量子力学入門 第5部 第1章 §5.1.5 ★★ 最低Landau準位の波動関数(複素座標)
ここまでは具体的な A を選ばずに代数だけで Landau 準位を出した。ここでは対称ゲージ
A=(−2yB, 2xB, 0)
を選ぶ。このゲージは並進対称性をあらわに破る代わりに、z 軸まわりの回転対称性を保ち、軌道角運動量 L^z が良い量子数になる。波動関数を具体的に書き下せるのが利点だ。
ゲージ不変な力学的運動量 P^i=p^i−qAi に加え、符号を変えたゲージ不変でない演算子 Π^i=p^i+qAi を導入する。この二つ組が対称ゲージで独立な振動子になることが鍵である。
二つの振動子への分離
★★ 二振動子への分離
二組の昇降演算子を
a^=2∣q∣ℏB1(P^x−iP^y),b^=2∣q∣ℏB1(Π^x+iΠ^y)
(および各エルミート共役)で定義する。a^ がエネルギー(Landau 準位 n)を、b^ が縮退の中の状態(案内中心の自由度)をラベルする。
最低 Landau 準位の波動関数
★★ LLL波動関数の形
複素座標 z=x−iy, zˉ=x+iy を導入する(この問題群では z=x−iy という符号約束に注意)。最低 Landau 準位(lowest Landau level, LLL)は a^∣ψLLL⟩=0 で定義される基底状態である。
これは美しい結果だ。LLL の波動関数は、任意の正則関数 f(z) に普遍的な Gauss 因子 e−∣z∣2/4ℓB2 を掛けたものすべて、である。正則関数の自由度(1,z,z2,… という基底)がそのまま LLL の巨大な縮退に対応する。LLL は「正則関数のなす空間」と同一視でき、この見方は分数量子ホール効果(Laughlin 波動関数)の出発点になる。
角運動量と良い量子数
★★ [H^,L^z]=0 の交換子計算
H^ が n^a だけ、L^z が n^a−n^b で書けることから、(n^a,n^b) が系を完全にラベルする良い量子数の組だとわかる。na=n が Landau 準位(エネルギー)、nb が縮退内のラベルである。なお L^z=−iℏ∂ϕ という微分表示と、一価性による固有値の量子化 ℏm は、第3部『中心力場と水素原子』の第1・3章で正面から導出している。
角運動量固有関数
★ 角運動量固有関数
∣ψLLL,m∣2∝∣z∣2me−∣z∣2/2ℓB2 は半径 rm≃2mℓB の円環状に分布する。m が大きいほど中心から遠い環に局在し、これが「案内中心が試料面内のどこに置かれるか」という縮退の自由度の波動関数表現になっている。半径 R の円内に収まる状態数は rm<R より m<R2/2ℓB2、すなわち ∼πR2/(2πℓB2)=(面積)/(2πℓB2)で、前節の縮退度 N=Φ/Φ0 と一致する。
AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com