つの独立な調和振動子」として完全に解ける。

木下の勉強ステータス

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